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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第4章 夏を目指して予選を戦う

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初戦への準備

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「ナイスディフェンスー!」



 ミニゲーム形式での練習。味方が良い守備を見せれば武蔵は声を出して、同じチームのDFを褒めた。




「武蔵、お前結構声出るようになってね?」


「え? そうか?」


「そんなに声出す方じゃなかったからよ」



 同級生から声出すようになり、最近変わったなと言われたりする。武蔵が変わったのは声だけではなく、ポジションもFWから中盤に下がってパスを多く出す。FWをやっていた時と役割はまるで違う。



 パスを受ける側からパスを出す側。まだまだ慣れない事は山積みだが、武蔵のポジション適正としてはFWよりもパサーだった。




 ポジションが代わって以降、CKのキッカーを任されて不思議と調子が良い。重荷から解放されたように体が軽く感じる。武蔵は自分が好調だと、確かな手応えを感じた。



 もしかしたら、スタメンも夢ではないのかもしれない。



 苦しかった日々が嘘のようで、サッカーが楽しくなってきた。着替える時に自然と鼻歌も歌うようになっていた事には、自身も気づいてはいない。






「ほいっ、よっ、とっ!」



 弥一はゴール前のボール目掛けて、足元のボールに左右の足を使って蹴る。いずれも正確に命中させると、2つのボールをゴールマウスへ向かわせる。



「うおっ!」



「おわぁ!」



 2つ迫って来る球に1本止めても気が抜けず、2個目のボールをセーブしなければならないGK達は苦戦。



 ランダムに弥一がフェイントをかけて合図無しで蹴ったり、そのままボールへ当てずにコースギリギリを狙って、ゴールネットを揺らされる。



 イタズラ小僧な部員に振り回され続けていた。



 そんな中で奮闘するのは大門で、集中力を高めて1つのボールを止めると、続けて2つ目の転がったボールもセーブ。



 更に弥一のタイミングで好き勝手に繰り出すキックにも、冷静に対応して片手でボールを外へ弾き出す。



「良いよ大門ー! 目指せ高校No.1キーパー♪」



「で、デカい目標だなぁ」



 そこまで行ってほしいと願いを込めて言う弥一に、大門は大きな目標を掲げられて苦笑する。




「デカい? 無失点優勝目指すんだから、それぐらいなってもらわないと困るよ」



「……!」



 そう言う弥一は何時もの陽気な笑顔が無く真顔で、彼の顔を見た大門が思わず息を飲む。



 無失点で勝つ事に強い拘りがあり、入部の時に言った言葉は嘘でもハッタリでもない。




 弥一は本気で全試合完封の優勝を狙っていて、その為に優れたGKの力を本気で欲している。



 高校1年で、こんな小さい身体で偉業に挑戦する姿勢に偽りは無い。



「よし、もう1本!!」



「お、やる気だねー。行くよー」



 大門は飛んできたボールを受け止めると共に、弥一の本気も受け止めていた。



 彼が本気のサッカーをするなら、自分もまた本気のサッカーをして向き合う為に。







◇  ◇  ◇


 試合2日前まで迫ると軽めの練習で終了後、部室へ部員が集合した後に京子は彼らと向き合う。



「初戦の相手は遊歩ゆうほ高校。目立ったような実績は無く、うちと同じく新設のサッカー部で日は浅いです」



 遊歩高校。



 eスポーツ部は強豪として知られているが、あまりサッカーでは知られてはいない。



 部の面々は格下っぽい、勝てそうだなと、弥一から見れば大半が楽観視している。



「お前ら気を抜くなよ。うちだって歴史で言えば遊歩と変わらないし、むしろあっちの方が先輩だ。歴史はうちが全国で一番下、全員格上だと思え。それを全部食うつもりで勝つ」



 成海は遊歩を格下とは思っていなかった。全国的に立見が一番歴史が浅く、その上監督やコーチもいない。完全な学生主体は全国を探しても、そうは見ないだろう。



 一人の学生が作り出した新設のサッカー部。



 まだドラマやアニメ、漫画のような伝説は何も作り出せてはいない。




 自分達はただの高校の思い出作りでサッカー部を作った訳じゃない。本気で勝つ為にやっている。



 目指す物が頂点なのは強豪、中堅、新設、皆そこは同じだろう。



 遊歩も本気で目指しているなら、手を抜かずに万全の状態で大会に臨むだけ。



 大きな公式戦の初戦というのは非常に重要で、此処の出来次第で今後が決まると言っても過言ではない。




「(食う「つもり」じゃなくて実際全部食う事になるけどね。全国優勝するなら)」



 成海の言葉を聞きながら、弥一は内心で思っていた。



 中堅も強豪も全部倒さない限り、全国優勝は有り得ない。そういう相手とは勝ち進めば嫌でも当たる。この前に練習試合を行った八重葉も、今度は本気の1軍を揃えて臨む事は確実だろう。



 それでも、何処にも負けるつもりは無い。






「では、初戦のスタメンを発表します」



 京子から発表すると聞いて部員の間に緊張が走る。




「GK、安藤」



 キーパーには2年の安藤が選ばれる。



 大門は此処では選ばれなかったようで、やはり一足先に高校サッカーを経験してる実績を優先しての起用か。




「DF、間宮、山口、田村、後藤」



 DFのメンバーが発表されると、八重葉戦に続いて弥一は選ばれず、前回選ばれた川田の名前も無い。



 此処まで1年から誰もスタメンには選ばれないまま、主に2年と3年が主体となる。



「MF、成海、鈴木、岡本、近藤、影山」



「FW、豪山」



 これでスタメンの発表は以上となり、今回は1年から誰も呼ばれなかった。



 その後にベンチメンバーが発表される。




「GKからは大門、神明寺、川田、上村、歳児……」



 実力ある1年は此処で全員が呼ばれ、皆揃ってベンチメンバーとして登録される。



 最近調子の良い武蔵も此処に入ると、右拳を握り締めて喜ぶ。




「(またベンチかぁ、開幕のサッカーとかしたかったけどなぁ)」



 スタメンでは選ばれなくて、弥一は残念そうな顔をしているが、ベンチに選ばれたという事は出番の可能性は考えられる。








 スタメン発表前、京子は成海や豪山と共に話し合いをしていた。



「俺は神明寺は選んでも良いと思うけど、二人はどうだ?」



 弥一ならスタメンを務める力があると成海は推しており、二人へ意見を求める。



「不安だな。あのチビガキ、自由に練習し過ぎて周囲と連携をちゃんと取れんのかっていうのがある。特に同じDFの間宮と……そんな仲良くねぇだろ」



 良いと思った成海に対し、豪山は弥一のスタメンには反対寄りだった。八重葉の試合で間宮が弥一に掴みかかって仲が悪いのではないか、守備の連携で不安要素があると意見した。



 DF同士で不仲があれば、守備が乱れて崩壊するかもしれないと。




「彼は……此処でまだ出すべきではないと思う」



 そして京子も弥一のスタメンは初戦は外すべきと言い、弥一はスタメンにはならずベンチ入りが決まる。



「大門は上背に反応にキャッチングとかなり優秀だけど、実戦経験に関しては安藤が上か……此処は安藤かな」



 GKについては大門と安藤でスタメンは悩んだようだが、最後は経験値の差で安藤を成海は推した。



「歳児はかなりスピード速いし、度胸もある。あいつは良いけど、あのスピードはフル出場タイプじゃねぇよな」



「彼はむしろ後半途中出場で、相手が消耗している所にスピードでかき回した方が良いと思う」



「ああ、そうだな。疲れてる所にあんな速い奴を放り込まれたら絶対やりづらいし。特に終盤、足がきてる所で裏への飛び出しとか効くだろうよ」



 優也もスタメンでは選ばれなかったが、そもそも優也の場合は前半から出場というタイプではない。京子と豪山は話し合い、優也のスピードは後半の途中辺りから出て、相手をかき回したりさせるのが一番良いという事で一致。



 スピードある者が後半途中出場して活躍というのは、高校サッカーに限らず多く聞くケースだ。実力はあるが、あえてスタメンには選ばない。



 優也は相手が消耗してるであろう、後半出場こそ輝く。





「上村はどうするか。FWとしてはそんなパッとしなかったが、中盤に下がってパサーになってから良い働きをするようになってきてると思う」



「荒削りだけどな。試合経験積ませれば行けそうだけど、公式のスタメンは荷が重くねぇか?」



「彼は大舞台の経験は特に無い。いきなりはプレッシャーに潰される可能性があるかもしれない」



 武蔵については此処最近の成長を彼ら3人も知っている。パサーになってからFWの時には無かった輝きを放ちつつあるが、まだコンバートしてから経験不足だ。



 いきなり初戦のスタメンは武蔵にとって、大きなプレッシャーになるかもしれない。


 緊張によって普段通りの動きが出来なくなるのは困る。




「ベンチに置いて、状況によっては途中で出してみるか」



 こうして武蔵もベンチ入りが決定。



 インターハイ予選まで時間が無く、出来る事は全部やっておく。





 全国を目指す戦いは、すぐそこまで来ている……。

宜しければ、下にあるブックマークや☆☆☆☆☆による応援をくれると更なるモチベになって嬉しいです。


サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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