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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第1章 高校入学

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クールな彼は意外と

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 8時30分、校舎のチャイムが鳴ると各クラスで授業の開始を迎える。



 普段は部活動で活躍する各運動部も授業を受けており、文武両道を目指して精進の日々だ。それは当然サッカー部も例外ではない。



 弥一は眠そうな表情になりながらも授業を受けていた。本当は眠ってしまいたいが、赤点になると試合に出させない全運動部共通の決まりがあって、今の弥一には眠気が最大の強敵だろう。



 朝練のミニゲームの先輩相手に戦うよりも、彼にとってはきつい相手だ。




 今は日本史の授業が行われ、その昔の偉業を成し遂げた武将について、日本史の担当教師が語っている。



 弥一は眠気と激しい戦の最中。まだ眠りに落ちてない辺り、今の所は眠気に負けていない様子だった。



「神明寺」



「ふあ?あ、はい……」



 日本史の教師が、眠気と戦って粘り続ける弥一を指してきた。



「答えてみてくれ」



「えー……」



 正直あまり頭に入ってはいなかった。弥一はとりあえず昔の戦国武将についての授業であるという事だけは把握して、何を答えればいいかさっぱり分かっていない。



 とりあえず何か答えようと思い、浮かんだのは。



「風林火山……武田信玄?」



「確かに今武田信玄についてであり、彼の象徴でもある風林火山は有名だが今の問いはそれじゃないぞ。その武田信玄の宿敵は誰だと」



「あ、すみませんー。上杉謙信です」



「うん……まあ、いいだろう」



 知っている範囲内の武将で弥一は内心ラッキーと思い、この窮地を乗り越える。弥一の答えの言い直しは教師も此処は大目に見ておいてくれるようで、授業を続けていた。



 イタリアに3年間過ごしていたが、日本の有名どころの武将なら弥一も知っている。そうじゃなければ答えられず、アウトとなってた事だろう。




 こうして眠気がピーク時の日本史授業はなんとか終わり、時刻は12時30分。チャイムが鳴り、昼休憩を迎える。


 次の授業開始は13時20分なので50分程の自由時間だ。





「は~、危なかった~」



 一時授業から解放され、弥一は机に突っ伏していた。



「お前マジで寝落ち5秒前ぐらいな感じでヤバかったぞ」



 後ろの席に座る摩央からは弥一の様子がよく見えて、今にも寝そうで何も答えられそうに無いと思っていた。電車であれだけ眠る事を思うと、すぐ授業で眠るかと予想はしていたが、此処まで粘ったのは意外な結果だ。



「だってさぁ~、この学校は赤点で部活出るの駄目じゃん? 怪我でもなく、テストの点数悪くて試合出られないで終わるのは流石にダサいでしょ~」



 どちらも疎かにはしないようにと決められている立見のルールで、赤点さえ取らなければ問題は無い。弥一に関しては入部の自己紹介の時、あれだけの意気込みを言った後なので、もしも赤点で試合に出られなければ迷惑もかけてしまう。



「とりあえずお腹すいたから飯行こうよ飯ー、もう空腹過ぎてヤバいから~」


「分かったからそんな引っ張るなって!」



 弥一は腹を鳴らしながら摩央の腕を引っ張り、昼食に行こうと急かす。引っ張られて摩央は見ていたスマホを落としそうになりながら、共に購買部へと向かった。




 立見の購買部ではおにぎりやサンドイッチにパンに弁当等が豊富に売られており、日によってはラーメンも置いてある程だ。それも人気の家系ラーメンで、学生たちの間では人気メニューの一つとして知られる。



 置いてあったら争奪戦がほぼ確実に起こるが、この日はラーメンは置いていなかった。噂に聞く家系ラーメンを食べたかった弥一としては残念と肩を落とし、此処は大盛りのカツ丼とカレーパンとクリームパンを購入。



 隣に大盛りパスタもあったが、イタリア留学中にパスタやピザは散々食べたので今は日本で食べられる物の方が魅力的に見えたようだ。


 摩央は並盛りの唐揚げ弁当一つだけで、弥一の方が明らかに昼食の量が多いのは運動するアスリートとしての差か。




「えー、屋上で昼飯食べちゃ駄目なの? こういうのって屋上で飯を食べるのが定番じゃんかー」


「何時の時代だよ。そもそもこの学校は屋上の出入り禁止だから、飯どころか入る事も出来ないんだ」



 昼飯を買った後に弥一は屋上で食べたいと言い出したが、摩央に屋上は出入り禁止だと止められる。漫画やアニメで学校生活の時に昼飯は屋上というのを見てきたせいか、それが現実でも出来ると思っていたが立見では許されなかった。



 ラーメンに続いて屋上で飯も食えないと、二度がっかりさせられた弥一は仕方なく摩央と共に校舎の外へ出て、何処か座って食べられそうな場所を探す。


 ベンチは既に先客の生徒が座って昼食を食べているので無理と分かれば、二人は辺りを見回した。




「あ、歳児だ」


「え?」



 弥一は桜の木の下で座って昼食をとっている人物を目撃する。練習着の姿ぐらいしか見てなくて今の学生服姿が新鮮に見えるも、彼は弥一とミニゲームで組んだ同じ1年の快速FW、歳児優也が座ってサンドイッチを食べていた。



「おーい」


「……何だ、お前か」



 優也に明るく声をかけながら弥一は近づく。サンドイッチを手に持ったまま、優也は二人の姿に気付いて視線を向けている。



「ねえ、歳児。此処いい? 他に場所無くてさぁ、屋上は駄目って言われたし」


「何か屋上は俺のせいみたいに言ってないかそれ?」



 弥一と摩央が会話している間、二人も優也と同じ桜の木の下に座っていた。



「良い、駄目だ以前にもう座ってんだろ……」



 優也の返事を待つまでもなく既に座る二人の姿を見て、軽く溜息をつく。かと言って追い払うような事はせず、そのままサンドイッチを食べ進める。弥一と摩央も優也が良いと判断したようで、それぞれ昼食を食べ始めた。



「あ! 二人とも此処だったんだ」



 3人へ駆け寄る大柄な学生は、見間違いようがなく大門だ。彼は右手左手に袋を下げて現れ、それぞれに菓子パンと弁当が入っている。あれは弥一を超える量で間違いは無いだろう。



「おー、大門こっちこっちー」



 元々弥一が取った席ではなく優也の居た所なのだが、大門に弥一は手を振って場所をアピール。



「君は確か歳児優也君だよね。攻撃で凄い活躍したって聞いたよ」


「……別に、優秀なDFが居てくれたおかげで楽させてもらっただけだ」



 優也に気付いて大門は挨拶をする。彼の自己紹介は自分の前だった事もあって、しっかり覚えている。大門も3人に加わり、共に昼食をとり始めた。



 大門は弥一が買った大盛りカツ丼より更に大きな特盛のカツ丼を食べ始め、パンは袋に5個も入って、体格に恥じぬ食べっぷりだ。



 優也もサンドイッチだけでなく弁当を買ってるので、弥一と同じぐらいの食事量になる。


 1個の唐揚げ弁当も決して少ないという訳ではないのだが、摩央は自分が一番食べてなくて少食なんじゃないかと思えてきた。



「歳児って凄い足速いよねー、どうやってそんな速くなったの?」



 カレーパンを一個食べ終えた弥一は優也へと足の速さについて聞いてみる。自分で足の速さなら負けないと言い切っていた優也は、偽りのない快足を武器に弥一と同じチームでゴールを量産。



 どうやってスピードを手に入れたのか興味があった。



「両親が共に元陸上部で、その二人と幼い頃から運動してて足は自然と速くなった。最近はSNSや動画でも効率的なトレーニングが上がるから、それも参考にして取り入れたりしてるんだ」



 父と母は共に陸上部と、陸上一家の環境で優也は生まれ育ち、幼い頃から両親のトレーニングを受けて足の速さを彼は得たのだ。



 優也の話に3人はポカンとしている。



「おい……なんだお前ら、そのリアクションは?」


「あー、いや。歳児ってクールな一匹狼ってイメージあって自分や家族の事とかそんな簡単に話さないかな~?って思ってダメ元で聞いたんだけど、意外と喋ってくれるんだね」


「「お前らに話す義務は無い」みたいな事言ってそれで終わりかと思った」


「うん、意外だったね」



 勝気でクールな男。それが歳児優也という人物なのかと3人は思っていた。そういう人物は自分について、あまりペラペラ言わなさそうなイメージがあったが、実際は違った。




「何だその勝手なイメージ、別にそういうんじゃねぇ。ただ話すのが苦手なだけだ……」



 口下手なゆえにクールに思われていた優也。弥一達との距離は今回で少し縮まったのかもしれない。

宜しければ、下にあるブックマークや☆☆☆☆☆による応援をくれると更なるモチベになって嬉しいです。


サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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