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〜二度目の人生が始まるまで〜

初めまして!瀬渡です。

初投稿になります。

初めてなので文章力が足りない部分もあると思いますが、楽しんで読んでいただけるよう頑張ります。

序章は、渡辺の前世から始まります!

それでは、第二の人生を始める物語をお楽しみください!

 現在、一人暮らし、独身の渡辺拓也。三十四歳のサラリーマン。

 学生時代はそこそこ友達もいて、クラスにも馴染んでいた。成績も良くも悪くもなく、 運動も飛び抜けて得意というわけではない。

 俗に言う、ごく普通の生徒だった。

 

 社会人になってからも、ブラック企業とまでは言わないが、それなりの会社に就職した。給料も生活できる程度にはあり、特別不自由を感じることもない。

 誰が見ても、平凡な人生。

 

 そんな俺にも、どうしても叶えたい夢、行きたい場所の1つや2つはある。だが、

 

「また今度でいいか」

 そう思っているうちに気づけば社会人になっていた。

 そして今では三十四歳。

 周りからは「まだ結婚しないの?」なんて軽く聞かれる年齢になってしまった。


 このまま、行きたい場所にも行けず、夢も叶えられないまま人生が終わるのは嫌だ!


 そんなことを考えながら、今日も俺はパソコンに向かい、いつも通り仕事をこなしていた。

 

「渡辺先輩! こんな遅くまで残業してたんですか?」

「ああ、お前が押し付けてきた資料を片付けてるところだが?」

「いやぁ、本当にありがとうございます! 終わったら飲みに行きましょう!」

「どの口が言ってんだか。」

 

 この生意気な後輩は佐藤。

「急な用事ができまして!」だの、「今日だけお願いします!」だの、毎回もっともらしい理由を並べては、自分の仕事を俺に押し付けてくる。


 正直、何度断ろうと思ったかわからない。結局引き受けてしまうあたり、俺も相当なお人よしなんだろう。

 

 残業を終えた俺は、半ば強制的に佐藤に居酒屋へ連れて行かれた。

 

「先輩! 今日は俺のおごりっす! いつも助けてもらってるんで!」

 こいつは、すぐ調子のいいことを言う。

「そう言って、前も割り勘だったよな?」

「今回は本当ですって!」

「そんなの信じられるか!」

 

 そんな話をしていると、失礼しますと店員がビールとちょっとしたおつまみをテーブルに並べる。

 

「じゃ、先輩! お疲れ様でーす! かんぱーい!」

「……乾杯。」

 

 グラスを軽くぶつけ、ビールを一口飲む。

 

「いやぁ、それにしても先輩って本当に面倒見いいっすよね!」

「お前みたいなのがいるからだ。」

「またまたぁ。素直じゃないなぁ。」

 

 こんな調子で、いつも他愛もない話をしている。

 こんな他愛もない話をしていると、不意に佐藤が質問を投げかけてきた。

 

「先輩って、夢とか、行きたいところとか、結婚願望とかないんすか?」

 

 まるで心の傷をえぐられたような気がした。

 

「もちろんあるとも。海外に行ってゆっくりしたり、昔から憧れていた場所に行ってみたりな。だけどなぁ、どうしても後回しにしちゃうんだよな。また今度、また今度って」

「先輩、それはよくないっすよ。やりたいことはやっとかなきゃ。やりたいことを何もしないまま死ぬのが、一番嫌じゃないっすか。」

 

 それくらい俺が一番わかってる。

 そう佐藤に言い返したいところだったが、図星すぎて何も言えなかった。

 

「まあ、そのうちな。今は忙しいんだ。先方との大事な取引もあるからな」

「あー! 先輩、だから夢とか叶えられないんですよ! 行きたい時に行かなきゃ!」


 ……いやいや。

 今、大事な取引があるって言ったよな?

 こいつの耳は飾りなのか?

 

「先輩!俺やりたいことがあるんですよ!なんだと思います?」

「会社を爆発させることとかか?」

「ちがいますよ!そんなことしたらただじゃすみません!」

「じゃあ何がしたいんだ?」

「自分で会社を起業してみたいんです!」

 

 スケールがでけぇなぁ。今日の居酒屋代を奢るか割り勘にするかで悩んでいる俺とは大違いだ。


 だが、こいつの夢を見下したり、笑ったりするつもりはない。何か夢があったとしても、結局何も挑戦しなかった俺よりは、ずっと立派だからな。


「いいじゃないか。何事も挑戦だ。大きな夢を持つのはいいことだぞ」

「どの口が言ってるんですか!」

「……で、ということは今の会社は辞めるのか?」

「まあ、そういう方向で進めてますね。それに俺、結婚を約束している彼女がいるんで!」


 ……ん?


 カノジョ?


 その言葉を聞いた瞬間、なぜか胸の奥が少しだけ痛んだ。


「お前、彼女いるのか?」

「はい。いますよ? 言ってませんでしたっけ?」


 ……よし。


 こいつを今から少しだけ痛い目に遭わせよう。

 そう思ったが、なんとか理性で抑え込む。


「全然知らなかったわ。おめでとう! 結婚も約束してるって、結構すごいことだな!」

「はい! 先輩に受け入れてもらえて嬉しいです!」


 祝福したい気持ちは本物だ。


 ……ただ、今すぐ肩を軽く叩くふりをして殴りたい気持ちも少しだけある。


「彼女には起業すること、話してあるのか?」

「はい! 『あなたがやりたいことなら、私はどこまでもついていきます』って言ってくれました」


 ……。


 くそぉ。

 めちゃくちゃ幸せじゃねぇか。


 話していると、いつの間にか二時間が経っていた。


「そろそろ帰るか」

「そうっすね! ところで先輩〜、今日割り勘でもいいっすか?」

「……お前、今日奢るって言ってたよな? いつの間に割り勘になってんだよ」

「いいじゃないっすかー」

「まあ、そうだな。彼女がいることも聞けたし、お前の夢も聞けたし……今回はしょうがないな」

「あざっす! さすが先輩!」

 

 まったく、しょうがない後輩だ。

 だが、こういうところもきっと、こいつが周りから愛されている理由なんだろう。


「じゃあ先輩! 今日はありがとうございました!」

「おう。また行こうな」

「先輩も、やりたいことやってくださいよ!」

「分かった分かった」


 やりたいこと、か。

 もちろん、俺にもやりたいことや夢はある。

 だけど、今の生活で精一杯になってしまうんだよな。

 

「……コンビニでも寄って帰るか」


 そう呟きながら、見慣れた景色、歩き慣れた道を歩いていた。


 今日も、昨日までと何も変わらない一日だった。

 だが、少しだけ違った。


 後輩の夢を聞いた。


 自分のやりたいことに向かって進もうとしているあいつを見て、俺は少しだけ羨ましく思ってしまった。

 

「俺も……もっと色々挑戦していれば良かったのかな」

 

 そんなことを考えながら歩いていた、その時だった。


 ――ガッシャーン。


 頭上から、突然大きな音が響いた。

 そこには、工事中の大きなビルがあった。

 反射的に顔を上げる。

 視界に入ったのは、迫りくる巨大な黒い影。

 

「……は?」

 

 次の瞬間、俺の意識は途切れた。

またまた瀬渡です。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

まだまだ未熟な部分もありますが、渡辺拓也の二度目の人生を楽しんでいただけるよう頑張って書いていきます。

次回から、いよいよ異世界での新しい人生が始まります。これからもよろしくお願いします。

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