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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第2章 いきなり強豪と練習試合

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異なるオフの過ごし方

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 立見サッカー部が4月に入り、初めて練習試合を行う相手がいきなり高校サッカー界の王者、静岡の八重葉学園。


 日程を告げられて、翌日から行われる朝練はより熱が入るだろうと思われたのだが……。





 4月8日 土曜日 午前8時



「zzz~」



 本来なら朝練の時間は既に始まり、終わりを迎えそうな時間帯なのだが弥一は起きる気配が無いまま、家のベッドで存分に睡眠を堪能中だ。



 今日は学校自体が休みで各部活も休み。勿論それはサッカー部も例外ではない。


 部活に打ち込むのは良いが、休める時にしっかり休むのもトレーニングの内だ。闇雲に練習量を多く積んでもそれは怪我の元。



 練習する時はしっかり練習し、休む時もまた同じ。


 それが弥一のスタイルだ。



 今日が休みというのを分かっていたので、弥一は夜にグルチャで摩央や大門と話していた。自分のやっているアプリゲーで魔王のキャラの限定ガチャ魔法が当たり、「神引き最高ー♪」と自慢すれば、同じゲームをやっていた摩央から「こっち爆死だよこの野郎ー!」羨ましがられる。



 ちなみに大門は、そのアプリゲーをやっていないので話についていけてなかった。



 そんな会話を楽しんだり、馴染みの動画サイトで推しのグループの動画で笑って夜を過ごしていた。




◇  ◇  ◇


「ふあ~あ~」



 8時10分、ようやく弥一は起床。


 洗面所へ眠そうにしながら向かって顔を洗い歯を磨く。家は弥一だけ、母の涼子は昨日から仕事で家を空けたまま。今日の昼辺りには戻って、後は月曜になるまでは休めるそうだ。



 弥一は朝食に大きなメロンパンを食べる。行きつけのスーパーで安く売ってる菓子パンで、値段の割にサイズが大きい。甘いパンだけでなくコロッケロールと惣菜の方も買っており、コロッケの方を電子レンジで温めている間にメロンパンは食べきる。



「あっつー、ちょっと暖め過ぎかなー……」



 レンジで若干暖め過ぎて、コロッケロールを熱そうにしながらも弥一は美味しく食す。やはりコロッケは冷めた状態よりも暖かい方が美味かった。



 前に冷えたコロッケを食べて、あまり美味しく感じなかった弥一は最後まで暖かいコロッケロールを美味しく完食すれば、コーヒー牛乳も飲み終えて朝食は終了となる。



「どうしよ~……っと、ログボログボ」



 朝に起きたのは良いが特にする事の無い弥一。とりあえずやっているスマホゲー2つの方でログインだけして、ログインボーナスを貰っておく。



 これからどうするかと窓の外を見れば、弥一の前に広がるのは桜見の町。



 学校で立見ばかり行っていたが、此処に引っ越してから桜見町をじっくりと回れてない。とりあえず軽く身体を動かすついでに町を見て回るのも悪くないと、弥一は私服に着替えてスマホをズボンのポケットに入れる。



 弥一の私服は青い半袖の服、上に長袖で薄手の黒いパーカー、白い短パンに赤いスポーツスニーカーという格好だ。




 土曜の朝の人通りは少なく、外出して遊びに行く家族の姿や散歩している老人、ランニングしている大学生ぐらいの若者などが見えるぐらいだ。



 弥一は土曜の自由時間を楽しもうと、目的地を特に決めてない散歩を鼻歌混じりに楽しんで歩く。早朝に学校へ行く時と比べ、何時もの道が全然違って見えていた。




 その姿は近い日に高校サッカー界の王者との練習試合を控える、サッカー部員とは思えない。誰が見ても休日に散歩をする子供だ。



 何時も駅まで行く通学路を歩き、桜見駅前までやって来た。此処に来ると先程よりも人が多く色々声が聞こえてきて賑やかだ。今日は特に電車に乗る予定は無く、此処まで来たのは良いが弥一はどうするかと考える。



 ゲームセンターで時間を潰そうかとも思ったが、開店時間は朝の10時から。スマホで時間を見れば時刻はまだ8時40分を回った所。


 此処で1時間半も流石に時間は潰せそうにない。



 格闘ゲームでもやりたかったが、諦めて弥一は他の場所を歩いてみる。




 賑やかな駅前から公園のある方向へ歩く。桜見では大きな公園があるようで、まだ一度も行った事が無い弥一は興味が沸いてきた。


 大きな建物ばかりの場所から緑溢れる場所へとやって来る。




 桜見運動公園



 朝の土曜とあって、この時間から子供達の遊ぶ声が聞こえていた。丁度ベンチが空いていたので、弥一は腰掛けると緑に囲まれた風景を眺める。


 忙しい朝からの部活や学校も、この時だけは忘れて自然豊かな公園での一時を堪能。



 こうやってベンチに座ってただボーっとするのも悪くない。このまま眠ったら気持ち良いだろうなと、弥一に此処で一眠りしたいと睡眠欲が出てきたせいか、欠伸が出て若干の眠気が襲う。




「呑気に昼寝か神明寺?」


「ん……?」



 夢の世界へ誘われかけた時、覚えのある声に起こされる。弥一が目を開けると自前の黒いジャージを着た優也が立っていて、ランニングでもしていたのか若干の汗が見える。



「何で歳児が居るのー?」


「ひとっ走りして此処の公園のコースを回っていたんだ、そうしたら眠そうにしてるお前が居た」



 優也は桜見町住まいではなく隣町の方に住んでいて、此処まで走ってきたと思われる。1年の中でスピードが最も優れてる上に抜群のスタミナを誇るのは、この走り込みのおかげなのだろう。



「熱心だねー。オフの日まで走り込みって」


「何時もやってる事だ。これをしない方が調子が崩れる、それに…あの八重葉と練習試合があるんだ」



 努力家だなと弥一は思ってたが、優也は自分をそうは思っていない。ただ、昔からやっていて日課の一つとしている。



「そういうお前は自主トレとかしないのか?」


「まー、する時もあるけど今日はしないかなー。練習は朝練も含めて部活でたっぷりやったし、詰め込み過ぎたら疲労が溜まって大事な時に動けなくなっちゃうよ」



 休みの日も走り込んでいる優也と違って、弥一はトレーニングするつもりは無い様子。


 練習は大事でも詰め込み過ぎは良しとしておらず、休む時は休む。強豪との試合が迫ろうがそれは変わらない。



「……イタリアだとそんな感じなのか?」



 休日を満喫する弥一に、優也は彼の座るベンチの左隣に腰掛けて尋ねる。日本とは違う異国の地で3年ほど過ごし、一体どんな生活を弥一が送っていたのか気になってきたようだ。



「イタリアではね、休息こそ最高の練習って言われてるんだよ」


「休息が……最高の練習?」



 弥一は前を向いたまま微笑むと、イタリアでやっていた事を語る。優也は彼の方へ視線を向けて話を聞く事に集中。



 興味深いと優也の心の声が大きくなる。



「向こうだと少年サッカーの活動は週3日、日本の半分ぐらいだね。朝練もしないよ」


「そうなのか? 日本と全然違うじゃないか」



 朝練が無い事に優也は驚きを隠しきれていなかった。朝練は日本では当たり前のように行われ、必要だと思って続けてきている。ヨーロッパの強豪国だと、それをしないというのは彼にとって衝撃の事実だ。



「サッカーに限らず日本人っていうのは働き者だからね。僕が日本の事を話したら向こうが驚いていたぐらいだよ。練習し過ぎ、働き過ぎだってさー」



 弥一が日本のサッカーについて、小学生の頃をイタリアのチームメイトである友人達へ話したら皆が驚いていた。朝練をせず活動が3日のイタリアサッカー少年からすれば、大分変わっていると。



「イタリアだけじゃなく、ヨーロッパのサッカー練習時間は90分から120分。これが何を意味するか……歳児、分かる?」


「90分に120分……」



 弥一から問われるヨーロッパの練習時間、その意味を考えると優也はハッと気付いた。




「90分、プロのフルタイムでの試合時間。120分は延長戦を含めてか」


「そういう事。アディショナルタイム含めたらもうちょい長いけど、彼らはほぼ試合時間と同じ練習時間をやってるんだ。試合時間を身体に覚えさせる為にね」



 彼らが行っている練習時間が、実際の試合時間と同じという事に優也は気づいた。


 日本人が量を重ねて練習を行っていれば、海外では質の方を重視している。質のある練習を90分で全て収めるのが、海外のスタイルなのだと。



 聞けば聞く程日本と海外では、サッカーが練習から既に全く違う。日本の方が練習量は多いが、サッカーにおいて世界トップレベルの強豪国は、日本より練習量が少ないにも関わらず強い。



「あ、日本が間違ってると言ってる訳じゃないからね? ちゃんと日本のサッカー強くなってるし。変わらず海外と比べて練習量は多いのは否定しようがないとして」



 弥一は今の日本のサッカーについて否定はしてないと付け足す。近年の日本は強豪国から金星を挙げる試合もあって、日本の量による練習も成果が出ているという事だ。



「……つまりどういう事なんだ?」


「まあそうだねー。努力のやり方は国や人それぞれって事かな? オフの日に歳児は走り込みで調子を整え、僕は好きに過ごして休む今みたいに」



 優也は走り込みで何時もより張り切っていた。レギュラーに選ばれて八重葉との試合へ出場する為に。それとは対照的に弥一は自主トレを全くせず、マイペースに遊んでオフを過ごす。



「一気に色々な世界を知ったな……」


「あ、ランニングの続き行くの?」



 ベンチから立ち上がる姿を見えて、弥一は優也がランニングを再開するのか思ったが、問われた彼の方は首を横に振る。



「お前や世界を見習って、て訳じゃない。喉渇いたから飲み物買いに行くだけだ、それでもう少し休む」


「何か飲むなら僕も行くよー。アップルジュースとか無いかな?」


「オレンジの方がありそうだろ」



 優也が飲み物を買いに行くと聞けば、弥一も何か飲みたくなって彼について行く。



 異なるオフを過ごす二人は自然と並んで歩いていた。

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サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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