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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第5章 東京代表との戦い

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立見VS真島 完全決着

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 後半16分、ついに均衡は破られた。弥一のFKが決まり、立見の先制ゴールで1-0と試合は動き出す。




 真島は攻撃へ行くしかない。キックオフで試合が再開されると、峰山を中心にボールを回して立見のフィールドに攻め込む。



 峰山は鳥羽の姿を見つけるが、パスを出すのに迷いが生じていた。



「(またあいつが出て来てインターセプトするんじゃ……?)」



 頭にちらつく弥一の存在。先程は通ると思ったスルーパスを完璧に読まれ、ボールを取られている。




 通らないどころか最悪、再びカウンターを受けるかもしれない。



 峰山の中で疑心暗鬼が確実に芽生えつつあった。




「おい!?」



 ボールを要求するも、峰山からのパスが出ない事に気付いて鳥羽は声を上げる。




 そこに影山が死角から守備に詰めて来て、突然のプレッシャーを受けると峰山の足元からボールが弾かれる。その球を間宮が取った直後、右足のクリアで立見ゴールから遠ざけた。



 リードされて攻めなければならない時間帯だが、真島のリズムは確実に狂いが生じてきている。



 思うように攻撃が出来なくて攻めあぐねており、一方の立見は余裕を持って守れていた。




 1つの得点が入っただけで状況は一変してしまう。これがサッカーだ。




「集中集中! お前ら気を抜くなよ!」



 間宮が手を叩き周りを鼓舞し、残り時間に向けて気を引き締めさせる。



 真島のサイドからのクロスを何度も弾き出しており、頼れる立見のDFリーダーのスタミナは充分に残っていた。




「後藤さん5番!」



 左から上がる相手の姿に気付き、大門がDFの後藤に教える。



 彼の目も黒川が上がって来ている姿を捉え、そこにパスが出ると後藤が詰めて攻めさせない。




「くっ……!」



 鳥羽が会場の電光掲示板に目を向ければ、時間は後半25分になろうとしている。まだ15分程あるが、鳥羽は此処までシュートが撃てていない。



 自分がシュート無しなんて、ただのハッタリだろうと弥一の言葉に対して思っていたが、残り時間が少なくなってくると段々焦りが生じてしまう。




「(来た!)」



 その時、味方からのパスが来れば鳥羽は走り出す。弥一の姿は見えないので、彼の妨害は無い。




 今度こそという思いで、鳥羽がボールを右足でトラップした。



 その瞬間。





 ピィーーー




 線審の旗が上がり、鳥羽がオフサイドを取られる。




『あーっと、鳥羽に通ればというチャンスでしたがこれはオフサイド!』




「ああくっそ!」



 鳥羽が地面を強く踏みつけて悔しがると、その横で弥一がボールを取りに行っていた。






「そろそろか。歳児君」



「行けます」



 京子が時間を確認すると優也へ声をかける。その声を待っていたとばかりに、優也はアップが終わってジャージを脱ぎ、ユニフォーム姿となった。




 その時、優也がユニフォームとなった途端にスタンドの歓声が大きくなる。



 彼の連続ゴールの活躍を観客も知っているので、期待が高まっていた。





『立見は、此処で交代ですね。ついに出て来ました立見のスーパーサブにして1年のスーパールーキー歳児優也!』



『一気に凄い歓声となりましたね。巷では歳児タイムと言われてるそうですよ』




 大歓声と共に優也は岡本と交代し、豪山と2トップを組む。その事を優也はフィールドへ入ると、選手達にシステムの変更を伝えていた。




「(ついに出てきやがった……歳児優也、9試合連続ゴールはさせないからな)」



 優也の姿を見た真田は優也を睨むように見る。



 同じ1年として負けられないというのもあり、何よりDFとして抜かせないという気持ちが強かった。




 位置についた優也、そこに真田が傍へ近づいていた。






 真島の攻撃を凌いだ後に立見のカウンター。弥一から影山、そして武蔵と流れるようなパスの連携を見せて真島ゴールに迫る。




「(スペース、あそこだ!)」



 捉えた場所は真島のDFライン裏。左コーナー付近が空いていると判断すれば、そこを狙って武蔵は左足でボールを浮かせ、スペースに落とすイメージで蹴り込んだ。



 浮き球のボールに優也が走り、ほぼ同時に真田も動く。



 両者がダッシュでボールを追いかけて迫ると、真田は左足を伸ばしてゴールラインへボールを出す。




『歳児のスピードに真田追いついた! スペースに飛び出した歳児の自由にさせない!』



『歳児君かなりのスピードでしたが、真田君も負けてませんでしたよ。僅かに真田君の方が速くスタートしたのと、ボールが真田君に近かったというのもあって、今回は彼に軍配が上がりましたね』






「(行けると思ったのに、やっぱ名門真島のDFだと通り難いか……)」



 このパスは行けると思っていた武蔵。阻止した真田の壁は、これまでのように簡単ではないと認識する。




「武蔵」



「ん?」



 CKを蹴ろうと向かう所に優也が呼び止めると、武蔵は彼の方へ振り向く。




「良いボールだった。あのまま頼む」




 このまま終わるつもりは無かった。彼も中々負けん気が強く、諦めが悪い。




「出来る限りベストなパス送るよ」



 それに応えるように武蔵は小さく笑みを浮かべると、優也に伝えてから左コーナーへ歩く。






 立見のCK。武蔵はシンプルに豪山へ高いボールを送った。



 そこに真島GK田山が飛び出して来て、豪山の頭が届く前にパンチングで密集地帯からボールを弾き出す。




 このセカンドボールを成海が拾い、まだ立見の攻撃は続く。



 ミドルを警戒した真島だが、成海は右の田村にパス。優也に意識が行っているせいか、田村への警戒は甘くなってきている。




 田村はパスを受けた位置から、そのままクロスを上げる。豪山の高さを活かそうと再び彼へ託した。



 空中戦となって田之上と競り合うも、頭ひとつ豪山の方が高い。



 田村の高いクロスを額で合わせてゴールを狙う。まだ田山がゴールに戻りきれておらず、絶好のチャンスだ。





 だが、このヘディングを真田が体に当ててのブロックでゴールを阻止。追加点を許さない。




 ボールはゴールラインを割ると再び立見のCKのチャンスが来て、今度は右からだ。




 武蔵が豪山に高いボールを送ったのに対し、田山が跳躍から両腕を伸ばせば完璧にキャッチして防ぐ。




『立見、波状攻撃を仕掛けるも真島守りきる! 真田のファインプレーから田山がボールを取って攻撃を断ち切った!』




『時間はもう少なくなってきましたからね。此処で追加点を取られたら、真島といえど厳しいでしょう』





「峰山ー!」



「!」



 そこに鳥羽が峰山へ叫ぶと、右手でサインを送って伝える。



 鳥羽の意図に峰山は気付いて頷く。




「(今まであいつの力でなんとか出来たんだ。此処で鳥羽を信じないでどうする! 何時もあのチビが邪魔するとは限らない! 迷いを捨てろ!)」



 これまで真島は厳しい試合を何度も経験し、強敵との激戦を潜り抜けて来た。その原動力となったのがエースの鳥羽だ。



 それを思い出した峰山は弥一の存在による疑心暗鬼を振り切り、鳥羽の力を信じて自らを鼓舞しながら走る。





『真島、同点においつかんと立見ゴールへと迫る! 昨年の東京代表として負けられない!』




 峰山が左サイドへ切り込み、その動きが見えて田村は追いかける。




 二人のデュエルが始まると、ボールを持つ峰山は右へ行くと見せかけ、左へ切り返す。


 フェイントについていくも、更なる切り返しで右から田村を突破していった。




 クロス放り込んで来るのか、ドリブルで切れ込むのかと間宮は立見エリア内で身構えている。




 峰山は左足でボールを蹴った。ゴール前へのクロスボールと見せかけて、鋭く右に曲がるとエリアの外へ向かう。




「!?」



 そこへ鳥羽が待っている事に間宮は気付く。




 だが、位置的に間宮は間に合わない。そして鳥羽は来る事が分かっていたようで、ボールに対して最も得意とする、右足でのボレーシュートの態勢へと入っていた。



 間宮だけでなく川田や影山も反応出来ず、鳥羽へ詰められない。




「(同点だ!!)」



 鳥羽は峰山からのパスに右足で合わせる。












 次の瞬間、鳥羽は態勢を崩して呆然となったまま座り込んでいた。




 誰にもバレないように峰山と自分だけ分かるよう、サインのやり取りをしたはずだ。



 他に分かる訳が無い。




 なのに、峰山から鳥羽への鋭いカーブによる、クロスを見抜いてしまった人物が一人居た。




「(間一髪だねー!)」



 小さなDFが飛び込む姿が見えてしまい、東京随一のストライカーは驚愕。




 峰山のカーブを鳥羽が得意のボレーで合わせる前に、弥一がボールを右足で蹴り出してクリアしたのだ。



 ボレーに感触が伝わらず空振りに終わり、鳥羽はバランスを崩して尻餅をつく。




 何でバレたのか鳥羽は信じられない気持ちでいっぱいだった。




 そんな彼が気付く事はおそらく無いだろう。




 神明寺弥一が人の心を読めるサイキッカーというのは。










 弥一のクリアしたボールは豪山が競り合い、落とすと成海が拾って武蔵へ繋ぐ。




 突然のカウンターに真島の守備は整っていない。武蔵はチャンスと見れば、大きく空いた左のスペースに今度は低い弾道でボールを蹴る。



 再び優也が走り込む。今度はパスが出された時と同時にスタートを切っており、真田も同じタイミングで走る。




 立見の1年FWと真島の1年DFによる左スペースへの競争。



 絶対に決めるという気持ち、絶対に守るという気持ちが真っ向からぶつかり合う。





 真田は右足を出してボールを出そうとするが、それよりも速く今度は優也がボールに追いついた。



「(この! だったら此処で止めてやる!)」



 先にボールに追いつかれたが止めれば同じ事。真田はボールを持つ優也へ向かう。




 真田の前に優也は素早いフットワークで右、左と動く。



 これに真田は飛び込まず冷静に見ており、優也がどっちから行くのか、その動きを見極めんとしている。





 対して優也は今の真田の態勢をしっかり見ていた。大きく開いた足の間を。




 優也はフットワークの最中に右足でボールを軽く蹴り、真田の股下を通す。



「!?」



 気付いた時にはボールが通り過ぎる。真田の右を優也が通ると、自ら蹴り出した球に猛然と迫って走る姿があった。






 ボールがゴール前へ転がって来るのが見えて、真島キーパーの田山は追いつけると判断したか、迷わず飛び出す。



キーパーの飛び出しは一瞬の迷いが致命的なので迷わない。追いつけると信じるのみだ。




 だが、そう信じるのは彼だけではなかった。




 蹴った優也も自らが追いつけると思い、一切の減速無しで自慢の快足を飛ばし、ボールへ向かって全速力で直進する。





 そして動いたボールの行方。











 次の瞬間、東京予選準決勝の会場が揺れた。






 ボールは優也がスライディングで滑り込んで押し出され、田山の右を抜けていくとゴールマウスへ転がる。




 それに真田が諦めず追いかけていき、ボールを掻き出そうとしていた。





 滑り込んでクリアしようとしていたが、身体ごとゴールへと真田が入って、彼の横にボールも転がってゴールマウス内に入っている。






 審判はゴールの判定を下し、立見のゴールを認めた。





『決めたぁーーーー!! 歳児優也またしても決めて、歳児タイム準決勝でも炸裂だーー!! 脅威の9試合連続ゴール!』




 決定的となる2点目のゴール。それが決まると優也の元に立見イレブンが集まり、ゴールを祝福して喜ぶ。立見ベンチでも控えメンバーや摩央、幸が大いに喜んで京子は小さく拳を握り締めた。





 後半アディショナルタイムの2-0。鳥羽は倒れ込んだまま、そのスコアを見ていた。




「(なんてこった……こうなっちまうなんて……はは、笑えねぇけど完敗だわ)」




 自分の必殺とも言えるFKを止めた大門。9試合連続のゴールをきっちり決めた優也。



 そして後半シュート0で宣言通り終わらせ、更に自らのお株を奪うワールドクラスのキックを決めた弥一。



 彼らの前に完敗だった。




 フィールドに仰向けで倒れた鳥羽。顔を両手で覆うと笑いがこみ上げて来る。そして試合終了の笛を彼はこのまま迎え、立見対真島は完全決着。



 夏のインターハイ東京代表が決まる瞬間だった。






 立見2-0真島



 神明寺1


 歳児1

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