EPISODE 22「死神、武装、鬼神覚醒」
『アサシンから要人を護衛せよ。』
風雅たちは永世総理大臣を見えない暗殺者から守るために護衛することになった。
国会議事堂にて見張りをしていた風雅と琥珀の元にその暗殺者は現れた。
コードネームは「カメレオン」。全身にカメレオンの特徴をもった皮膚を“武装”し、ほぼ獣人に近い怪人だ。
ー「“不可視”」ー
「カメレオン」の持つ術式。自身を背景に溶け込ませ姿を消す能力。さらに物音すらも透明にし、相手に自分の存在を認識させない。
そして透明状態で伸びる舌を使い、相手の首を締め付け、見せしめとして最後は高所から遺体を吊るす。
何とも狡猾な奴だ。
風雅は危うく絞め殺されるはずだった琥珀を救出し、応戦しようとするが、突如足元の影が広がり風雅はその中へと落ちていったしまう。
暗い闇の空間を抜け、彼が落ちたのは都市部から数十キロ程離れた郊外だった。
そして背後に現れたのはいつも風雅を狙っている謎の男『死神』だ。
「再び会えたな…妖狩:『神狼』…。」
「げっ、また出たよ…今度は何の用?俺忙しいんだけど!」
「掟を破った妖に死をもたらすのが俺の仕事…それは依然変わりない…。お前は妖でありながら妖を狩る…なぜそこまでして戦う理由がある…。」
「人間の笑顔と自由を守るためだ…!自分のエゴのために力を使って罪の無い人たちを苦しめるお前たちのためにこれ以上誰かの涙は見たくない!もうデイブレイクは起こさせない…。」
「そうか…立派な理由だな…だがお前たちがどれだけ人間を救おうと…どれだけ平和を守っても、最後は我々によって人間は絶滅する…これは既に決まっているのだ。掟破りし者には死を…覚悟しろ…。」
「今日はよく喋るな『死神』さんよぉ。テケレッツのパ!」
『死神』は鈍く光る黒刀を抜刀し、処刑の態勢に入る。
風雅は彼の言葉に落語「死神」のセリフの一部を交えておちょくる。
刹那。その速度で『死神』は風雅の間合いに入り、刀を下から斬り上げる。
バク転で刃を回避することは出来たが首筋に切り傷を作ってしまう。
「野郎…的確に首狙ってきやがった!」
間髪入れずに『死神』は刀を振るい斬撃を繰り出す。風雅が避ける度に地面が切断され、ボロボロになっていく。
『死神』はさらに距離を取ってから三日月型の斬撃波を連続で繰り出し、今立っている丘の上が崩壊し、とある村に転げ落ちた。
その村は今は誰も住んでいない廃村のようで不気味なほど静かであった。
転げ落ちた先でも建物の影から『死神』が先回りして出現。建物全てを巻き込んだ “斬月” を発動。
三日月型の斬撃波と砕かれた木片が風雅に襲い掛かる。
咄嗟に風のバリアを展開し、木片を受け流していくが、斬撃は威力が強く、バリアを持ってしても受け止めきれず破壊されてしまうが小さな切り傷程度で済んだ。
「運の良い奴だ…。本気で来い…『神狼』!」
「『神狼』…“武装”っ!!」
土煙の中から翠緑色の瞳を輝かせた風雅は痣を発現させ、右腕に拳の模様を浮かび上がらせた。
そして徐々に装甲に覆われ、風雅の視界には再びデイブレイクで崩壊した東京、無残に死ぬ人々のイメージがノイズとして現れ、苦しみながらもガントレットを武装した。
「それでいい…。」
両サイドについたブースターで一気に加速して刀で防御する隙もなく、『死神』の顔面に強烈な一撃をおみまいする。
吹き飛ばされた先は大きな木造の家で風雅の入れた一撃の威力が家すらも粉砕した。
家の中にまで吹き飛ばされた『死神』は上がった土煙を斬撃で掻き消し、再度現れる。
「そりゃ簡単にはいかねぇよなぁ…!」
ー国会議事堂ー
一方本来のミッション。国会議事堂では一人残された琥珀が『カメレオン』と対峙している。
「俺の邪魔するやつは死んでもらう…!」
「『神狼』も言ってたでしょ、それを邪魔するのがアタシたちだって!」
琥珀は術式 ー「“超重力”」ー の“重力”を使って総理を狙うアサシンを拘束する。
しかし『カメレオン』は再び透明になり、その隙に総理に近づこうとする。
実は奴の術式は姿が消えれば、存在すらも認識させない効果があり、透明になった瞬間に琥珀は暗殺者がいたことを一瞬忘れてしまい、拘束を解いてしまう。
「ヘッヘッヘ…見張りご苦労さん!」
「はっ!アイツ何処行ったのよ!雷牙、花姉ぇ、暗殺者を見つけたわ。でも透明になってどっか行っちゃった!?」
【は?!すぐに行くからお前は総理を守れ!風雅は何処だ!】
「それが目の前で消えちゃったのよぉ〜!!」
【はぁ!?ダルっ!】
琥珀は大粒の涙を流して必死に現状を説明する。信じられないと思って号泣する。信じられないのも無理はないが真実だ。だって言葉通りだから。
琥珀はすぐに議事堂内に向かい、総理の元へと急行するが、堂内はすでに惨劇、血を流して倒れる議員や首を絞められた後の痣があるSPたちが転がっていた。
「くそ、くそ!間に合え、間に合えぇ!!」
ー郊外の廃村ー
ガントレットを装備した風雅は黒刀を持つ『死神』と一進一退の攻防を繰り広げていた。
華麗な足技から “鎌鼬” を繰り出し、刀に対抗しようとするもあちらの方が一枚上手であり、必殺技を使わなくとも全て刀身だけで弾いていく。
「“疾風弾”!!」
緑の風を拳に纏わせ、狼型のオーラを模した拳撃を放った。
すると『死神』はスンと構えも無しに立ち、自分の目の前で円を描くように刀を動かすとその軌跡と共に暗黒の穴が出現し、 “疾風弾” を呑み込んでしまった。
「これが全てを呑み込む闇… “黒穴” だ…。」
この時風雅は一か八かの抵抗も虚しく、全て飲み込まれたら終わりじゃんと感じた。
そして『神狼』のオーラは急に膨れ上がる。そのオーラは形を成してまるで巨大な鬼神のようだ。
黒い霧に包まれた鬼神は風雅に咆哮を浴びせ、その迫力を身に染みて感じた風雅は本能で命を危機を感じたのか無意識に足が下がっていた。
「…!?(自分でも気づかなかった…ビビってんのか俺が…)」
「これが俺の式神…『夜叉・零式』…。“武装”…!」
『夜叉・零式』の名を持つ黒鬼は両手を上げ、咆哮をすると黒い霧になり、『死神』の左腕全体を覆う。
そして顔には痣が出現し、左側の額から鬼の角が生える。
左腕には腕を模した模様が浮き出た後、
紅い血のようなラインが左腕に走り、黒い霧が固まって新たな左腕を生成したのだ。
紅く染まった指先から赤い電撃を放出しながら拳を握り、地面を殴った。すると電撃が伝播して風雅の足元に赤い電撃が走り、その瞬間に爆発を起こした。
衝撃で体は宙に舞い上がり、全身の骨や筋肉が悲鳴を上げる。
ギリギリで正気を取り戻して風をクッションにて地面に落下する。
「俺の武装は…全ての身体能力向上を可能とする。この意味が分かるな…?」
「はぁ…はぁ…お前手加減って言葉辞書で引いたことある?」
「減らず口を…!」
『死神』は一瞬で間合いを詰め、武装した左腕を風雅の腹部に沈み込ませる。赤黒い稲妻が拳の中で弾け、風雅の体は思い切り後方へと引っ張られ、林の中へと吹き飛ばされてしまった。
木に思い切り背中を強打し、血を吐いて倒れてしまう。さらには“武装”も解除されてしまい、絶対絶命の大ピンチを迎える。
EPISODE 22「死神、武装、鬼神覚醒」完
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