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「お、おじさん」
僕らは安心して神父の手から逃れてオジサンの背後に隠れた。
「夜道は物騒だから何かあってはと思い、様子を見に来たのだ」
オジサンはそう言うと今度は神父さんへと向き合った。
神父さんはオジサンを見ても怯まず態度を変えなかった。
「貴方は稲荷桔音の父親の稲荷崇殿だな。貴方からは強い魔力を感じる。魔術師であるようだが、何故、自分の息子に悪魔を取り憑かせているのか」
えっ? 取り憑かせてる? どういうこと?
神父のオッサンの言葉にオジサンはただ黙っていた。
何も言い返さないってことは本当の話なんだろうか?
「貴方が何を考えているかは知らないが、このまま取り憑かせていたら貴方の息子は悪魔にすべてを乗っ取られてしまう。それだけではない。貴方の息子は犯罪者になってしまうかも知れないのだぞ! さあ、『悪魔の名』を教えるのだ! 私の使用する悪魔祓いには悪魔の名がいるのだ!」
「今すぐ此処を去れ! 警察を呼ぶぞ!」
オジサンは声を荒げた。
どうみても分が悪い神父のオッサンはこの場の説得を諦めて立ち去って行った。
去り際、神父のオッサンは最後にこう言い残してった。
「今ならまだ間に合う! 明日、稲荷桔音を外に連れ出し私の元に誘き寄せよ! さすれば私が責任を持って彼を悪魔から救いだしてみせよう!」
そう言って神父のオッサンは闇の中へと消えていった。
「お、おじさん、今の話、本当なの?」
僕は恐る恐る聞いた。
聞いてはいけないことなのかも知れないけど、やっぱ気になるし。
「……少し、時間良いかな?」
オジサンはそう言うと、近くの宵々第二公園へと向かった。