【028】初めての休暇とオアシス1
そういえば、ダンジョンマート金沢に来てからまだ2週間しか経ってないんだな。その間、オープンの準備に忙しく、まともに休みもとれていなかったし、久しぶりの休日、思いっきり羽を伸ばすぞ。
今日はみんなが楽しみにしていた、ダンジョンのオアシス探検ツアーである。参加者は、僕、妲己姉さん、玉藻姉さん、サクラちゃん、ミリィの5人である。
受付への集合時間は7時で、10分前に到着したら、もうすでにみんな集まっていた。約一名妲己姉さんの肌がツルツルテカテカになっていたのが、すごく目を引いて気にはなったが、一昨日のように泥沼にはまってはいけない。そういけないんだ。
もう少しでみんなが帰るのに、迂闊な発言をすれば、またお願いごとを言ってくる気がするのだ。
「おはようございます。皆さん準備バッチリみたいですね。では早速ダンジョンへ向かいましょう。」
「案内するにゃ~。こっちに来るにゃ~」
よっぽど女の子と遊ぶのを楽しみにしていたのか、ミリィの尻尾が朝からずっとフリフリしっぱなしである。みんなもそれを見て、微笑ましいようで、笑っていた。みんなが装着するソウルデバイスを手渡し、各自が各々の冒険者カード(経営者専用カード)をデバイスに装着していく。
装着した人から、次々とダンジョン入口への転送ポイントに入って消えていく。僕が最後に入って行った。
中にはもう、装備を変更している5人がそこにいた。サクラちゃんは、コロポックルがきているような可愛らしい新緑の衣装だ。スカートがヒラヒラのフレアドレスタイプである。武器は、魔法世界ものによくある魔法の杖である。
玉藻姉さんは、十二単衣の豪華絢爛バージョンである。どこぞの城のお姫様かと思うほどである。
あ~、お姫様みたいなものでした。平安時代の末期に鳥羽上皇の寵愛を受けて城にいたのですから、昔に着慣れた服を着ているのでしょう。そして、手に持っているのは2本のセンスである。あれでモンスターを叩くのだろうか?
ミリィは、動きやすいように短パンにTシャツである。というか初期装備であった。そういえば、水着以外ミリィのソウルデバイスに登録してなかったな。せっかくみんながオシャレをして、楽しもうとしているのに悪い事をしてしまった。武器は木の棒である。傍から見ると、近所の悪ガキ(女の子だけど)みたいである。
さてさて肝心要の妲己姉さんはというと、Ⅴカットのハイレグの黒色水着を着ていた。思わず目に入った瞬間、鼻血がブシューッと思わず出てしまいました。それは、ホースで水やりをしている時に先端の口を摘んで、水圧を上げたかのように。
「えっ、ウィーンさん。大丈夫」
と玉藻姉さんが心配して声をかけてくれる。
「妲己ちゃん。ウィーンちゃんにはやっぱり刺激が強すぎますよ。もっと、露出の少ないものに変えましょうよ。でないと吸血鬼のウィーンちゃんが出血多量で病院に運ばれてしまいますよ。」
「あらん、そんなに刺激的な水着だったかしらん。もっときわどい水着もあったのにん。ちゃんとウィーンさんに考慮したのよん。わかったわん。もっと刺激が少ない水着に着替えるわん」
「ぶ~~~~っ、ちょっと妲己姉さん。もし着替えるのなら、水着ではなくて、お二人みたいに普通の装備でお願いします。ほら、モンスターとの戦闘もありますし……。」
「え~~~でもん。水着も防御力は見た目に限らず高いのよん。それに肌が見えていても防御力には関係ないのよん。それと、ここは初心者用のダンジョンでしょん。そもそもわらわたちは装備しなくても何の問題もないわよん。」
「いや、ま~確かに。僕でさえただのパンチ一発でボスまで撃退出来てるくらいなんで、伝説に残る物の怪の皆様からしたら、赤子の手をひねるよりも簡単に出来てしまいますよね……。」
「そう言うことよん。なのでん水着でいくわん。ええ~っと、それじゃどれにしようかなん。これにしよう。」
ポチット妲己姉さんが、ボタンを押した瞬間にⅤレッグのハイレグが消え、変わりに、変わりに、変わりに、貝殻で大事な所の箇所だけを隠している超露出の激しい水着に変わる。後ろから見ると、うっすらと白い紐があるだけで、なにも着てないのと同じである。
また、鼻血を盛大に噴き出してしまった。これじゃ~せっかくの休日なのに身がもたないよ。朝からこれだと、夜まで妲己さんは一緒なのに、しかも最後の夜は二人だけなのだ。血液不足で死んでしまうかもしれない。吸血鬼の死因が、鼻血の出し過ぎで、出血多量で死ぬとか、笑えなさすぎる。
「妲己ちゃん間違えてるよ。さっきよりも、肌見える面積増えてるよ。ほらっ、早く着替えて、早くしないと、本当にウィーーンちゃんが死んじゃうよ~~。」
とサクラちゃんが涙をうっすらと浮かべながら、妲己姉さんに懇願する。玉藻姉さんは、呆れたように妲己姉さんを見ていた。確信犯だと思っているようだ。
「あらん、ごめんなさいねん。ちょっと指が滑って、隣の水着押しちゃったわん。」
「いいから、早く着替えて上げなさいよ妲己さん。」
「ええと、じゃ~今度こそポチット。ねん」
貝殻の水着が消えて、次はスクール水着になる。それでもスタイルが良すぎて、また、鼻血が出そうになるが、今度はぐ~~っと堪えて、後ろを向く。そう、もう見なければよいのだ。妲己姉さんを僕の視界の中に入れなければ問題はないのだ。
「うぃ~~んさん。大人しめの水着に着替えたのよん。どうかしらん。」
「妲己姉さん。すごくお似合いですよ。出来れば、男性のボクサーパンツの水着を下に掃いて頂けると、大変助かるのですが」
「いやん、いやん、それだと可愛くないわん。わらわの美的センスに合わないもの。ダメよん。そ、れ、に、ちゃんとこっちを向いて、話してくれないと困るわん」
と言って、妲己姉さんは僕の肩を掴み、回転させたのだった。あとは言うまでもないだろう。
歩いてすぐそこにオアシスがあるというのに、僕たちは一向にスタート地点から動けないでいた。
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