71,一生の宝物と甘く濃密な時間とすっぽんぽん
伸が、少し照れくさそうに言う。
「細いけど、一応プラチナだよ。ユウに持っていてもらいたいと思って」
「あ……」
うれしいのと驚いたのとで、チェーンを持つ手が震え、鼻の奥がツンとする。
「ありがとう! 一生の宝物にする」
「一生だなんて、大げさだな」
そう言いながら、伸もうれしそうだ。
有希は、チェーンを持った手を差し出して言った。
「伸くん、着けて」
「じゃあ、向こう向いて」
伸が、有希の首元にチェーンをかけて、後ろで金具を留めてくれる。有希は、伸に向き直って言った。
「どう?」
「うん。よく似合っている。もう少しボリュームがあるほうがいいかと思ったけど、ユウの細い首には、ちょうどいいかな」
有希は、しなやかに肌になじむ繊細なチェーンに指先で触れる。
「僕もこれ、すごく好き。うれしい。もうずっと外さないよ」
すると伸が、いたって常識的なことを言った。
「でも、学校には着けて行けないだろ? 校則違反になるんじゃないか?」
「シャツの中に入れて、ちゃんとネクタイを締めておけば、外からは見えないから大丈夫だよ。あっ、でも、体育の授業のときは外さないと駄目かな」
これがあれば、伸に会えないときも、いつも伸を近くに感じていられる。もしかして、そういう意味で、寂しがる有希のために、伸はこれをプレゼントしてくれたのだろうか……。
ふと顔を上げると、優しい眼差しで伸が見つめている。
「伸くん!」
有希は、伸の胸に飛び込んだ。
「大好きだよ」
「ユウ」
見上げると、ゆっくりと伸の顔が近づいて来る。唇が重なり、甘く濃密な時間が始まる……。
「伸くん。お願い……」
唇と唇が離れた後、有希は、吐息混じりに言った。体の奥のどうしようもない疼きを、伸になんとかしてほしい。
伸は、黙ったまま有希の肩を片手で抱き寄せ、奥の部屋へと向かう。有希は、ベッドの手前で、着ているものをすべて脱ぎ捨てた。
体の中心部が、すでに変化しているが、それを恥ずかしいとは思わない。自分は伸のことを愛していて、今、伸のことがほしくてたまらないのだから、こうなって当たり前だ。
伸は、自らもシャツを脱ぎながら、裸になった有希を、濡れた瞳で見つめている。
体が揺れるたび、首のチェーンもさらさらと揺れる。ひとつになった伸と有希の動きに合わせて、有希の喉元を優しく愛撫するように。
切ないほどの快感に身をゆだねながら、有希は思う。
これは、僕と伸くんを繋ぐチェーンだ。たとえ離れていても、このチェーンを着けている限り、僕と伸くんは、心も体も繋がっているんだ……。
伸が風呂を沸かしてくれていたので、終わった後、一緒に入った。例のごとく、風呂の中で、再び淫らなことをして、ずいぶんと長風呂になり、汗だくになった。
「顔が真っ赤だよ。大丈夫?」
伸が、ふかふかのバスタオルを渡してくれながら言う。そう言う伸も、首筋や裸の胸に、汗の雫をしたたらせている。
「暑い……。ねぇ、アイスある?」
有希の言葉に、伸が微笑む。
「あるよ。ユウの好きなやつ」
裸のまま、肩にバスタオルをかけて冷凍庫をのぞいていると、腰にバスタオルを巻いた伸がやって来た。有希は振り返って言う。
「伸くんも食べるでしょ?」
「うん」
有希は、ファミリーパックのアイスバーの箱を開け、中から二本取り出して、一本を伸に差し出す。
「はい」
「ありがとう」
アイスバーを袋から取り出しながら、伸がくすっと笑う。
「ユウ、子供みたいだね」
有希は、アイスバーをしゃぶりながら聞く。
「え、何が?」
風呂上がりにアイスを食べることだろうか。だが、伸が言った。
「そんな恰好でうろうろして」
有希は、アイスバーをガリっとかじり、咀嚼しながら言う。
「すっぽんぽんでってこと? おかしい?」
伸には、体の隅々、それこそ自分では見たことがない部分まで知られているし、恥ずかしい状態になったところも、数えきれないくらい見られている。




