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俺の親が神さまの敵なんだが  作者: トミー
日常を侵食する闇
19/24

迷宮化

更新祭りじゃーい!


街の人々の命を奪い続けるフェンリルを止めるため、動き出した弘樹たち。


治安維持組織バインダーの雫、思出との出会い、弘樹は思出との戦いを経て自分の実力不足を痛感する。


そして1週間後、フェンリル討伐作戦当日である。



「集まったか」


なんの変哲も無い公園、時間は夕方6時ころである。


思出はいつもの服装だったが、雫はフード付きパーカーにヘッドホンを首にかけていたラフな格好だった。


「さて、こんな時間に集まって貰ったのは理由があります〜」


雫はいつもどおりだるそうに話し始めた。


「私たちバインダーがフェンリルの居場所を把握したって言いましたが、あれは半分嘘で半分本当です。

把握しているのは、ここを中心とした半径5km以内ということだけ、はっきりとした場所までは分かりませんでした」


雫が言うにはバインダーが持っている魔力感知レーダー、フェンリルがその許容を超えるほどの魔力を有してしまっているらしくレーダーでははっきり捉えられなかったらしい。


ではどうやってフェンリルを見つけるのか。


「なるほどですね」


ロキが一人納得したようにそう言った。


「私の「神」の第六感ならフェンリルの魔力を捉えられます。半径5km以内であれば容易いでしょう。そしてこの時間、魔力が高まる夜、その変化が始まる時間帯。フェンリルが傷を癒すのにもってこいですからね。

最初から私を利用する気満々じゃないですか」


「利用するなんて人聞き悪い〜、ねぇ思出君」


「いやお前は悪いわ、弁解の余地ない」


「まぁね〜」


褒めてないと言いながら、今にも寝そうな雫にチョップしている。


こういう姿を見ていると正直不安しか感じないが、二人の実力は俺自身身をもって味わっている。


この中で一番弱いのは確実に俺だ。


「何また悲観的な顔になっているんですか?」


「ロキ・・・」


「今更後悔しても遅いですよ、それにこの1週間頑張ったじゃないですか。まぁ私からすればまだまだですが・・・いざというときは私が助けますんで大丈夫ですよ」


顔に出ていたようで心配されてしまった、情けない。


「まぁやれるだけやるだけ・・・かな」


この1週間何もしていなかったわけじゃない、だが強くなったとは言えない。


正直不安しかないのだ。


今まで勝ち続けてきた訳ではないが、ここ最近は殺されかけたり女の子に喧嘩で負ける等ショックなことが多すぎた。


すっかり自信喪失してしまった、


と言ってはいられないと自分に言い聞かす。


これからの俺の人生、神々から命を狙われ続けるのだからロキに頼りっぱなしになる訳にはいかない。


「じゃあ始めますね」


ロキが魔力感知の態勢に入ると、ロキの体が紫色に光り出した。


おそらくこれが魔力というものか、


ロキが纏っていた魔力は周囲に広がっていく。


公園の外へ、さらにさらに広がっていく。


そんな中、雫は俺に対してこう言った。


「弘樹君、覚えていなさい。

魔力は人間には感知できないものであり、そして時に人間界に有害にもなることを」


有害になる、俺はこの時は何を意味するのか分からなかったが、考える暇もなかった。


「・・・!見つけた」


ロキは南西方向を指差した。


「距離は1.5kmくらいってところですかね。ただ困ったことに」


「?」


ロキは少し考えて


「位置的に地下、それに深い。これはおそらく迷宮化してますね」


「迷宮化・・・魔力の影響で地脈が変化したのね・・・籠城にはもってこいね」


雫は考え込むように顎に手を当てた。


「迷宮化した土地は、複雑な造りになっていて最深部にたどり着けるか分からない上に魔物も住み着く。

この人数で中に入るのは危険、もちろん放置もできない、むしろ早急に対処しなければ迷宮が広がる始末・・・」


「最も厄介なのはトラップだな、俺たちの中で迷宮攻略に長けたやつはいない。やはり一度戻った方がいいんじゃないか雫」


迷宮と聞けば、大体予想はつくだろう。


入るものをあらゆる手段で惑わせるダンジョンとも呼ばれるもの。


道も複雑ながら定番のトラップまであると来た、雫が言うにはそういった場所には珍しいものが取れるだとか言って攻略の専門家トレジャーハンターと呼ばれる人もいるだとか。


しかしこの場にはトレジャーハンターはいない。


運良くフェンリルの元にたどりつけるかもしれないが、確率は低いだろう。


永遠と迷宮をさまよい続けるか、トラップに引っかかり死ぬか、


どちらにせよ簡単には決められないことだ。


雫も迷っているようで無言で腕を組んでいた。


思出は知り合いにトレジャーハンターがいないか探そうとしていた。


ロキはというと


「?何でまた悩んでるんですかね?」


2人の心中を察することなくあっけらかんとしていた。


「話聞いてなかったのか?フェンリルが住処にしている周辺が迷宮化しててどうしようもないんだとよ」


「迷宮化ですか?」


そうなんです、それで行くかどうか審議中なんです。


「それなら大丈夫だと思いますよ」


「「「何だって?」」」


3人の声が揃った。


「ロ、ロキさん、大丈夫とはいかほどに?」


驚きの余りに敬語になってしまったが、大丈夫とはどういうことなのか。


「迷宮といっても今回の目的はフェンリルじゃないですか。それなら私の魔力感知で進めば迷うことないですし、トラップの探知そして解除なら私の得意分野なんで」


「「「適役すぎる」」」


再び3人の声が揃ってしまった。


驚くのは無理もないと思う、さすがに都合のいいハイスペック野郎すぎた。


忘れていたがそういえば神さまだった。


「と、とりあえずスタート地点には立てたね・・・。さぁ準備はいい?」


雫も動揺していたようだったが、すぐに気を取り直して現場指揮に戻っていた。


あぁ準備ならもうできている、他の2人も言わずもがな。



俺たちの迷宮攻略が始まる。





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