お別れの決心。
季節は、春になろうとしている。
山の原らっぱにも、小さな花が芽吹き始めていた。
すぐに、桜の花も咲くだろう。
ぷっくり膨れた花の蕾が、今か今かと暖かくなるのを待っている。
真っ白だった雪景色は、次第に可愛らしい色がつき始め、賑やかさを増してきた。
確かに雪とお別れするのは悲しいけれど、僕はウキウキと心が弾んだ。
自分を恐れない誰かと、出会えるだろうか?
もしかしたらまた、怖がられるのではないだろうか?
『……』
そんな不安が頭を過ぎる。
けれど僕はフルフルと、頭を振る。
ううん。今度こそ絶対に、分かり合える《誰か》に会えるような気がする……!
僕はそんな風に考えながら、青い狐火を自分の体に纏わらせて、近くの屋根に腰をおろした。
僕だって、ちゃんと学習しているんだよ?
狐火は使わないときには、体の傍に纏わりつかせるといいんだ。そうすると、狐火は僕のことを護ってくれる。
……足につけたままにしておくと、地面と反発してコケちゃうからね。
『ふぅ。……ずいぶん駆けて来たなぁ』
見渡すと、さっきまでいた森は、遥か彼方で小さくなっている。
かろうじて見えるのは、大きな木のてっぺんくらいだ。そのてっぺんだけが、小さく見えていた。
ずいぶん、遠くに来ちゃったなぁ……。
僕がもともといたその場所は、それほど広くはなかった。こうやって小高い山の上に登ってみると、その小ささがひときわ目立って見える。
『あんなに狭かったんだ……』
僕は、それをぼんやりと覗き見る。
あの場所で過ごしていたときには、全く気づかなかった。
とても広くて寂しい場所だと思ったところは、以外にも小さくてこじんまりとしていた。
『……』
僕が生まれたところは見えないかな? と、二本足で立ち上がって覗いてみた。
氷の玉は、もちろん見えなかった。もう溶けちゃったのかな……?
そうだよね、見えるわけがない。
とっても小さい玉なんだもん。
『ふふ。見えるわけはないか……っ』
少し残念にも思いながら、僕はふわりと微笑んだ。
もういいんだ。僕は新しい場所を探すんだ。
新しい場所で、大切な仲間を探そう。
そして笑いながら生きていくんだ!
そう、決心していた。
× × × つづく× × ×
┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈
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