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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『ギャングを掃討せよ。』
30/40

EPISODE 30「“絶対防御”の矛盾」

かつての仲間・石動 凱と激闘(祭り)を繰り広げる風雅、そして風雅が勝てば凱は特異課に戻る。という一つの条件を出し、凱もそれを承諾し全力で戦う。


凱の術式 ー「“剛烈”」ー は大地の力を吸収し、パワーを上乗せして強化する能力を持っている。

一発一発が重い上、岩石操作等繊細なコントローも可能。


一度は風雅に追い詰められるが、式神『玄武』を“武装”し、両腕に盾を装備した。


風雅は風を纏った拳を繰り出すが、“絶対防御”という特性でバリアを張り、拳を受け止めた。


さらにその盾を使って風雅を殴るという脳筋戦法で形勢逆転。

大地の力を吸収した状態+“武装”した盾の威力で与えるダメージは倍。


二発目はガントレットで受け止めるが、盾の連撃は止まらず、ダウンしてからも体を持ち上げてから風雅の腹に膝蹴りを食らわせ血反吐を吐く。


「うわぁ…痛そ。」


「私もう見れないよぉ〜!」


あまりにショッキングな為、雷牙は花の目を手で塞いであげた。


その後一方的な攻撃は続き、アッパーで打ち上げたかと思えば風雅の足を掴んで振り下ろす。その先には地面に設置したバリアがあり、

背中から激突してバリアが割れる。上からも下からも絶大なダメージが風雅を襲う。そして倒れる。


「なんだ、もう終わりか?」


凱は少し悲しそうな顔をして、“武装”を解除しようとした時、倒れた風雅の指がピクリと動いて凱の足を力強く掴んだ。


「まだだ…こっからは俺が主催の後夜祭だっ!!」


風雅の体から高威力の風が放出され、凱は盾で防ぎ切れず、体に切り傷を負った。


「いいね、それでこそ俺の兄弟!!」

「おらぁぁぁぁ!!」


風のオーラに紛れて、“疾風弾”を放つが凱は盾で防ぎ、傷すらもつかない。


「無駄だ、この盾は無敵の盾、たとえ矛でも貫けない!」


「やってみなきゃ分かんねぇだろ!!!」


風雅は残り僅かな妖力を気遣って最速、最小のコストを払って“疾風弾”を連続で『玄武』の盾に向けて放つ。

その度にバリアを張って守り続ける。


「ついに万策尽きて殴るだけになったか!お前の後夜祭ってやつを見せてみろよ!!」


しかし凱は左手に大地の力を溜め、最大限の“砕”を放とうと風雅の腹部を殴り、同時に風雅も最後の一発に“烈風弾”を使用し、右腕の盾に撃ち込む。


その衝撃で両者は吹き飛び、血を噴き出して倒れる。


「風雅くん!」


花は心配して駆け寄ろうとするが、雷牙が止めた。


「これは男同士の真剣勝負…手出しは無用だ花ちゃん。」

「へ?」


「後夜祭…もう終わりか…?」


「耐久力はさすがのもんだ…後夜祭は今から始まる…自分の腕ぇ見てみな!!」


その時凱は自分の右腕に違和感を感じた。すぐに盾を見ると、

“絶大防御”の無敵の盾と鼻高々と豪語していた盾にヒビが入っていた。


「俺の盾に…傷が!」


「物には必ず“目”ってやつがある。どれだけ硬い鉱石だろうと無敵と自負する盾だろうと、その一点を集中攻撃をすると容易く壊れる…!あんたは盾の硬度に頼るあまり、自分の弱点に気づけなかった!」


その時、ヒビが広がり、右腕の盾はバキンッ!と大きな音を立てて砕け散った。

この世に絶対の無敵など存在しない“矛盾”の盾だったのだ。


「ぐっ!」


片方の盾が粉砕されたことにより、大幅にパワーダウンした凱は左腕の“武装”を解除した。

それは風雅も同じで最後に繰り出した“烈風弾”のせいで妖力が減少し、『神狼』の“武装”が強制解除。

互いにステゴロだ。


「祭りは終わりだな…凱!」


「最後に立ってたやつが勝者、男に二言はねぇ来い兄弟!!」


次第に凱は風化のことを“兄弟”と呼んでいた。これは昔の呼び方だった。

デイブレイクで途方に暮れていた八雲兄弟を助け、彼らの兄貴分だった凱は風雅のことを本当の弟のように可愛がり、兄弟と呼んだ。


その度に雷牙は嫉妬し、凱にイタズラを仕掛けていた。

今、互いの拳が互いの顔にめり込み、鮮血を吹き出す。殴られる度に彼らは互いに笑って必死に生きていた10年前を思い出す。


両者残った最後の妖力を拳に込める。凱は大地の力を借りて、拳を赤熱化させる。風雅は右手に風を集め、

同時に走り出す。


       『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』


       「決めろ、風雅。」「風雅くん!」


       『うぉらぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』


二人の拳が互いの胸を打ち抜く。その衝撃はガレージに留まらず、空間全体を揺らし、軽度の地震を引き起こした。

そのまま二人は倒れ込んだ。


雷牙はまだ花を抑える。決着はまだ決まっていない。この勝負はどちらかが立つまで終わらない。


「…これでどちらか一方が立てば…そいつの勝ちだ。」


           ピクッ


凱の指が僅かに動いた。膝も曲がり、立ち上がろうとする。

そして勝負はその瞬間決まった。


風雅の目が開き、すぐに手をついて跳び上がった。


         勝者 八雲 風雅


「なっ…!」


「よっしゃギリギリで立てた!!」


風雅は砂埃を払って立ち上がり、起き上がれない凱に近づき、手を差し伸べる。


「約束だ、戻ってこい凱…。」


「…そうだな…また世話になるぜ、兄弟。」


凱は風雅の手を強く握り、立ち上がる。こうして妖狩エージェント:『玄武』が戻ってきた。


「よし、ミッションコンプリート!帰るぞ兄貴、いって!」


椿先生に治してもらったばかりなのに凱との戦闘でまた傷つき、骨も何本か折れている。


「また世話になります椿先生〜!」


風雅は花と雷牙の肩を借りて情けない姿勢で本部へと戻っていく。

その姿を見届けた凱は優しく、すっきりとした表情だった。


          EPISODE 30「“絶対防御”の矛盾」完 

           次回 第31話

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