表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん、魔王の玉座になる -幼女魔王と一緒に座っているだけでレベルMAX!-  作者: 椎名 富比路
3-3 LOと早食い対決 ~温泉宮廷ビバノン~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

205/301

新しい朝が来た

 翌朝、ボクたちは快適な朝を迎えた。


 すぐそばに、チサちゃんの寝顔がある。


 起こさないように伸びをすると、チサちゃんは目を覚ました。


「おはよう、起こしちゃった?」


「大丈夫」

 アクビをして、チサちゃんも起き上がる。


 パジャマから外着に着替えて、洗面所へ向かう。


「ちょっと、おトイレ行くね」

 ボクは小用を済ませた。


 大きい方のトイレに、誰かが入っているようだ。


 ガチャリ、と扉が開く。


 現れたのは、ヨアンさんだ。


「ヨアンさん、おはようございます」


「おおおおお、おはようございます!」


 顔を真っ赤にして、ヨアンさんはピューッとロッジへ引っ込んでしまう。


 大きい方くらい、恥ずかしくないだろうに。


 歯と顔を洗い終えて、キャンプ地へ。


 燻製の香りがして、ボクのお腹を刺激した。 


 トシコさんとネウロータくんが、朝食を作っている。


「おはよう。二人とも朝早いね」


 まだ、日が昇って間がない。


「大人数だからな。早めに仕込んでいたんだ」

「手伝おうか?」


 ボクが尋ねると、二人は揃って首を振った。


「お前が呼んでくれたドワーフの分も作ってるんだ」

「あの方たちを連れてきてくれた時点で、ダイキさんの仕事は終わってるのよ」


 お言葉に甘えて、ボクは湖畔でくつろぐことに。


 一方、マミちゃんとケイスさんは、湖を眺めながら体操をしていた。傍らには、禍々しいデザインのラジオが。


『もっと腰を動かせよコノヤロウ! 自分で動くんだよ! 自分で動いたほうが気持ちいいだろ?』 


 調子の狂った音楽と、やたらハイテンションなオジサンのアナウンスが流れている。


「なにこれ?」


「暗黒ラジオ体操よ! 知らないの?」


 知らないよ。


『だから、もっとケツを突き出せってんだよ! じれってえなぁ!』


 魔界にも、ラジオ体操らしきものがあるんだね。凄まじく冒涜的だけど。



『しゃがんだか? だったらM字開脚して舌なめずりの運動だ! 乳酸が舌の裏に溜まってきただろうが⁉ ああコラ!』


 二人に混じって、チサちゃんが体操を始めた。

 ボクも、することがない。三人に交じるか。


「朝から元気だね、お二人さん」

「アタシたちが、起きるの一番乗りだったの! 朝はネウロータが任せろっていうから、することがなくて、トレーニングしていたの!」


 どうやらボクたちは、起床後発組だったらしい。


「私は、マミ様に顔を蹴られて目を覚ましました」

「大変でしたね」

「いいえ。マミ様の御御足が目覚まし代わりなんて、この上ない最高のアウェイキングでした」


 このままだと、なにかにアウェイキングしそうだね。ケイスさんって……。


『最後に、深呼吸で新鮮な空気を嚥下しろ。そうだ。神様がお垂らしになった無色透明なアレを、よーくノドにからませてゴックンするんだよ! この後「おいしいれふ」と感謝することも忘れるな! ああ? まだヤリ足りないのか。欲しがりだな、ガキども。だが、お預けだ。またな』

 

 実に背徳的であり冒涜的な深呼吸で、体操は締めくくられる。


「もうすぐできるわよー」


 後ろからトシコさんの声がしたので、ボクたちは体操を切り上げた。


 トシコさんが、バゲットを短く切って、横に切れ目を入れる。バゲットの側面へ、ネウロータくんが燻製を挟んだ。レタスも一緒に挟み込む。




「おはようございますわ」

 遅い時間に、ようやくククちゃんが起き出した。もうドレスを身にまとっている。着替えに手間取っていたらしい。


「おはようございます、みなさん。今、コーヒーをお淹れします」

 コンロを出して、ヨアンさんがお湯を沸かす。その間に、ヨアンさんはポータブルのミルで豆を挽く。


 あれ、憧れだったんだよなぁ。


 布製のフィルターで、ヨアンさんがドリップしていく。


「さあ、召し上がれ」

 人数分のコーヒーが入れ終わる。



「スクランブルエッグを挟んだら、もっとおいしい!」

 チサちゃんが、添え付けのスクランブルエッグをバゲットに挟む。


 ボクもマネをしてみた。ジューシーさが加わって更に味わい深くなる。


「もっとクドいと思っていたけど、こんなにサッパリしておいしいのね!」

「ウフフ。ありがとマミちゃん」


 料理を絶賛するマミちゃんに、トシコさんがお礼を言う。


 コーヒーの存在も、忘れてはいけない。


 ボクはほんの少しミルクとお砂糖を入れて、味わう。


 夏とはいえ、朝はやや肌寒くなってきた。そんな季節の変わり目に、この温かいコーヒーがありがたい。

 体の奥に染み込んでいく。少しずつ頭が冴えていくのが、体感で分かった。



「ねえ、カフェオレにしちゃっていい?」

「どうぞどうぞ」

 ヨアンさんに断りを入れて、マミちゃんが自分のカップにミルクを注ぎ込む。


 チサちゃんとマミちゃんのコーヒーには、ミルクをたっぷりと入れている。もちろんお砂糖も。

 コーヒーの味わい方とは少し違うが、二人は喜んで飲んでいた。


 こんな最高の朝を迎えられるなんて。


「おいしいコーヒーをありがとう、ヨアンさん」


「いいえ。昨日のお礼ですから」

 ヨアンさんは、健やかな笑顔を送る。


「おいしいかい、ククちゃん?」


「え、ええ」

 今日はククちゃんも、大人しく朝食を済ませた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ