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シンラくんが交信を始めてから僕らは何もすることがなくなってしまった。
退屈のあまり僕は腕時計を見た。
そしてまだ五分も経ってないことに衝撃を受けた。
一体、いつ終わるんだ⁉
僕は我慢できなくなって思わずシンラくんに声を掛けた。
「ね、ねえ、シンラくんっ!」
「何だ?」
シンラくんはポーズを解いて僕に向き合った。
新聞の写真は何とかなりそうだから、いっそ取材をするニャ。
「シンラくんはいつからこんなことをしてるの?」
「いつから……?」
僕の質問にシンラくんは一瞬怪訝な表情を浮かべてから、腕を組んで斜め上に視線を向けて考える素振りを見せた。
「かれこれ十年くらい前だな」
「コイツ正真正銘のアホだわ……」
相変わらずなモミジ先輩のツッコミにも構わず、シンラくんは自ら事の経緯を語り始めた。
「あれは五歳の時だった……」
シンラくんは腕を組んだまま僕らに背を向けて、遠い日の記憶を思い浮かべるように夜空を見上げて言った。
うーん、いちいち自分の世界に入る人だなぁ……。
「夜、僕は自分の部屋のベッドで一人眠っていた。僕はエリートだから物心ついた時から既に一人立ちしていた訳だが、まあそれはさておき。寝静まった深夜に突然強い光が差し込み、その眩しさに僕は堪らず目を覚ました。半身を起こし状況を確認すると、その光は外のベランダから射しているようだった。まるで昼間のように明るく部屋全体を白く照らしていた。最初は何者かがエリートである僕を嫉み、部屋に工事現場で使うような強力なライトを向けて睡眠を妨害しようと嫌がらせをしているのかと思った」
「被害妄想強すぎない? ていうか自意識過剰?」
呆れた顔でモミジ先輩が呟くが、回想に耽っているシンラくんの耳には入っていない様だった。
「一体、何処ぞの馬鹿だと幼心に憤慨し、僕は起き上がってベランダの窓に立った。そして目を疑った。僕の部屋のベランダに、黒い大きな目にツルツルの細長い銀色の体をした直立二足の謎の生命体がいたのだ!」
〝嘘くせ~っ!〟と思いながら僕らは真面目な顔でシンラくんの話を聞いていた。




