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おっさん、魔王の玉座になる -幼女魔王と一緒に座っているだけでレベルMAX!-  作者: 椎名 富比路
第三部 今度は、スタンプラリーだ! ワケあり悪役令嬢とのデットヒート! 3-1 次なるライバルは、悪役令嬢!

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最強の車、ハチシャクとの出会い

 ものは試しだ。ゴマトマへ。


「よく来たね。準備は整っているよ。どうぞ」


 ボクたちは、ゴマトマ城の脇を通って、広い道に出た。平坦な道が、どこまでも続いている。まるで、車が旋回できそうなくらいに。


「あれは?」


 広場にポツンと、一軒家が建っている。


「ウチの車両工場だよ。入って」


 壁の脇にあるドアから、中を見せてもらった。


「こ、これは!」


 大小様々な車が、コレクションのように並ぶ。どれも、地上で見る車に近い。ただ、やや時代がかっているような。いわゆるクラシックカーばかりだ。


「全部、ウチでつくった車両だよ。カリダカが開催されるときだけ、彼らは命を持つんだよ」


 ゴマトマが車両を開発しているって話は、本当だったんだ。


「でも、どうして実用化していないの?」

「燃料の問題でね」


 これだけ複雑な構造だと、魔王の魔力なしでは動かないという。ゴマトマで作っている車も、例外ではないそうだ。


 そっか。この世界には、化石燃料はないもんね。どこを見ても、そんな素材は見たことがなかった。


「じゃあ、故障したら大変だよね……」


「心配ないよ。当日は、オイラもメカニックとしてサポートするからね」


 話はゴマトマにも知れ渡っていたらしい。ボクたちの仲間であるオンコ姫は、すぐに車両を見繕ってくれていた。


「ありがとう。期待しているよ、オンコ」


「でね、オイラ並みに考えてみたのさ。ダイキが乗るにふさわしい車ってのをさ」


 案内してもらったスペースには、数台のバイクが。


「これなんてどう? スーパー・サブっていうんだけど」


 サイドカーのついたバイクである。販売総数一億台を突破し、歴代の優勝者を乗せてきた実績を誇るとか。


「このサイドカーが売りでね。狭いけど、計器類が運転席と連動していて、サポートマシンとしても有能なんだ」


 サイドカーの機能こそが、「スーパーサブ」と呼ばれている由来なんだとか。


「いい感じ。ダイキ、これがいい」


 へルメットを被ったチサちゃんが、サイドカーに乗ってハシャぐ。


 確かに、チサちゃんの反応は抜群だ。チサちゃんを横に乗せるから、会話できるのがいいと思える。けど……。


「バイクはちょっと。免許持ってない」


 原付免許があるから、乗れなくもない。とはいえ、チサちゃんの負担が大きすぎる。


「狭いし、密着できないよ。乗り心地は最初こそいいけど」


「確かに。ダイキの側にいられないのは痛い」

 チサちゃんも納得したようだ。


「じゃあ、スーパー・サブは別の魔王さまに払い下げておくねー」


 どうも、このバイクを欲しがった魔王がいるらしい。

 買い手がつかなかった時は買い取るという。


 誰が買おうとしているか、だいたい予想がついてしまうけど。


「じゃあ、これは?」


 言ってオンコが用意したのは、装甲車だ。外装内装ともにギンギラギンである。


「落石があるような所でも平然と走れるよ」

「ペチャンコになっちゃうよ……」


 どうにも、お目当ての車が見つからない。


「他の人って、車を使うんだよね?」

「そうとも限らないよ。手押し車もいれば、ドラゴンで移動するヤツもいるよ」


 形式は、様々なんだなぁ。


「でも、ドレンに乗るのは、やめときなよ。いくら友達っつっても、セイの魔力しか波長が合わないらしいから」


 セイさんが、車は自分で用意しろ、と言ったくらいだ。ドレンを貸すと言わなかったのは、それが理由なんだろう。


 なにもドレンは、チサちゃんが嫌、ってわけじゃない。

 セイさん以外を乗せる気がないのだ。


「速さもいらないんだよね。スーパーサブでも走破できるくらいだから」


 あとは、乗り心地くらいか。運転技術が特に必要なくて、長時間の移動も耐えられるような。




「あれ?」

 倉庫の隅で眠っている一台の車が。




「ああ、あれを忘れていたね」



 お豆腐のように白い車が、目に飛び込んできた。

 随分と、ホコリを被っている。



「ハチシャクかー。お目が高いね」


 ハッチバック車のホコリを、オンコがフッと吹き飛ばす。


 白かったのは、ホコリのせいだった。正しくは、白黒の三ドアハッチバックである。

 全体的に円形のシルエットで、ヘッドライトとウインカーは、共に丸い。


 真っ白のボディが、ボクに「乗れ」と告げてくる。


「変にピーキーでもなくて、クセもない。安定した走りを見せてくれるよ。でも、戦力としてパッとしないから、相手にされなくなったんだよね」


 ボクは手で、車両を撫でた。まるで脈打っているかのように、熱が伝わってくる。


「乗っていいかな?」

「はいな」


 そばにあるメタルラックから、オンコがキーを取った。ボクに向かって、放り投げる。


 キーを受け取った。魔法の装飾が施されていて、このキーを伝って魔力を流し込むんだろう。このキーは、いわゆる「杖」だ。直感で、ボクは理解した。


「握りにあるボタンを押してみて。ドアが開くから」


 この辺り、市販の車と遜色ない。


 慣れた手付きでキーのボタンを押すと、ロックが解除された。


「あ、そうだ!」

 気になって、運転席を確認する。


 よかった。日本車と同じ右ハンドルだ。

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