~8日目~
遅くなってすみません。
○月8日 曇り
昨日は疲れた。
ランランの陰謀で定例会議の参加を余儀なくされた。
もう魔王の権限でなくしてしまおうか。
「ランラン、我にご褒美をおくれ」
ランランの袖を引っ張り見上げる。
ランランは手で顔を隠した。
「ランラン?」
「そうですね、昨日は頑張りましたしご褒美を上げましょう」
「ちなみに今日はチョコの気分なのだ」
「わかりました。チョコレートケーキのチョコアイス添えにしましょう」
「ランラン、大好きだぞ」
我がそう呟いた途端にランランはその場に崩れた。
やはり手で顔を隠している。
耳が赤い。
「ランラン!?病気か?」
我はランランが病気にかかってしまったと思った。
知らずにご褒美をねだってしまった。
「すまぬ、ランラン。我はそなたの事など考えず病気なランランにご褒美をねだっていまった」
我は落ち込みながらランランの背をさする。
「もう、休め。我は今日は我慢するから今度作っておくれ」
「申し訳ございません。大丈夫です」
ランランは顔をあげて我の目を見て話してくれた。
若干顔に赤みがあるが大丈夫なのだろうか?
「無理をしなくてよいぞ」
「いえ、大丈夫です。ご褒美を作って参りますので少し待って頂いてもよろしいでしょうか?」
「ゆっくりでよいぞ」
「はい、では」
ランランは足早に出て行った。
「ふぅ」
我は思わずため息をつく。
昨日は疲れた。
絶対にあのヴィラド侯爵のせいだ。
ヴィラド侯爵はとても古くから続く名家。
魔王の血も入っており魔力の保有数も他の貴族より上だ。
そのヴィラド侯爵は人間と魔族の戦争を起こさせようとする。
それをのらりかわしてきたが昨日はまずかった。
昨日の時点で兵と武器を集めていてもういつでも攻撃できる体制だった。
その兵と武器を一時的に没収した。
ヴィラド侯爵を拘留し、城の部屋に逗留して頂いた。
その後の処理やらで今日の午前中まで忙しかった。
人間との戦争は避けたい。
力の差は歴然だ。
我が一人でも人間の領土は砂漠となろう。
人間自体に興味はないが、人間が作るものには興味がある。
それがなくなっては惜しい。
しばらくするとトレイを持ってきたランランが部屋に入ってきた。
「お待たせしました」
「早かったのだな」
「準備はしておきましたので」
この紅茶もチョコレートも人間が作った。
食べれなくなるのとても嫌だ。
ヴィラド侯爵も我の考えを知っている。
知ってるからこそそんなバカバカしいことで人間を生かしておくなんてと思っている。
でも我も今後、紅茶もチョコレートも飽きたら考えなくないがな。
人間を滅ぼすなんて簡単な事だ。
せいぜい我が飽きぬようにおいしい物を考えるのだな。
なんだか今日の日記はダークになってしまった。
やはり疲れが溜まっておるのだな。
このチョコレートケーキを食べたら少し休もうと思う。
「ランラン、我はそなたが作るチョコレートケーキが一番好きだぞ」
「ぐはぁ」
ランランは変な声を出して部屋を出て行った。
今日のランランは変なランランなのだ。