第七話 対峙
俺は魔物の軍勢に近づき、やや離れたところに降り立った。
ここは見晴らしの良い荒れ果てた荒野で何の作戦の立てようもない。
さて、どうしようか。
魔族を先に倒そうか?
いや、魔族を先に倒してあの軍勢がバラバラに散るといろいろと面倒だし……
よし、とりあえず広範囲の魔法で、ある程度数減らそうか。
俺は、フレイムレインを軍勢に向かって放った。
「何が起きている!?」
魔族は突然の出来事に混乱している。
騎士達を倒しに行くつもりが魔法を食らうとは思わなかったのだろう。
ファリンから聞いたところによると騎士と魔法使いが決別した事情は魔族も知っているみたいだし。
まぁ、おそらくさっきの魔物の襲撃である程度、騎士達を疲れさせた後、一気に叩き込むつもりだったのだろう。
さっきは魔族がいなかったから俺という魔法使いの存在が伝わっていなかったんだと思う。
俺はひたすら魔法を放った。
魔物の軍勢のところどころに火が上がる。
これは結構数を減らせられるかな?
俺がそんな事を考えしばらく魔法を放っていると、俺の目の前に魔族がやってきた。
「おまえは何者だ?」
いやいや、お前こそ何者なんだよ。
急に現れやがって。
まずは自分から名乗りやがれ。
それが礼儀ってもんだ。
俺は心の中で突っ込んだ。
「まぁ、通りすがりの魔法使いかな?」
俺は答える。
しかし、魔族も俺を見て何かに気付いたみたいだ。
「その紋章……マリアーナ王国の生き残りか……しかし、魔法使いは西のエルフの森へ行ったはずでは……」
生き残りとはちょっと違うけど。
まぁいいや。
でも、魔法使いは西のエルフの森に行ったのか。
良い事聞いたな。
「まぁ、ちょっと故郷の様子を見にな」
「ふっ、それは残念だったな。むしろ良かったか? 故郷で死ねたら本望だろう?」
「死ぬかどうかはやってみないと分からないだろ?」
「生意気な!」
そう言って魔族は構えた。
俺も相手に合わせ、それに対抗するように身体強化をかけ、相手の出方を伺い臨戦態勢に入った。