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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第3章 全ての始まりとなった者

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サイキッカーが知らない彼らの出会いと始まり

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 神山家の居間へ通され、改めて弥一は彼らと向き合っていた。



 亡き勝也が一から立見サッカー部を作り上げた同志達が目の前に居る。同じサッカー部のキャプテン、副キャプテン、マネージャー、そして顧問の先生。



 彼らも勝也と共にサッカー部を作ってきて、勝也を知っている。



「勝也と親しかった弟分が今日居ると聞いたけど、神明寺だったのか」



 口を開いたのは成海の方で驚いているのかと思えば、むしろ納得するように頷いた。



「あの、皆さんが勝兄貴……神山勝也の生前の事、知ってるなら教えてください」



 何時もはマイペースな弥一だが、この時は呑気な顔は消えて表情は真剣。4人へと頭を下げて、自分が日本を離れてる間の勝也を教えてほしいと頼み込む。



 八重葉戦で見せた皆への叱咤激励、天才ストライカー照皇と渡り合いフィールドを支配したキングの姿、色々な姿を見た4人にとって異なる弥一の姿だった。



「お前は相当あいつの事を慕ってたんだな。大丈夫、ちゃんと教えるから。こっちにも俺達の知らない小学生時代の事……教えてくれよ」



 豪山は弥一の右肩に軽く手を置いた。弥一と同じように彼らも自分達の知らない勝也を知りたい、互いの知らない勝也を共に教えあう。



 その為に今日、家へ訪れたのだから。






◇  ◇  ◇


 神山勝也 中学1年




「ファイ、オー、ファイ、オー、ファイ、オー、ファイ、オー」



 中学サッカーの強豪校で知られる柳石やなぎいし中学。多くのサッカー経験者がこの中学に入部してきて、その一人として今年から勝也も入部する。



 彼は今大勢の1年と共に基礎練習の走り込みをしている最中。



 小学校の頃より更にレベルアップを図ろうと強豪柳石に入学したが、試合には出られず来る日も来る日も基礎練習ばかりだった。




「はぁっ……はぁっ……はぁ~、何時試合出られんだよくそ……!」



 今日の練習が終わって疲れ果てた勝也は、草の上に大の字となって倒れると夕焼けに変わった空を見上げる格好となる。



 基礎は大事。それはプロサッカー選手の兄である太一からも教わって、大切さは勝也も理解していたが、あまりにも同じ練習が長期で続くと飽きてしまう。



 試合も全くさせてもらえず、同じ事の繰り返しで勝也は文句を言うようになっていた。




「不機嫌そうだな」



 大の字で倒れる勝也の傍に冷えたドリンクが置かれ、目を向けると同じ1年の二人の姿が見えた。



 同じサッカー部に所属する成海、隣には1年の中で最も大柄な体格を誇る豪山。



「……おう、悪いな」



 礼を言うと勝也は冷えたドリンクを手に取り、ストローで飲む。部活で疲れた体に冷たく、程よい甘さが染み渡って癒しとなる。



「サッカーの強豪だから入ったのによー。来る日も来る日も試合出られず、ただの基礎練習ばっか。大人しく従って機械みてーにやってる他の奴らの気が知れねぇよ」



 1年の時は中学サッカーに馴染むように、まずは基礎からとの事。勝也に限らず此処の1年が公式戦に出る事は滅多に無く、レギュラーは経験ある2年と3年でほぼ固めている。



 このまま行くと勝也が試合に出るのは1年、早くて半年後ぐらいになるだろう。



「だったらよ、息抜きに蹴ろうや」


「あ?」


「俺達もお前と一緒って事だよ。厳しい練習に加えて勉強まである。息抜きしなきゃやってらんねぇって二人で息抜きでボール蹴ってたけど、お前も入れて3人の方が面白そうだろ」



「そういう誘いならマジ歓迎!」



 成海と豪山に誘われ、勝也は共にボールを蹴る。なんの縛りもなく自由に蹴れるのは久しぶりに思えた。




 これが切っ掛けとなって3人は共に厳しい練習を乗り越え、共に遊んで息抜きをする友人になっていく。



 勝也が今まで一人で送ってた中学生活は充実し、着実に心身共に成長していった。




 季節が変わりつつある秋のある日、練習中に3人は監督から呼ばれる。



「成海、豪山、神山。今日は紅白戦の方に出てくれ」



 基礎練習の日々から、ついに紅白戦へと呼ばれる。2年と3年がほとんどで1年は数少なく、数少ない枠に3人は選ばれたのだ。



 同級生での紅白戦はあった。上級生も居る紅白戦は今回初めてだが、3人に恐れは無い。



 むしろやってやる、かましてやろうという気持ちしかなかった。





「でぇ!」



 ボール目掛けて勝也は右足を伸ばしながら滑り込む。意表を突くスライディングで相手の持つ球を弾く。



 そのままタッチラインを割ってスローインになるかと思えば、成海がボールを拾ってフォローする。



 勝也の守備から繋ぐと、成海は左サイドを攻め上がっていく。カウンターとなってドリブルで運ぶと、相手DFが迫る。



 ギリギリまで成海は引き付け、左足で高いクロスを上げた。



 そのボールに合わせ、長身の豪山が走り込んで高くジャンプ。



 ピタリとタイミングの合った眉間に当ててのヘディングシュート。走り込んで勢いをつけたヘディングはDFに競り勝ち、キーパーの反応した手を掠めてゴールに入っていった。



「おおー! やった智春! 何時もながらナイスヘッド!」


「お前も良いクロスだったぜ蹴一!」



 共に喜びハイタッチを交わす成海と豪山の後に、勝也の方も二人へ駆け寄る。



「勝也もナイスディフェンス!」


「度胸あるスライディングするよなお前」



 得点に繋がる切っ掛けとなったプレーを二人は揃って称賛。



「今更ながらすげぇコンビだよなぁ、お前ら」


 成海と豪山によるアシストとゴールを見て、勝也は確信した。



 こいつらとなら中学の全国は行けると。




 ただ、現実は甘くはない。



 紅白戦の結果からか勝也、成海、豪山の3人は公式戦で初めてのベンチ入りを果たす。ただ、他の先輩達が交代で出るのをアップしながら見ていたり、ベンチに座って出番を待ち続ける日々。



 チームは都大会予選ベスト4で惜敗。



 勝也の中学生活最初の1年は、公式戦に一度も出る事が無く終わった。






「出てぇなぁ、全国」



 新たな年を迎えた1月。今年から2年となる勝也は自宅の炬燵に入り、勉強に追われていた。成海と豪山も神山家に招き、彼らも同じ炬燵に入って勉強中。



 その時、目の前のテレビでは新年恒例となった高校サッカーが流れて、勉強中だが視線は試合の方へ向く。



 自分達の居る中学サッカーよりもレベルが高く、長い時間を戦う彼らが映っている。



 全国で戦う彼らを見て勝也は、ぽつりと言葉が出て来た。



「お前は全国出てたろ小学校の時。俺らは予選落ちで全国の舞台に立ってねぇぞ」



 勝也が全国に小学生時代出ていた事、それを豪山は本人から聞いて覚えている。勉強の手を止めて、勝也の母が置いてくれた多く積まれた蜜柑の一つを手に取り、皮をむいて一つ口に入れる。



 熟した甘い蜜柑で美味い。



「そうだけど出たいんだよ中学も高校も。今年は俺ら2年だし、1年の時と違って試合出れるチャンスはあるんだ」


「まだ中学の全国出場も決めてないのにもう高校か。気が早いよな」


「あとたった2年の話だろ。早くもねぇよ」



 成海は一足先に勉強を終えたようで、じっくりと高校サッカーの方を見ていた。これに勝也も早く勉強終わらせようとしていたが、苦手な数学で苦戦して中々終わらない。



「2年って高1だよな。また基礎練の毎日で試合出させてくれないんじゃないか?」


「あー……」



 蜜柑を食べる豪山に言われ、勝也は数学とは別で悩む。


 中学で1年から基礎練習の毎日だった。高校でも強豪校では1年目にそんな日々が待っているのは、ほぼ確実かもしれない。



 小学校から中学校、高校と上がるにつれてサッカーの試合時間は長くなる。



 最初の40分から60分、そして80分と90分。



 長くなった時間の感覚に不慣れで、基礎体力不足のうちから試合に出てはフル出場はおろか、怪我へと繋がる可能性が非常に高い。それで壊れる選手を出さない為に、1年目は大事に基礎練習を積み重ねて準備をする段階。



 それが中学にあって、高校で無いという事はありえないだろう。



「お、今の凄く上手いなぁ。智春、お前もボール持ってない時の動きとかもっと意識した方がいいぞ」


「わーってるって」



「あー、集中出来ねーから試合終わってからにしよ!」



 結局勉強に集中出来ない勝也は成海、豪山と共にテレビの高校サッカーへ注目。



 蜜柑を食べながら夢中で試合を見た結果、赤点ギリギリまで追い込まれてしまう。













 季節は中学生活2年目の春を迎え、3人は2年生へ上がった。



 サッカー部の方に新たな部員がまた加わって来る。勝也達の後輩となり、彼らもこれから基礎練習の毎日を味わう事になるだろう。


 どれくらいついてこれるのか、それぞれが思っていると。



「倉石京子、2年。マネージャー志望です、よろしくお願いします」



 身長が伸びてきた勝也や成海と同じぐらいの背丈の女子、青髪のセミロングでクールそうな近寄りがたい雰囲気が漂う。


 ただ、確実に言える事があるとすれば彼女は美少女だ。



 一部の男子が盛り上がる声に対して監督が叱る。




「(……綺麗な子が入ったなぁ)」



 京子を見た勝也は、人生で初めて異性を意識していた。

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サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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