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ねむり姫
肌をあたためて
あげるから信じてねって
「ありがとう、救われます」
ただ、泣いてしまいそうで困るんだ
生きていくと
色んなことがあるから
昨夜もこごえた人が
「なにをどうすればいいの」
睫毛を伏せて
すこしふるえていた
「それがわからないのは
つらいことですね
それは迷ってしまいますよ、ね?」
それがきこえたのかな
いぞん心を棄てながら
「そんなこともない」
ちいさな声をのみこんで
しばらくすると
きえかかるかすれた寝息が聞こえた
今夜はもう眠りましょうか
ええ、眠ってしまいましょう
「ありがとう、もう眠りますね」
「姫さまのみこころのままに、
こんやは、おやすみなさいませ」