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29 マスターズ 夢が叶うとき・・・

とうとう夢叶う。ほんとの夢がわかるとき。

最終日。怜勇は最終組でプレーをする。


朝、怜勇は笑に言った。

「いよいよ。この日が来た。緊張するよ!最終組でプレー出来るなんて夢みたいだ。」

「うん。よかった。夢叶えてね。怜勇!ずっと見てるよ」

「・・・笑・・・」

怜勇は正面で話していた笑を抱きしめた。

「笑。すこしだけ・・・すこしだけ。このままで。     俺に力をくれ!」

笑は、ドキッとして怜勇から離れようとしたが、いつも自信満々で強い怜勇の体がいつになく、冷たくて心なしか小さく震えているのに気がついた。笑は

『少しだけ少しだけこのままでいよう』

と思い怜勇に体を預けた。すると怜勇の体は震えがとまり、体に温かさが戻った。

すると怜勇が、すうっと体を離し

「ありがと!じゃ行くわ」

と、ニッコリ微笑んでHOTELの部屋を出て行った。

笑はその閉じたドアをいつまでも見ていた。すると笑の手に小さな暖かい手が繋がれてきた。爽の手だった。二人は無言で微笑みあいそのまましばらく手を繋いでいた。


笑は、今日も自分しかお揃いなのを知らないディオールのネックレスを胸につけ、マスターズカラーのグリーンに合わせて白地に爽やかな若草色の小花柄の散らしてあるワンピースを着込んだ。

爽快達もおばさんの手作りのグリーンのオーバーオールとミニスカをはいていた。

「うわー。爽快!かわいい!よく似合ってるよ」

二人はグリーンジャケットと同じ色の服に大喜びだ。

怜勇のお母さんもそんな二人を目を細めて見ていた。


コースに着くと笑と爽快は地元のTVカメラにインタビュー付で撮影された。

「ミスターレオの弟妹ココロ サヤカと幼馴染のエミー。マスターズグリーンの服がキュートな弟妹とそのグリーンに映える小花柄のワンピースが素敵な三人!」

と紹介された。爽快達はTVに映った事でご機嫌だ。笑は久しぶりのTVカメラに少し緊張した。

そんなこんなですごしていると、最終組が1番ホールにやってきた。


怜勇は笑たちを探して見つめていた。爽快達は手を振っている。笑はやさしく怜勇の大好きな笑顔を振りまいた。怜勇は帽子のつばをつかみ軽く会釈をした。

いよいよ優勝へむけて最後の日の戦いが始まった。


息を呑む戦いが続いている。

前半ホール最後の9ホール目。怜勇はピンチを迎えた。よくてボギー。最悪ダブルボギーだ。

怜勇はなんとかボギーで抑えた。

ここでトップと二打差。

後半ホールで出しの10番ホール。先ほどのミスを取り戻すバーディ奪取。

1打差!それからなかなかバーディがとれない。チャンスにつけるもカップにけられるシーンが多い。

我慢のゴルフだ。怜勇の顔に焦りが見えてきた・・・。

残り2ホール。1打差で2位の怜勇。

笑は次のホールへ向かう途中思い切って怜勇に声を掛けた。

「れーーおーー。すまいーーるぅーー!笑ってぇ!」あいす

大きな声で怜勇に届けとばかりに叫んだ。

怜勇が振り返った。

笑と怜勇の目があった。

二人は二人だけがわかる空気になった事に気付いた。

二人は微笑みあった。怜勇はうなづいて前を向いた。

17番ホールバーディチャンス。今度はナイスイン。1位タイ並んだ。勝負は18番ホールへと・・・。

笑は見ていられなかった。胸元のネックレスをにぎり口を硬く結んで俯いていた。

すると愁がそばに来て

「しっかり目を開けて見ていてやれ!笑が見ないでどうする?な?」

とポンポンと頭をたたいた。

「わかった・・・」

笑はしっかり何があっても見る事をちかった。

ナイスショットとナイスアプローチでグリーン上まできた。トップの二人はお互いバーディチャンス。しかし二人とも入らず。難しい距離の残った怜勇のパーセーブパット。入った。怜勇より簡単なパーパットを残している相手。誰もがプレーオフに入るだろうと思っていた。

が、パーパットを外した・・・・。

その瞬間、ワーーーーーとギャラリーが沸いた。

笑は、声にならず涙が流れた。怜勇が優勝したのだ。怜勇の夢が叶ったのだ。

怜勇はキャディーと抱き合っている。近くに怜勇の家族が寄って行った。怜勇は爽快達を抱き上げ母親と抱き合っていた。

笑はとめどなく流れる涙をぬぐうことなく拍手を続けている。

日本人初のマスターズチャンピオンの誕生です!とアナウンスされている。インタビューがされている。

流暢な英語で受け答えする怜勇。すると突然マイクを借りて怜勇が日本語で

「笑!」

と言いながらとっくに笑の場所を見つけている怜勇が笑の方へ歩いてくる。そして笑を抱きしめた。

いっせいにカメラのシャッターがきられた。そして

「笑!俺の夢がひとつ叶ったよ。でもまだもうひとつ叶えないと優勝した事にならないんだ・・・」


「えみ。ずっと好きだった。マスターズ優勝できたら言おうと思っていた。俺のもうひとつの夢なんだ。

結婚しよー えみ・・・」


笑は頭が真っ白になった。

声にならなかった。

涙が止まらなかった。

ギャラリーの大歓声が聞こえなかった。


笑は涙でグシャグシャの顔で怜勇を見上げ頷いた。


夕焼けに映える18番グリーンで行なわれた怜勇の優勝セレモニーとプロポーズは全世界に放送され、各国のマスターズを一緒に戦ったゴルファー達の祝福を受ける事となった。

長い間お付き合いありがとうございました。なんとか初投稿初完結を迎えることができました。素人文にも係わらずお気に入りに登録してくださった方。評価してくださった方本当にありがとうございました。励みになりました。今後番外編でキャロル&愁や結婚に向かう怜勇と笑の話など短編でも書ければと思っています。

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