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宵々町奇譚―オカルト同好会編―  作者: Ree
chapter4 未知との遭遇 
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16



 翌朝、僕らはダサい玉を首にぶら下げたまま登校し、屋上に集まった。


 いつものことだが、いつ来てもシンラくんは一番乗りで集合場所に来ている。

「諸君、おはよう! 今日はいよいよ本番、気を引き締めていこう!」

 僕らは握り拳を高々と上げて「オーッ!」と返事を返した。

「では早速、この特別な首飾りの名を一人ずつ発表してくれ。まずは卯月!」

「はーい」

 うわー来たっ。早速この話題来たーっ。まだ何も考えてないよーっ!

 シンラくんが卯月さんから指名したのを見て、僕はいよいよ緊張してきた。

「私は『リュウセイノキズナ』という名前を考えました! 星空に誓って私達の想いが一つだということを表現してみました!」

 卯月さんは何故か得意げな顔で発表した。

 皆は「おおー」とか「オシャレ~」とか言って称賛した。

 いやいやそれ多分ドラマか何かのタイトルをパクってるんだと思うんですけど!

 いいの? そんな感じでいいの?!

「ふむ。なかなかいいな。では次! 鹿島!」

 シンラくんは次にモミジ先輩を指名した。いずれ順番が回ってくるのが怖いっ!

「フフン。私は『アースストーン』にしたわ! これを宇宙人に「地球を代表する石」だって紹介する為よっ!」

 石じゃないしっ! これはただのプラスティックのガラクタにゃーっ!

 しかし、皆は「いいね~」とか「素敵」とか、口々に賞賛した。

「よし! じゃあ次は猫宮!」

 ええーっ、シンラくんが遂に僕を指名してきたぁあ!

 そんなーっ! 先に加枝留くんが呼ばれると思ってたのにーっ!

 僕は頭の中が真っ白になった。ヤバイ……まだ何も思いつかないニャ。

「えっと……」

 僕が口籠っているとシンラくんは怪訝な顔で僕を見た。

「お前まさか何も考えてこなかったんじゃないだろうな?」

「いえいえまさか! えっと、僕は……その……ドラゴン……」

「ドラゴン?」

 続きを促すように皆が復唱する。

 えーい、ままよ! と、僕はヤケクソになって適当に名前を考えた。

「『ドラゴンオーブ』にゃ!」

「ドラゴンオーブ?」

 皆の声が重なる。因みにオーブは球や宝玉の意味ニャ!

 ドラゴンボールをちょっとだけ言い換えてみたニャ!

 しかし、みんな聞いた瞬間、大爆笑した。

「やだ、猫宮くんったら……中二みたい」

 卯月さんが困り笑顔でウフフと笑う。

 オイこら、リュウセイノキズナっ! お前が言うんかーいっ!

「大体、ドラゴンって何処から来たのよー? 関係なくなーい?」

 モミジ先輩が小馬鹿にした笑い顔で聞いてくる。

 くそ……どうでもいいことで恥をかくなんて……悔しいニャ!

「まぁいい。初めから猫宮には期待していなかったからな」

 なんと、僕はシンラくんに勝手に評価を下げられていた!

「次、雨森!」

 シンラくんは最後に加枝留くんを指名した。

 加枝留くんはサラッとした顔で言った。

「僕は『宇理縁うりえん』にしました。意味は特にないです」

「うりえん……?」

 何それ。なんか聞いたことあるぞ! それ何かのゲームのパクリじゃないの?

 まさかの卯月さんと同じパターンっ!?

 いやでもまあそれ言ったら僕も偶然ゲームのパクリになってるけどもっ!

 僕がそんなことを悶々と考えていると突然シンラくんが声を上げた。

「素晴らしい! 素晴らしいぞ雨森!」

 すると、卯月さんもモミジ先輩も声を揃えて大絶賛した。

「ホント、素敵だわ雨森くん!」

「何か凄くカッコいいじゃない! 見直したわよアマガエル!」

 ええーっ! めっちゃ唯一無二みたいなパクリだけど、いいの? アリなの?


 こうして、加枝留くんの案は見事なまでにシンラくんのツボを突き、首飾りは『宇理縁』に決まった。




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