【056】雪山と雪女と・・・その2
「是非お手伝いさせて下さいウィーンさん。」
「前回は雪山のエリアと洞窟の設定だけしましたから、その他のモンスターやエリアの配置設定をしていきましょうか。8時までにアラームを設定して、集中してしまっても大丈夫なようにして。雪那さんはどんなのが欲しいですかね。」
「私はなるべく雪が沢山あって、白山と同じような感じよいですね。広い高原と森、そして、スキー場。」
「えっ、スキー場ですか?雪女さんて、スキーされるんですか?」
「ええ、しますよ。ここ50年くらいはスキーブームがあったので、私も人間たちが滑っているのを見ながら面白そうだな~~って、思って、自分で木を削って、スキー板や、ストックなんかも作りましたし、最近はスノーボードもあるじゃないですか。それもやっぱりびゅんびゅん体感移動だけで滑っていくので、やっぱり真似して滑ってましたよ。」
「そっ、そうなんですね。でも、スキーウェアとか着て滑ってたんですか?」
雪女さんて結構アグレッシブに人間の文化取り入れているんだね。白山にずっといたからそこら辺はまったく興味ないのかと思ってたよ。
「いえいえ、リュウさん。何もスキーを滑るからと言って、人間と一緒に昼間滑る必要なんてないんですよ。なので、スキーウェアとかは持っていませんよ。自前のこの和服の着物で滑るんですよ。」
といって、着物の袖をそっと僕の方に差し出してきた。ひんやりして冷たい。
「そうですね。この服装じゃ、スキー場じゃ浮いてしまって、目立ちますから滑れませんもんね。ならいつの時間帯に滑っているんですか?そもそもスキー場じゃないとか?」
「いえいえ、やっぱりスキーを滑るのなら、人間のスキー場が一番ですよ。滑りやすいように雪質が調整されてますから。自分達で作ろうとすると、がたがたのスケートリンクになるのがおちでしたわ。しかも角度の着いた氷のリンクで、凸凹でしょ。スピードがどんどんのるのに、がたがただから、がったんがったん上下して、方向調整なんてできませんでしたわ。ふふっ」
「結構自分でも色々とされているんですね。それなら、時間帯を変えて滑っているんですか?」
「そうなんですよ。夜の視認しにくい時間帯に人がいなさそうな所で、他の仲間たちと良く滑ってますわ。22時から7時くらいまではもう、私達物の怪の独占状態ですわ。道に障害物を作ったりして、色々とスピードを競ったものですわ。でも、それも、近年は温暖化の影響で雪が降らなくなってしまったので、スキー場でも中々滑れませんでしたわ。今年は1回しか滑れていなくて、ちょっと不満でしたのよ。なので、是非ともスキー場をお願いしますわ。」
すごいお願いです。思いっきり身体と顔を近づけてお願いしてきました。雪那さんが近づくと冷気がすごい。夏場にこれはありがたいが、エアコンの効いているここでは寒すぎる。それに、これだけ冷気を放射していたら、時渡さんにおかしく思われるのでは。
「雪那さん。落ち着いて下さい。近いです。近いです。色々と顔とか。肩も当たってますし……。あと、凄い冷気が漏れてますので落ち着いて下さい。」
「あら、いやですわ。思わず無意識に動いてしまったようですわ。失礼しました」
ふぅ~~っと言って、冷気が収まった。もしかして感情が高ぶると冷気のコントロールが効かなくなるのでは?
「雪那さん。その状態だと、時渡さんと仕事していると彼女に感づかれませんかね?」
「ええ、その点は大丈夫ですよ。人化さえしてしまえば、冷気が漏れることはありませんわ。でも、本来の雪女の姿の方が調子が宜しいんですの。彼女たちに会う時はしっかり人化しますわよ。」
「そうなんですね。よかった。」
僕はほっとした。彼らに物の怪の存在がちらりとも気づかれることがあってはならない。もし、少しでも感づかれれば、彼らを解雇せざるを得なくなる。そうなると優秀なスタッフ2名がいなくなるのでこっちは大打撃を受けるのである。それだけは避けなくてはならない。
「そこまで雪那さんがおっしゃるなら、スキー場も作りますか。」
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