回転寿司屋さん、オープン!
ボクたちは、回転寿司の店をオープンした。
ビントバーやズースミックだけではなく、ルセランドやゴマトマからも人が集まっている。
物珍しさから人が沢山来るだろうと考えて、大きな店を構えたのだが。
「すごい行列だね」
ボクたちはお寿司にありつけるかな。
「今日は、見学だけにしておこうか?」
お客さんの入りは上々だ。
この繁盛振りは、ユニークさだけの成果ではない。
本当に美味しいんだろう。
お寿司は、舞台裏でも食べられる。
ボクたちは経営者だから、裏手に回ってもいい。
しかし、チサちゃんは客席にこだわった。
「なにか分かることがあるかも知れない」
だよね。チサちゃんなら、きっとこう言うと思っていた。
こんな楽しいイベントを見過ごすはずがない。
ボクたちは行列に並び、順番を待つ。
三〇分ほど待っただろうか。ようやく席順が回ってきた。
レーンは正方形に動き、それぞれの角に職人が立つ。
ちゃんと、レーンが作動している。
それだけで、ボクは軽く感動していた。
まさか、異世界で回転寿司に出会えるなんて。
さすがに、お茶を淹れるコーナーまでは作れなかったけどね。
カウンター席を選び、チサちゃんは回る寿司を眺める。
「見ているだけでも、楽しい」
「好きなお寿司を取ってね」
ボクはチサちゃん用の小皿に、しょう油を入れてあげた。
先に、ボクは瓶に入ったガリを食べる。
うん、甘辛さが丁度いい。
さすがポージュースを作った天才調合師だ。
「おいしい!」
サビ抜きのサーモンを一貫食べて、チサちゃんがハシャぐ。
「脂がのってて、なのに歯触りが軽い」
「ホントだ。ちょっと教えただけなのに、しっかりお店の味になってるよ」
エィハスの一家は、本当にプロだな。
「気に入ってもらえたなら、うれしい」
「え、エィハス!」
カウンター裏にいた職人の一人が、なんとエィハスだった。
「エィハス、似合ってる」
今、エィハスの衣装は寿司職人風である。
「ありがとうチサ。でも、慣れないな」
照れくさそうに、エィハスは笑う。
「あれ、本格的に転職したの?」
「まさか。担当が休憩に入ったから、変わったんだ」
やはり本格的な職人には敵わず、エィハスの手つきはおぼつかない。それでも、愛情が込められていた。
「から揚げ巻き!」
ミニから揚げがのった軍艦に、チサちゃんのテンションが上がる。
「そうか? 私は刺身をうまく切れないからな。せめてジョークなネタでも担当しようかと思って、作ってみたのだが」
エィハスオリジナルのネタを見て、ボクはふと気づいた。
「これいいよ! 小さい子どもがめちゃ喜ぶ!」




