第五話 気まずい再会
その光景を見た俺はすかさず、魔物の群れに火属性広範囲魔法の『炎の雨』繰り出す。
「なんだ!? とにかく今がチャンスだ、押し返せ!!」
騎士たちは状況詳しい状況は理解してなかったみたいだけど、チャンスだと判断し攻勢に出る。
俺の魔法で魔物の群れがばらけたところを砦の騎士たちが押し返す。
俺はその合間を縫って魔法を繰り出し魔物を始末していく。
戦闘は30分程で決着がついた。
魔物の群れはほぼ全滅。
逃げ出したりしたのもいたけどまぁ十分な戦果だろう。
すると、一人の騎士が近づいてきた。
「アーロン!」
「なぜ私の名を? ……もしかしてそのネックレス……ファリン様!? 生きていらっしゃったのですか!?」
「えぇ、詳しい話を」
ファリンはアーロンに言うと俺に目を向ける。
アーロンも俺に目を向けた。
その瞬間、目が鋭くなる。
……怖い。
というのも、俺もアーロンも互いを知っている。
アーロンは若くして実力が認められ、国王様直属の騎士に任命されていた。
何度か城で顔を合わせ、年も近かった事からそれなりに親しい仲だった。
「その姿、そのローブ……もしかしてフェイトなのか?」
はい、そうです。
そうだった。
俺は討伐隊のリーダーとして、国王様から国宝級のローブを支給されていた。
そしてそこにはマリアーナ王国の紋章もある。
気づくのは当然か。
とりあえず、俺は頷くのみにとどめた。
信じてもらえるだろうか。
というより、切り捨てられないだろうか。
もし、そんか状況になったら全力で回避するけど……。
「……砦に帰ると兵士が殺気立つ。ここで話を聞こう」
そういうアーロンも少なからず殺気を放っている。
……やっぱり怖い。
でも俺は何も悪い事してない。
……してないはずだ。
ここから、俺のプレゼンテーション力が試される。
……あっ、俺は前世でプレゼンで負けたんだった。
大丈夫だろうか?
一抹の不安はあるけど前世と合わせて48歳。
そのアドバンテージを活かして、俺はプレゼンテーション(?)に臨んだ。