【047】新しい仲間との新たなる船出 その3
「ウィーンさん。今の体調だとある程度は回復していますけど、空調の効いていない屋外の活動は1~3時間くらいが限度ですので、厳しいと思います。」
「なるほど、そうでしたか。では必要であれば、その時に考えましょうか。」
そうこうして、色々と教育をしている内に時間が過ぎ、大阪のスタッフの子がやってきた。
「おはようございます。今度からこちらでお世話になる。天魔昇です。これから一か月間宜しくお願いします。」
「天魔さん。おはようございます。ここのオーナーをしているウィーンです。こちらが今日から入ってくれる雪女の雪那さん。彼女は先日まで山で過ごしていて、ほとんどわからない新人さんなので色々とフォローして上げて下さい。そしてこちらは、サポートマスコットのミリィ。業務は主にダンジョン内の新規登録者の案内となります。」
「天魔さん。よろしくだにゃ~。ミリィだにゃ~」
「天魔さん。宜しくお願いしますわ。雪那です。」
「二人とも宜しくお願いします。物の怪の種族を語っているということは全員関係者でよかったですか?」
「えぇ、今の所スタッフは全員物の怪で構成されています。今後は人間も多少は取り入れていく予定です。」
「なるほど、では、私も長野県にある天狗岳出身の天狗になります。ヨシさんに拾われてダンジョンマート大阪店で勤務させてもらってます。それとオーナー。スタッフはこれで全員でしょうか?」
「ええ、これで全員になりますね。」
「オーナーこれは少し問題がありますね。9時~22時30分までの勤務ですと、13時間30分の拘束時間となります。オーナーの皆様は、経営者のため、問題ありませんが、僕たち従業員はアルバイトも含め、勤務時間と月の残業時間が定められています。
月60時間が限度となりますので、このダンジョンマートの月の営業日が24日とすると、残業時間は、1日あたり2.5時間までとなります。予測では、1時間の休憩を除くと12時間30分の勤務となり、4時間30分の残業をしなければ対応できなくなります。
この人数ですと、シフト調整するにしても限界がありますので、早急にスタッフの増員をお願いします。それに新人のいきなり12時間労働はいくら物の怪でも過酷すぎますよ。」
うん、確かに有能なスタッフだ。瞬時に状況を確認して、的確に物事を進めてくる。
「ええ、それに関してはこちらの不手際で申し訳ありません。早々に手配させて頂きます。それで天魔さんには、登録が終わっている冒険者の受付対応をメインでお願いします。
私は、新人の雪那さんの教育とフォローをしながら、新規登録の受付、保険契約の説明、ダンジョン施設の案内等を行っていきます。」
「ええ、了解しました。オーナー。では、さしあたり、私が行う業務の説明とダンジョンの各施設の案内をお願いします。大阪店で一通り、やっているので、どの業務でも行えますが、金沢店とはルールや備品の配置が違うかと思いますのでお願いします。」
「では、わかりました。これから説明致します。雪那さんとミリィも一緒に聞いてください。」
と各施設や業務の内容を説明する。それに対し、天魔さんは細かく質問し、大阪店との差異を確認してくる。
「オーナーありがとうございます。こちらの店舗の確認は出来ました。もう、9時30分を過ぎてますが、行列の確認等は大丈夫でしょうか?こちらはオープン3日目だと伺っていますが」
「ええ、8時に確認した時は誰も居ませんでしたので、これまで確認していませんでしたが、した方が良いですね。」
と言って、ブラインドシャッターの隙間から入口の外を確認する。うん、かなりいる。30人程はいるようだ。一昨日までのボリュームではないが、朝早くからダンジョンに潜りたい人が多いようだ。
「30人ほどいますね。この人数なら大丈夫でしょう。」
「その人達はどうでしたか?並んでましたか?」
「いえ、団子状に固まっていましたね。」
「なら、まずいですね。新規登録者と既存登録者かどうかはわかりませんが、一人受付5分としても、1時間で回せる量は24人です。現状今来ている人ですでに1時間待ちが発生する可能性がでています。順番次第では暴動も出る可能性がありますので、並んでもらいましょう。
3日目でこの待ち時間になると、明日以降もなるべく長く入りたい人は朝早くから並ぶ可能性が出てきますね。そちらの対応は後で考えましょう。オーナーまずは、人員誘導と整理からです。私が人員整理をしてきますので、オーナーはスタッフ募集の案内をすぐに作って下さい。どんなことを書けばいいかわかりますよね。」
「はい、天魔さんわかりました。いえ、やったことがありませんので、考えながらやることになります。」
「はぁ~っ、わかりました。では、僕が書きますので、オーナーは人員整理をして下さい。雪那さんは、オーナーについて、人員整理のやり方を覚えて下さい。ミリィさんは、僕がスタッフ募集の案内を書くので、隣で見て、今後書けるようにするかオーナーに作ってもらえるように覚えて下さい。それとオーナー、人間のスタッフは何名募集しますか?給料は?待遇は?どうなさいますか?」
「ごめん。それもまだ考えていなくて……。う~ん。人数は2名で、給料は大阪と同じ、待遇も同じでお願いします。」
はぁ~~~、経営者としての経験も仕事をした経験もないとはヨシさんに聞いていたがまさかここまでとは……。ヨシさんがチーフの僕をわざわざ指名するはずだわ。ボーナスを弾んでもらわないと割りに合いませんね。大阪店にあげる報告書にこの旨を記載しますか……。はぁ~~。憂鬱ですわ。
「わかりました。では、こちらで、下書きを記載した上で後程確認をとりますので、それで問題ないかどうか確認をしてください。では各自持ち場へ行ってください。」
「「「はいっ。(だみゃ~)」」」
うん、僕がオーナーのはずなのに、いつの間にか天魔さんが応援スタッフで来てくれてたわずか30分ほどの間に立場が逆転しているよ。
ヨシさんが応援スタッフとして送ってくれるだけあって、かなり優秀な人材だ。でも、このままではいけないんだよね。僕が指示できるようにならないと。うん、でもひとまずは与えられた仕事をきっちりこなす。足りない分は後でカバーします。
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