七魔の晩餐会《セブンデーモン・テイスティングタイム》
そうめんが美味しい時期でめんつゆをつけてネギをドバーと入れて生姜もドバーと入れて啜るのが至福です
田中奈々side
寝泊まりすることになった私たちは次の日ついて行くことに、ナナシさんの寝室はかっこいい部屋だったけども…
「ク?(何処に行くんですか?)」
「七魔が集合する城があんだよ、そこに行く。タロット魔法【月の門】。」
ナナシさんの後ろを着いていく私とカスミソウちゃん。門を潜ると広がったのは巨大な漆黒の城、何で出来てるんだろ?と触れようとしたら。
「やめておけ。後で叱られる。」
「ク!(やめます!)」
「ならよし。今日は…何の日だ。」
「マモン様!今日は七魔の晩餐会です!1ヶ月に一回の重要な日ですよ?!」
「あ、そうだった。」
「ク?(せぶん?)」
『て、てい…?』
「七魔の晩餐会は見た方が早い。」
ナナシさんの後ろについて行くと様々な魔獣さんがいた、資料で見たグリフィン、ドラゴン、ケルベロス、マーメイド、サキュバス、フェニックス、そしてゴブリンさんだ。全員コック帽とコックさんの着る制服を着て急いで食材を運んでいた。
「あー、気にすんな。いつものことだ。」
「ク?!(いつもの!?)」
『いい匂いがします!』
「あー、もう時間かよ。さっさと行かねぇと。」
廊下を通り抜けて辿り着いた重そうな扉を軽々と開けるナナシさん。その部屋の中にあったのは資料に書かれていた円卓と呼ばれる席があった。全席には色んな人が座っていた。優雅にお茶を飲む英国紳士のような初老の男の人、ギャルのような見た目の自撮りをしている女の人、チャイナ服を着て眠っている男の人、目が見えなくて下を向く女の人、とんでもないイケメンさん、そして…灰色のフェレット、たぬき顔じゃなくて本当に灰色のフェレット。
「遅い、マモン。10分遅刻だ。」
「あ?別にいいだろうがルシファー。」
「ルシファー殿の仕切りたがりは今に始まったことではありませんぞ。」
「確かにそう!ねぇねぇ、マモン、うちの隣座って…」
ギャルのような女の人はそういうと隣の席に来るように言っていた、ナナシさん凄く嫌そう。
「アスモデウスの隣には座らねぇ。」
「マモンっちの意地悪!!でも好き!!」
「ふぁ…あれ?マモン来たの?暇なら戦う?」
「なぁんで戦闘狂のベルフェゴールと戦わなきゃならねぇんだよ。やだわ。」
「マモン殿。今日は七魔の晩餐会という伝統ある日なのですぞ。」
「分かったよ、弟子も座らせていいだろ。」
「…その方は聖獣見習いでは?」
「今は俺の弟子だ。」
「…ルシファー殿。」
「私が呼んだ。」
「…はぁ…分かりました。」
[今に始まったことじゃないだろ…おいお前。]
挨拶するべく歩いていくと…なんだろ、威圧感が凄い。睨まれてる。そして何か理解したのか舌打ちする。なんだろ、これ。これは…感じたことある。憎悪だ。
[フェレットの姿をした人間か。]
「ク?!(そこまで?!)」
[忌々しい…人間の味方である聖獣の見習いだとはな。だが暴れる気もない。マモンと戦う気はない。]
「分かりゃあいい。」
[…ふん、怒りは忘れられんものだ。]
…そうだ、怒りは忘れられない。優しさだけではどうにも出来ないのが怒り、憎悪だ。私も元いた世界では憎悪を向けられたことがあった。人望ある貴女が羨ましいと言われたものだ。出世出来ないのは私のせいにされたこともあった。優しくしても無理な人は無理だと分かってしまった瞬間だった。
「クゥン…(ごめ…)」
[貴様が謝ったところで何が変わる。]
「…サタン、喧嘩売ってんのか。」
[事実だろうが。]
「ク…(うん、そうだよね。)」
謝ったところでこの子の怒りが静まるとは思えない、憎悪とはそういうものだ。怒りに飲まれたフェレットをどうにかすることは出来ない。頭を下げてナナシさんの隣に座る。のど、通れるかなぁ。
「あいつの人間嫌いはいつもの事だ。」
「ク…(はい…)」
『田中さん…』
「…まあ優しさだけじゃ癒されねぇ感情があるって思い出したようで何よりだ。」
用意された席に座って料理を待つ。灰色のフェレット…サタンはこっちに見向きもしなくなった。というよりもそれより重要な事があるから一時的に見ないようにしている。
「では、七魔の晩餐会を開始する。料理を持ってくるといい。」
「承知しました。」
…喉乾いた。ナナシさんは気がついたのかゴブリンの料理人さんを呼んで飲み物を頼んでくれた。けどもその前にサタンに止められていた。
[待て、フェレットは完全肉食だ。ジュースは無理だ。隣にいる精霊見習いにならいいが、そこにいる白いフェレットは飲めん。飲んだ途端体調を崩す。頼むとすれば俺の愛用する飲み物にしろ。]
「すまん助かる。サクラも精霊見習いもそれでいいな。」
『はい!…精霊見習い?』
「ク…(ありがとうございます。)」
英国紳士の人が私に話しかけてきた。隣に座ってるからこそ気になってたっぽい。運ばれてきた飲み物を飲んで気持ちを切替える。
「クッ。(初めましてサクラといいます。)」
「礼儀正しい聖獣見習いですなぁ。何処ぞの忍耐の天使も見習ってほしいくらいですなぁ。」
「ク…?(あの…?)」
「おお、すみません。では改めまして…私の名はベルゼブブ。暴食の魔王と呼ばれ、暴食の国に治めております。以後お見知りおきを。」
「ク?(暴食の国…?)」
「食に発展した国だ。」
「ええ、食に関してはうるさい国と覚えてください。」
「五月蝿すぎてこっちをライバル視するくらいにな。」
あ、ベルゼブブさんが笑ってるけど目が笑ってない。ちょっと怖い。本当にライバル視してる。にしても…晩餐会って何をするんだろ?
「先ずはグリフィン料理人からだな。」
「今日の小麦料理はなんだ?」
「マモンっち、今日の献立聞いてないでしょ。」
ギャルのような女の人…確か、アスモデウスさんって名乗ってた。明るくていい人そうだ。
「聞く気もねぇ。」
「ミートソースパスタだよ。肉使ってるからそこも注目するべき。」
「アスモデウスの言う通りですな。」
「トマトも注目するべき。」
「リヴァイアタンナイス!」
「…やっぱ気が合わないなぁ。」
ミートソースパスタかぁ。楽しみだなぁ。って私食べられないんだった。ちょっとしょんぼりしていると代わりにカスミソウちゃんが食べてくれることになった。ありがとうカスミソウちゃん。
「クゥ…(ありがとう。)」
『いいえ!このくらい当然ですから!』
可愛いなぁカスミソウちゃん。
厨房では
「おい肉の準備は?!」
「薬草の鮮度は?!」
「野菜の鮮度も忘れるな!」
「最初はグリフィン料理人だと?あいつがトップバッターとか気の毒過ぎる。」
「魔王様方は容赦ないからなぁ。」
「それだけじゃねぇよ国の代表として立っているんだからな。」
「あのー…皆さん?ひょっとして滅ぼされるから急いで…」
全料理人が若者である料理人に振り向く、見習いだと誰もが分かる姿だ。
「んな訳あるか!寧ろその逆だ。」
「逆?」
「食を通じて国の食料自給率、国の豊かさなどを図られるからだ。」
「……え。」




