世界の注目を集める
※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。
『神明寺弥一またしても決めてくれたぁ!!世界の舞台でも彼の魔法の足が炸裂!日本先制ー!!』
『壁のジャンプした所を狙ってましたね!これを狙うって相当な技術と勇気よ!?』
興奮の坩堝と化したスタジアム、一人の小さな日本人選手が今の状況にさせていた。
弥一は日本サポーターの所へと向かい、ゴールを喜んでいる。
「(この大舞台でも何時ものように決めてくるとは、彼には脱帽するしかないですね)」
ミラン時代からの教え子が活躍する姿に、マッテオは小さく笑みを見せた。
失点した事でメキシコは一気に攻撃的となり、点を取り返そうと前線からハイプレスをかけてくる。
「(っと!流石メキシコは上手いねー、厳しい所を突いてきたりして!)」
ボールを持った弥一にも容赦無くメキシコの選手達が迫るも、彼の場合は巧みに球を操ると相手の包囲網を掻い潜っていく。
表情には笑みもあって余裕さえ見えてしまう。
「(どうなってるんだこいつは!上手いとか天才とか、そんなレベルかこれは!?)」
ランキング上位の強豪国メキシコも彼のプレーに驚かされる。
まるでプレーの先を読まれる弥一の動きに対して。
「6番には無理に奪おうとせずパスを出させなければ良い!」
メキシコの監督からの指示で、正確無比なロングパスだけは出させないようにと意識して守っていく。
弥一のパスに関しては世界でも知れ渡り、それを警戒していた。
「(そんな警戒しなくても今は出さないってー)」
ロングパスを警戒されている事は相手の心で分かれば、弥一はショートパスの方で春樹へ繋ぐ。
「早めに繋いでけ!相手相当速く来てるぞー!」
「わっ……!と……!」
龍尾から注意するようにと指示が飛び出すも僅かに遅かった。
メキシコのフランシス、ルイスが辰羅川を取り囲むとボールを奪い取られてしまう。
ショートカウンターのピンチだ。
『ボールを取られた日本!メキシコの速攻が来る!』
「番!10マーク!佐助さんカバー!」
そこへ瞬時に飛ぶ弥一の指示。番が相手エースをマークしたと見れば、ボールを持ったフランシスは左足の低いクロスを蹴る。
エリアの外側で待ち構えていたバレスにカーブのかかる球が来て、それを左足のダイレクトボレーで合わせに行く。
「させないっとー!」
「オォッ!?」
急に目の前へ飛び出して来られ、驚くバレスをよそに弥一は右足で高く蹴り上げていた。
球がスペインの上空に舞うと風に流されたか、日本ゴール前へ落ちていけば、龍尾が跳躍してボールをキャッチする。
『ショートカウンターのピンチでしたが日本の守備陣が守りきってくれました!』
『安定してますね日本の守備!アジアカップを無失点で制した守備力は伊達じゃないですよ!』
「(守備陣が奮闘してくれてんだ。俺達の方も追加点を取って楽させてやんねぇと!)」
弥一達がメキシコの反撃を抑えてくれてるのを見て、勝也は自分達も攻撃で応えたい気持ちが大きくなっていく。
リードはしているが点差は僅か1点。
守りに入るより攻めて取りに行く方が良いと、勝也が前に出た。
「こっちだ!」
龍尾は勝也のフリーとなってる姿を見れば、そこへ思いっきりスローイングで送る。
GKからの球を勝也は胸でトラップすれば反転してのドリブル。
目の前に立ち塞がるホルヘを躱しに行くが、同時にルイスも来ていて2人がかりで奪いにかかった。
「(こいつらがいるって事は今のサイドは!)」
2人に迫られながらも勝也は冷静な思考を保つ。
今の自分は中央の位置で、今寄せている2人が此処に居るのならサイドは手薄だと気づき、勝也は右の踵を使って左サイドへポールを転がす。
思った通り光明にあっさりと渡れば、左サイドからドリブルで進む。
FW登録の光明だがボランチに続き、サイドのポジションもこなせる力を見せていた。
『神山これは上手いパス!左でフリーとなっている源田に渡る!』
「(お、ショウ良い所に走ってんじゃん!)」
ゴール前に目を向けると照皇の動きが見えて、光明は迷わず左足でメキシコのゴールへと速い球を蹴っていく。
『源田からゴール前!照皇だ!』
照皇がボールを持つと、これ以上の失点が出来ないメキシコDFが必死の守備で阻む。
厳しく体を当てられるが──。
「オォォッ!!」
「っ!?」
照皇は強引に押し退けるように力で突破。
メキシコDFを振り切り、一瞬フリーとなった所で右足を振り抜いた。
エリア内で矢のような速さのボールが飛ぶと、GKカディナの左脇をすり抜けて豪快にゴールネットを揺らす。
スタジアムに再び大歓声が生まれる。
『2点目ー!!照皇誠が強豪メキシコを相手に貴重な追加点をもたらした!日本突き放していく!!』
『照皇君すっかりスランプ脱出ですね!荒々しさも加わって頼もしくなってますよ!』
「流石過ぎんだろ照皇ー!」
「追加点は絶対に欲しいと思っていましたから」
「光明もナイスアシストー♪」
「ショウが良い所に走り込んでたもんで、入るかなって思ってたよ」
弥一、勝也の2人が照皇と光明の2人を褒め称えた後に他の日本イレブンも駆け寄って行く。
「さぁさぁ、此処しっかり完封するよー!」
喜びもそこそこに、弥一はメキシコを完封しようと声を張り上げていく。
相手は2点を追いかけようと必死で反撃してくるはず。
それを心が雄弁に語っているから、弥一は決して気を抜かない。
『メキシコが2点を追って日本ゴールへ迫るも、日本の守備陣が攻撃を跳ね返し続ける!』
『特に中央が堅いですね。高いボールを青山君が主に弾き返し、佐助君が広くカバーしたり神明寺君が危険なパスを潰したりしてますから』
「くっ!」
フランシスはボールを持ち込み、どうにか1点返そうとシュートに行くが佐助の体を張ったシュートブロックが阻む。
日本ゴール前に球が転がると、影山が拾ってキープする。
『此処も守った日本!影山がセカンドを拾う!』
『気づかれ難いですが影山君の零れ球を拾う確率も実は高いんですよね』
「後少しー!集中途切れさせんなー!」
自らも走り、積極的な守備を見せながら大きく声を上げて勝也がチームを引っ張っていく。
攻撃が2点を取れば強固な守備が相手を通さない。
これが今の日本サッカーだと、強豪メキシコ相手に見せつけていた。
そして、その時は訪れる──。
『試合終了ー!日本が初戦を勝ち、幸先良く1勝を手にしました!』
終わってみればメキシコのペースで試合が進んでいたはずが、点を取った事で一気に流れが日本へ傾き、そのまま主導権を渡さず。
喜び合う日本イレブンにヒーローインタビューが行われる。
『神明寺選手、あの先制のFKは下に蹴ると決めてたのでしょうか?』
『いやー、何かあの壁は飛びそうだなぁって思って上を通す予定から切り替えましたね♪』
相変わらず心で読んだ事を言わず弥一は勘が当たったと、陽気に笑ってみせた。
『強豪メキシコに勝利した事で次のナイジェリア戦もサポーターは楽しみになったかと思われますが、次戦に向けての意気込みは?』
「相手は身体能力の超人ですからねー。メキシコとは全然違う戦いになるかもしれませんけど、DFとしては次もきっちり0で抑えて勝ちますよ♪」
慣れた感じでインタビューに答えていくと、それが終わった弥一は日本イレブンへ合流する。
「セットプレーの時はヤイチ・シンメイジ要注意だ」
「出来る事なら日本にFKは蹴らせたくないな……」
この試合を偵察していたナイジェリア、アルゼンチンのスタッフ達。
いずれも弥一の存在が大きく印象に残り、彼が蹴るFKへの警戒心をより強めていた。
日本2ー0メキシコ
神明寺
照皇
マン・オブ・ザ・マッチ
神明寺弥一
弥一「まずは初戦を突破ー♪」
勝也「相手やっぱ相当上手いし、プレースピードも速かったよな。楽じゃなかった」
弥一「とりあえず完封勝利出来て天晴って事で次だねー」
勝也「まだまだ強豪続くから気は抜けないよな」
弥一「さて、ナイジェリアのグルメは〜♪」
勝也「そっちかよ!とか言うまでもねぇや、こいつの考えは分かってたし」




