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東京No.1の攻守

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 午後2時に迫り東京予選決勝の時が近い。両チームの選手がフィールドへとユニフォーム姿で集結し、既に東京代表を勝ち取った猛者達は大歓声で迎えられていた。




『激戦の東京予選もついに残るは決勝戦を残すのみ!互いに既にインターハイ全国大会行きの切符を持っており、今回は夏の東京王者を決める試合となります!立見か!?桜王か!?』




 ダークブルーのユニフォームを着た立見、GKは紫。



 紅色のユニフォームを着た桜王、GKは緑。




 立見高等学校  フォーメーション 4-5-1



          豪山


           9


          成海


 鈴木       10       岡本


  8                7


      影山     川田


      14      16


 後藤   神明寺    間宮   田村


 15     24     3     2


         大門 


          22



 桜王学園 フォーメーション 4-4-2




     黒田   坂口


      9     11


   蛍坂      原木


    10       7


    山下    三島


     6      8


 堀   榊   川越  野口


 2    5    4    3


       高山


        1




 桜王は以前に弥一達が見に行った時、蛍坂が試合に出ていて原木はベンチだった。



 だが今回は中盤の要の両者がスタメンから出ている。共にU-16を経験しているレベルの高い中盤だ。中盤を支配され、攻め込まれる可能性は高いかもしれない。



 そして後ろもDF榊、GK高山と守りも万全。立見より試合数は少ないが、彼らも今大会此処まで無失点と完璧な守りを見せている。



 冬夜はベンチからのスタートだが彼のスピードや守備も厄介だ。疲労する後半から出場して来る可能性があるのかもしれない。





 フィールド中央ではキャプテン同士、成海と榊がコイントスで先攻後攻を決める。立見が先攻を取り、最初は立見ボールからのキックオフが確定した。



 最後に二人がそれぞれ握手を交わし、共にフィールドの自分の陣地へと向かう。








「この試合でこの大会は最後だ、此処まで来たからには東京王者。狙って行こう!立見GO!」



「「イエー!!」」




 この決勝でも気合を入れ、恒例となる立見流の儀式。



 成海の一声に全員が声を揃えて応え、フィールドにそれぞれ散って行く。







 各選手がポジションについて、試合開始の時を待つ中。弥一は立見ベンチに置かれたユニフォームとスパイク。そちらへと視線を向けていた。



 今は亡き弥一を導き、教えた師で兄貴分の勝也。



 彼の作り上げた立見サッカー部を全国へ連れて行く事は出来る。だが弥一は更に上を見せようと決めていた。



 勝也に東京王者となる立見、そして全国の王者となる立見を。






 ピィーーー






 試合が開始され、立見のボールからキックオフ。豪山が軽く蹴り成海に渡り、ボールをキープして桜王のゴールへ向こうとする。



 しかし桜王の選手二人がかりで早くも成海へと詰めて、プレッシャーをかけてきていた。これに成海はするすると右を上がる田村の方を見ており、成海に詰める桜王の蛍坂、黒田も成海が田村を見ている事に気付く。パスがそちらへと行くのかもしれないと、蛍坂がすかさず田村へのパスコースを消そうと動く。




 その瞬間に成海は右とは全く違う前方の斜め左へ、浮き球のロングボールを蹴り出した。パスする相手が田村と見せかけて、実は前線の豪山。


 成海によるノールックパスだ。



「っ!?」



 豪山がボールに反応する前に榊がそれより前に出ており、豪山よりベストのポジションでジャンプして、豪山も同時に飛んでいた。



 榊の頭がボールを捉え、頭で弾き出して行き豪山に通さない。



「セカンド!クリア!」



 その直後に榊は声をかけており、その声に応えるかの如く、ボールを拾った三島が蹴り出してクリア。




『成海、巧いノールックパスで豪山へのボールでしたが桜王DF榊がそれより早く察知して防いだ!』



『気持ちが出てますね、身体が強く読みも鋭いですし流石東京No.1DFの呼び声高い選手ですよ』




 桜王ゴール前に立ち塞がる大きな壁。今大会無失点の堅守を支えるDFの要、榊佳祐。キャプテンを務め、八重葉の大城とタイプが近い感じだ。



 自らの守備だけでなく、後ろから積極的な声がけも忘れずチームを纏める。




「(中央やっぱり相当硬いな、榊を崩してシュート持っていきたい所だけど)」



 中央の榊を中心としたゾーンが相当堅い。突破が困難だとスローインに向かう最中、影山はどう攻めようか考えていた。すぐスローインには行かず、少し時間を使っていく。





「(中々隙が無い、スペース狙うのも大変そうだなぁ。相手の寄せとか速いから)」



 ベンチで出番を待ち、戦況を身守る武蔵。外から見て、桜王の守備に中々付け入る隙が見つけられずにいた。



 選手の寄せも速く、簡単にはパスを出せないかもしれない。




 スローインから攻撃再開する立見。鈴木がボールを持つが桜王の三島、野口の二人に囲まれてボールを奪われる。



 そこからすぐにパスが出され、三島から原木へと渡った。桜王のカウンターだ。




 川田が原木を止めに向かうと、原木はフェイントで速い切り返しを見せる。それに釣られまいと川田は原木の動きを見ていたが、何時の間にか彼の足元にボールは無い。



「(え!?ボールは……)」



「10番だ!」



 間宮が声を上げ、蛍坂がボールを持っている事に川田は気づかされた。原木は川田を揺さぶってる最中、何時の間にかパスを出して蛍坂へと渡していたのだ。



 原木と蛍坂によるUー16コンビの連携プレーで、立見のゴールへと迫って来ている。



 間宮が蛍坂を止めに行くと、蛍坂はすかさず右へと大きく展開。そこには何時の間にか原木が走り込んでいた。





「っと!」



 これ以上は進ませないとばかりに、弥一が蛍坂のパスを蹴り出してクリア。通れば右サイドを独走される所だったが、弥一はこれを読んでいて未然に防ぐ。





「あー、駄目か。パス甘かったかなぁ」



「いいよ、良い感じのパスだったから」



 蛍坂は今のパスが安易だったかと反省すると、原木は駆け寄り蛍坂の右肩を軽く叩き褒めた。




「僕の髪のセットも今日良い感じだから行けそうだと思うし」



「そりゃ何よりだ」



 Uー16に共に選ばれ、それなりに長い付き合いとなる蛍坂と原木。蛍坂は原木が髪のセットに拘っている事を分かっていた、彼のセットの善し悪しが、今日の調子となって出て来る事も。



 本人が言うには今日は好調のようで、良いプレーが出来るらしい。




『桜王の中盤、蛍坂と原木の二人で立見陣内へとボールを深く運んだ!最後通ればチャンスでしたが此処は神明寺クリア!』



『素晴らしい連携にテクニックですね。共に多くのアシストを記録してますし彼らが立見の無失点記録を止める可能性かなりありますよ』





 弥一のクリアしたボールはタッチラインを割って、桜王ボールのスローイン。三島から蛍坂へ投げ込まれるとボールを右踵で浮かす。そのままパスとなり、原木へと繋がって成海が原木に詰める。



 その前に原木はヒールで後ろへと戻すと、それを受け取るのは川越。更にダイレクトで蹴り、再びボールは蛍坂。流れるようなパス回しだ。



 すると蛍坂がこれをトラップするかと思えば、来たボールに対して左足で、そのまま前線へロングボールを送る。このパス回しの間に2トップのFWがエリア内へと来ており、守備的MFの二人も上がって攻撃に出ていた。



 この高いボールを間宮が頭でクリアし、エリア内からボールを出させる。




 そのクリアしたセカンドボールに山下が詰めていた。




「キーパーミドル!」



 すかさず弥一は大門へと声をかける。その直後に山下は右足でシュートを撃つ。




 山下のミドル、枠へと飛んでいくシュートを大門は正面で受け止めてボールをしっかりとキャッチ。桜王の1本目のシュートを止めた。




「落ち着いて行こう皆!」



 シュートをキャッチした大門。攻撃に翻弄されているチームを落ち着かせる為、立見イレブンへ声をかける。



 序盤から蛍坂、原木を軸とした桜王の攻撃が立見に襲いかかるが、此処で流れを断ち切り、大門のボールから立見の反撃が始まる。

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