31
「サム・スギルはトップクラスの魔術師だが、あの封印術を使っている間は無防備だ。今なら私でも倒せるはずだ」
そう言うとオジサンは手のひらに光の球のようなものを作り出した。
多分、ゲームや漫画なんかでよく見るエネルギー弾みたいなヤツだと思うニャ。
それをオジサンはサム・スギルに向かって放った。
魔法陣に気を集中させていたサム・スギルは、オジサンの気配に気づくのが遅れて不意打ちを食らって僅かに体を弾かれた。
弾かれた衝撃で印を結んでいた手の形が解かれ、一瞬、魔法陣の光が消えた。
その一瞬を逃さず、魔力を取り戻した桔音くんは目を赤く光らせ、彼の中にある魔力を全て解放するかのようにとてつもなく強い『気』を放った。
……なんて僕が思うのは、素人の僕でも分かるくらい桔音くんの体から禍々しいほどの赤黒いオーラが現れ、それが閃光のように放たれたのが見えたから。
桔音くんの放った気が直撃したサム・スギルは数メートル吹っ飛ばされた。
そして、立ち上がれないくらい深手を負ったのか、それとも身の危険を感じたのか、再び不死鳥の姿に化けて手を組んだはずの神父のオッサンさんを残して自分だけこの場から逃げるように飛び去っていった。
薄情というか……まあ、悪者ってそういうものだけどね。
魔力を取り戻した桔音くんだったけど、依然として光の鎖の拘束は解けないらしく身動ぎしている。
そして神父のオッサンは構わず詠唱を続けてる……。
一人でも桔音くんの悪魔祓いをする気なんだ。
あの詠唱は少なからず桔音くんにダメージを与えているようで、桔音くんは苦しそうな表情をしていた。
「息子に手を出すのはやめろッ!」
オジサンは神父のオッサンにそう叫ぶと、サム・スギルの時と同様に魔法攻撃を繰り出そうとしていた。
しかしそれを阻止するかのように今度は神父のオッサンがオジサンに向かって叫んだ。
「止めるでない! いい加減、目を覚ますのだ! これは貴方の息子ではない! 貴方の本当の息子はこの悪魔によって魂を封じ込められているのだ!」
神父の言葉にオジサンの攻撃の手が止まる。
「私が貴方の息子を救おうとしているのを何故邪魔しようとするのだ! 貴方は息子を悪魔の傀儡でしかない人生から解放してやりたいとは思わないのかね!」
「わ……私は……私はどうしたら……」
オジサンは葛藤し苦悩しているようだった。
そんな煮え切らないオジサンの姿を見て今度は桔音くんが叫んだ。
「馬鹿が! 僕が抜けたらお前の息子は死ぬんだぞ! 魂のないタダの空っぽの人形は生きられない!」
「崇殿! 信じるでないぞ! 嘘を吐くのは悪魔の常套手段だ! 悪魔の声に耳を傾けてはならない!」
桔音くんと神父のオッサンの双方の言葉にオジサンはいよいよ追い詰められ動けなくなっていた。




