第八十一話
続きです
こんな母親は嫌です
新元号への移行と同時更新とか、運命を感じる
それがこんな話で良いのか
「アイギナ様」
治療院へと向かう道中、アッシュと合流した
気が逸っていたが、あんな事があったばかりなのだから、一人で出歩くべきでは無かった
訊くに、アッシュは私がサトルの容態を気にして治療院へと足を向ける事と予測して、ヘクターおじさまの執務室から治療院へと向かう道を遡って、私を迎えに来てくれる途中だったらしい
彼女の献身には頭が下がる思いだ
私はこの親友に、報いる事が出来る日が来るのだろうか
道中は、襲撃事件の事を話した
別れた後、アッシュは同僚からかなり厳しい詰問を受けたらしい
その事に、近衛隊の者達へ強い憤りを覚えるも、彼女がそこまで厳しい扱いを受けた理由が自分の身勝手な振る舞いに起因しているのでは、と思い至り、強く自省の念を抱く
私の安全は、彼女の献身によって守られている
それは彼女の職務であり、ならばこそ、今回私が危難に晒されたのは、彼女がその職務を怠っただと近衛隊が考えたのだろう
申し訳ない気持ちでいっぱいになる
私は、どれだけの人に迷惑を掛けてしまったのだろうか
それでもアッシュは、こうして黙って私の傍に立ち続けてくれている
「……ありがとう、アッシュ」
唐突で、きっと意味が解らないだろう
だが、それでもいい
今は、彼女の友情に報いる術が無い
だから、ただ感謝を伝えるのみ
「……?恐縮です」
アッシュも、訳が分からないという顔をして、ただ謙遜の言葉を述べるのみ
いつか彼女に、私と一緒に居て良かったと思わせて見せる
「……着いたのはいいのだけれど」
治療院へと辿り着く
距離としてはそれほど遠くない
最も怪我人が多く出るのは、日常的に迷宮へと入る軍部の人間である
だからこそ、治療院は軍部とは近い距離に存在していた
「サトルはどこにいるのかしら?」
それが判らない
これは失態だった
先んじて人を遣るなり、そこを訊き出しておくべきだった
だが、大した失態では無い
ここはその業務の性質上、二十四時間誰かしら詰めているのだ
なので、その誰かを捕まえて尋ねればいい
「アイギナ様。ちょうど、そこの部屋に誰か居るみたいですよ」
アッシュが少し離れた部屋を指差して、そう教えてくれた
私には判らないが、アッシュには何かが感じ取れる様だ
当然ながら疑う理由など何も無いので、アッシュを引き連れてその部屋へ向かう
扉の前に立ち、部屋の中へ声を掛けた
「もし。私はアイギナです。部屋へ入ってもよろしいですか?」
そう言うと、すぐさま部屋の中から応答があった
「アイギナかい?入ってきな」
扉越しで少しくぐもっているが、私にとって聞き間違え様の無い声
その声に従い、礼儀など特に気にせず、無造作に扉を開いて入室する
そんな事を気に掛ける人ではないし、私も気に掛けるつもりの無い相手だったからだ
「お母さん、こんな時間まで仕事?」
暗に、早く寝ろよと指摘する
この母、放っておくと何時までも研究に没頭するので、注意が必要なのだ
「心外だね。今回の件が無ければ、とっく湯を浴びて寝てたさ」
拗ねた様にそう返すお母さん
どうやら、ここにも私の身勝手の被害者が居た様だ
「それは……ごめんなさい」
素直に謝罪する
こういう時、下手に意地を張っても意味は無い
「別に構わんさ。アンタの要件は、あの少年だね?」
あの少年
そう言われて、思い付くの只一人
「はい。サトルの容態はどうなの?」
私は即、用件を伝えた
だが
「おやおや。アタシはサトルなんて言ってないんだけどねぇ?というか、アンタあの子の事名前で呼んでたかい?」
お母さんは、どこぞの父親の様な言い様で、私を揶揄う
珍しいと思いながらも、相手にせずに話を進める
「はいはい。それで?サトルは何処?」
容態は自分で確かめる
今の私に、無駄話に付き合う余裕は無い
「……真面目な話なんだけどね……まあいい。これからあの坊やのところへ行くんだ。付いてきな」
相変わらず人の話を聞かない人だ
だが、今はその性急さが有り難い
無言で歩くお母さんの背に続く
勿論、同じく無言のアッシュも私の斜め後ろに続いている
治療院では静かに、というのがお母さんの方針だ
なので、騒ぐと凄く怒られる
普通に話すくらいなら問題無いのだが、何故かそれすらも駄目だと感じられて、結局治療院では無駄口を利くことは無い
どんどんと先へ、奥へと進む
こんなに奥まったところまで施設が続いている事に驚きを禁じ得ない
元々、この治療院はお母さんの完全な管轄下に在り、私は勿論お父さん達もあまり関りが無い
その為、私もこの治療院の中はよく分からない事が多かった
なので、お母さんの先導に従うしかない私は、黙ってその背を追う
暫く歩いたところで、急にお母さんの横顔が目に入る
どうやら、目的の部屋へ辿り着き、横へ振り向いた様だ
声を掛ける事無く、無造作にドアノブを回して中へ入るお母さん
そんな不行儀な行動を、しかし私は咎めない
そもそも、言っても無駄だと解りきっているので、咎めようという気が起きない
ただ呆れるのみである
とはいえ、続く私が今更行儀や作法をなぞったところで、それは滑稽にしか見えない事だろう
故に、同じようにその背に続いて入室する
因みに、アッシュはここまでだ
一度部屋へ入り、室内を軽く見回した後は、そのまま無言で部屋を出て行った
その後は、部屋の入り口で一時的に衛兵の役目をしている筈
「起きてるかい、坊や~」
平坦で無気力な声が響く
これは、本当に起きてるかどうかを確認しているのではなく、声掛けに反応するかどうかを確かめているらしい
起きていれば、それはそれでいい、のだそうだ
私はお父さんの仕事を手伝っているが、お母さんの仕事は手伝っていない
手伝わせてもらえないのだ
意地悪をされているのではなく、単に私に回復魔法の適性が無いから、という理由で
初めは、その事を不満に思いもした
例え適性が無かろうと、出来る仕事はある筈だ
そう思って、実際に詰め寄った事もある
今はその事を反省しきるばかりだ
お母さんは、どちらもする事の負担と、中途半端になる事を危惧していた
それを自覚し、そうと訊ねたところで教えてくれた
それ以来、お父さんの仕事一本でここまで来た
だが、ただ一つ困るのは、お母さんの仕事がまるで理解出来ない事
今もそうだ
別に声を掛ける必要があるとは思えないが、それは私が門外漢であるからだ
それは仕方ないと思うが、当事者になった時に困惑してしまう
今も、目の前で行われている事が、どうにも受け入れ難くて仕方ない
「……ふんふん。見た目に異常は無さそうだ……」
サトルの上半身を開けさせ、直接その素肌に触れ……触れようと……
「あの……お母さん?」
どうしても黙って見ていられず、言葉が口を突いて出る
その返礼は手厳しい物になると知っていながら
「……黙ってな……今診察中だよ」
思ったより苛烈では無かったものの、やはり邪魔される事を嫌がっているのが、ありありと伝わってくる
だけど、今回ばかりは黙って居られない
私も触れた事無いのに
「って、私は一体何を!!」
自分の思考に、自分で中てられ、つい大声で叫んでしまった
その事を自省する間も無く
「アイギナ!騒ぐんなら出ていきなって、いつも言ってるだろ!?」
こちらへ振り向いたお母さんが、開口一番怒声を発して叱りつける
だが、私はその事に対応し切れる状態にはない
自身の破廉恥な発想に煩悶とするしかない状態で、反応出来る訳が無い
「……………………アンタ…………………ああ……そういう事か」
若いねぇ、とか言って、何やらほくそ笑んでいるお母さんの様子が、目に入ってはくるものの、それが何を意味しているのかを理解する余裕は、今の私には無い
そんな私に、何故か歩み寄るお母さんの意図を察する事も、そもそもその接近に気付く事も、期待されても土台無理というものである
「え?」
流石に、そんな状態でも手首を掴まれて引っ張られたら気付きはする
だが、ただでさえ混乱状態にあるのに、いきなりの展開を突き付けられても、その事を理解するのは到底不可能だった
「全く……手の掛かる娘だよ……カリドとアミリアもこんな様じゃないだろうね……ま、あの子達の浮いた話なんか、聞いた事もないんだけどねぇ……そう考えれば、我が子が色を知ったのは良い事なのかもね……」
声の主は判る
お母さんの声を、こんな至近距離で聞き間違える訳が無い
例え、私がどれほど混乱していてもだ
だが、やはりその内容は理解が出来ない
(お母さんは何を言ってるんだろうか……)
思考が支離滅裂に乱れ切っている今は、生まれ出る感想は幼稚の一言に尽きた
それより、強引に手を引かれている方に多少の異議を表するべきなのだが、そんな事にも気付けない
「取り敢えず、聞いた事情と見た感じは問題無いし、丁度いいから面倒な事はさっさと片付けるに限るね」
お母さんがそう言った次の瞬間、掴まれた手首が一際強く引かれた
そして、手のひらに何かが触れる
布越しに触れたそれは仄かに温かく、布越しでも判るくらいの弾力がある何か
(……いえ、少し固くもある……柔らかい中に棒状の固い芯が入っている?)
妙に触り心地のいい何かを、手に触れる感触に従って弄っていく
途端、妙な感触に行き当たった
(ん?何かブヨブヨしたものが……その中にこれも固い……歪な球状の何かが……二つ?)
そのブヨブヨした何かは、抓むと意外と薄っぺらく、そのまま引っ張ると結構伸びた
好奇心の命じるままに、それが何かを意識する事無く、ひたすらに弄り続ける
「……我が娘ながら、なんとも剛毅な事だねぇ……アタシが初めての時も、こんなに積極的じゃなかったよ…………父親の血かね?」
今度は何と言っているのか理解出来た
だが、それが何を意味しているのかは、言葉が抽象的過ぎて理解出来なかった
「…………あれ?」
だが、その言葉は、私の意識を確かに現実に引き戻す、大きな切っ掛けとなった
手は依然として、何かを弄っている
今まではそれが何かを理解出来る状態になかった
しかし、今の私はそれが何であるかを理解出来る状態にある
にも拘らず、手が止まらないのは、単にそれが何であるのかを理解したくないから
すれば、私はこれまでの生涯で且つて無いほどの恥辱を味わう事になると確信している
ともすれば、既にそれが何であるのかを理解しながらも、ギリギリのところで踏み止まっている状態なのかもしれない
尤も、その踏み止まる背を力強く押し続けるのは、今も何かを弄り続けるこの手なのだが
陥落の時は近い
「というか、流石にアタシもちょっと驚きだよ……幾ら惚れた男だからって、男女の関係に無いのに、そこまで弄れるものかねぇ?男の股間なんてさ……ウチの娘はもしかしたら、とんでもない淫乱なんじゃなかろうね?」
グチグチと呟き続けるその言葉の、ある一言が私の背を一際強く押す
(こ、こけ……こか……股間?)
そう、確かに股間と言った
男の股間と言った
この部屋に入った時点で、部屋の中に居たのは四人
私とお母さん、アッシュ……は既に退室している
そして、床に横たわるサトルだけ……男はサトルだけ
それが意味するところはつまり
「ひゃわーーーーーーーーっ!!!!?!?!?!?!?!?!?」
その確かな答えに辿り着いてしまった瞬間、私の全身は二つの指令を受け取り即座に実行に移した
即ち、その手をソレから離せ、可能な限りソレから距離を取れ
この二つである
同時に口を突いて出た素頓狂な声は、私の若く未成熟な心が上げた至極真っ当な悲鳴だろう
「ひゃわ、ひゃわ、ひゃわひゃわわわひゃわわわわわわわわわわわ」
自分でも自分自身の事が把握できない
何を言っているのかも、何をしているのかも、何を言いたいのかも、何をしたいのかも
全ては、人生最大の衝撃と混乱に呑み込まれ
「まあ、気持ちは解らんでもないけどね。どうせ将来はこれを弄繰り回す事になるんだから、早いうちに慣れた方が良いと思うがね」
聞き間違えないと豪語した筈のその声も、今の私には全く判別出来ない
いや、そもそも判別出来ないという事実を認識する事も出来ないのだ
「ひゃわわわわわわわわわわわわわわわわっわわわわっわわわわわわわわわわあわわわわわわ」
「……そろそろかねぇ」
「ひゃわわわわわわわわわわわわっわわっわわわわばっ!ゲッホ!ゲッホ!ゲホゲッホ!!」
「やっぱりね」
混乱の極致の現状で、呑気に何やら納得する声だけが場違いで
それが不思議と記憶に残った
「落ち着いたかい?」
目の前に差し出されたグラスに湛えられた水を、遮二無二荒れた喉へと流し込む
引っ掴んだ時に盛大に零れて手と袖を濡らしたが、そんな事は気にもならない
「…………ふぅ……げふ」
荒れた喉が僅かに潤う感覚に浸っていると、ゲップが出た
しかし、その事を恥じる心は無い
有るのは安堵のみだった
「アタシが言うこっちゃないけどさ。流石に淑女としてはどうかと思うよ?」
その言葉が耳に入った途端、安堵に満たされていた私の心は、反射的に大きな怒りに見舞われた
その意図せぬ怒りに、されど逆らう事無く、それを大きな怒声に変える
「お母さん!!!淑女云々と言うなら、あんな事をさせないでください!!!」
それは至極真っ当な怒りであるから
そもそも逆らう意味がない
「煩いねぇ……と、今のはアタシのせいか。でもね、アイギナ。淑女なら、何時かはアレに触れる時がくるんだよ?いざ本番となった時慌てない様に、丁度いい相手と機会が出来たから、実践させてあげようっていう、母心じゃないのさ」
「それにも限度があるでしょう!!!そんな……あ、あんなにじっくり触らせなくても……」
「何言ってんだい?じっくりしっかり抓んで引っ張って弄ったのは、他でもないアンタじゃないかい。これでもアタシはびっくりしたんだよ?我が娘がとんだすき者だってさ」
後から次から次へと湧き上がる正当な怒りを、しかし私は正当に扱えなかった
こんな精神状態では無理からぬ事だが
事実無根な責任転嫁の結果は、私の正当性の消失
正確には、それに対しての確信が失われた
その結実は、責める言葉の勢いが失われるという形で現れる
「まあ、別にそれは構わんさ。男をとっかえひっかえする様な不誠実な真似をしないならね。それに、この坊やなら、結構そういう淫らな気性も受け入れてくれそうじゃないかい?」
「だ、誰が淫らだって……」
反論に力が無い
内心で、それを疑っているからに他ならない
(恋愛も初めてなのに、今度は淫乱疑惑!?)
はっきり言って、私の精神はそんなに頑丈でも無ければ広大無辺もない
寧ろ脆弱で狭量だと思っているくらいで
そんな突飛な事態を受け入れる事は、当然の様に不可能だった
「さて」
お母さんの視線が私から外れたのを感じた
思い返すと、私が混乱して無様を晒していた間も、この視線はずっと感じていた気がする
それが意味するところは一つ
「面白がってたわね……」
我ながら、どこからこんな低いおどろおどろしい声が出るのかと思うくらい、恨みがましい声が出た
「何のことかねぇ……もう私は特に仕事も無いからね、このままここでこの子が起きるのを待つつもりなんだが……アンタはどうするね」
そんな事は決まっている
「私もマイシマさんが起きるのを待ちます」
即答した
元々、私はサトルの容態を確かめに来たのだから、それを見届けるまでは帰れない
「……マイシマさん、ね……」
自身の胸に滾々と湧き上がる使命感に意気軒昂になっていると、お母さんが呟く声が耳に届く
相手が実の母親で、冷めた性格をしているにも関わらず、実はお父さんととても熱い仲だと知っていても、他の女性の口からその名前が出るのは不愉快だったからだ
若干の不快感を視線に含ませながら、お母さんへと一瞥を送る
すると、半目でこちらを見る視線とぶつかった
「……何よ?」
また別の不快感を感じながら、その視線の意味を問う
「アンタ、さっきはこの子の事、名前で呼び捨てにしてたのに、急に苗字にさん付けに戻ったねぇ?」
その返答に、意表を突かれる
(そんな事、全く意識していなかった)
恋心に気付いて、自然と名前で呼ぶ様になった
なら、今自然と苗字で呼ぶ様になったという事は、恋心は失われたという事か
(それは無い)
そこは確実に断言出来る
少し心の中を見つめれば、それは決して消える事無く輝きと熱を放って、その存在感を主張している
変わらず、それはそこに在った
「っ……どうして?」
今、サトルと口にしようとして、言葉に詰まった
初めての恋
そこで起こる全ての事は、私の人生で経験した事の無いものばかり
そして、最早認めなければならない
私は、突発的な事態に弱い
……そんな筈は無かったのだが、現実としてこの二日間
私は何度も混乱し、恐慌し、無様な失態を晒してきた
そして今も
「……っ!顔が熱い……!汗も出て来た……」
例えそうでも、それをわざわざ口に出す必要は無い
それはつまり、私が私自身の制御を掌握し切れていない事の、何よりの証明であり
「あれ?え?な、なんで?」
混乱の極致にある事を如実に物語っていた
「……暫くは戻ってきそうに無いね……全く、アタシが子供の色恋に思い煩う日が来るとは、人生ってのは解らないねぇ……」
ただ恥ずかしいってだけなのに……と、呆れ混じりに呟くお母さんの声は、今の私には届かなかった
その後、何とか正気を取り戻し、お父さんの来室、色々とあった
だが、その後の衝撃は、甘い現実に苦々しい汚濁を擦り付け、塗り潰してしまった
「これから、この坊やは苦しい立場に立たされる」
私が目を付けたその力
お父さんが驚いたその力
お母さんが興味を惹かれたその力
それが今後、サトルを危機に陥れるかもしれない
いや、まず間違いなく危険が迫るだろう
私なら確実にそうする
それが、私の行いによって引き起こされる
受け入れられない、でも受け入れなければ、サトルを守る事が出来ない
(ああ……私はどこまで愚かなのか)
記憶の隅に、確かに消える事無く在る言葉が脳裏を過ぎる
(私達権力者が持つ影響力は大きい。それは、時として意図せぬ災難を呼び起こす。故に、常に私達は己を厳しく律しなければならない)
誰が言ったか、もう記憶にない
だが、その言葉は深く記憶に刻まれていた
(私は……!)
身の内に湧き上がるのは、既に何度も感じた罪悪感と自己嫌悪
何度思い知らされれば理解するのか
いえ、理解なら最初にした
だが、それは十分では無かった、それだけの話
「…………私が」
お母さんは私に問うた
私がマイシマ サトルへ出来る事は何か
後悔だけは、もうしたくない
その為なら
「私が彼を守ります」
握り締める手の中の影が僅かに黒く揺らめく
その揺らめく黒を弄ぶ
「アイギナ!」
お父さんが悲痛に叫ぶ声が聞こえる
申し訳なく思う
それでも、私の過ちは私が拭わなければならない
幸いなことに、その為の力もある
「アンタが覚悟を決めたなら、アタシはとやかく言わないよ。言ったからには最後まで……と、アンタに言う必要は無いね。手が要るなら言いな、いつでも貸してやるよ」
強い信頼に、涙が出そうになる
その事がとても有り難い
私の独り善がりでは駄目なのだ
その時が来たら、遠慮なく手を借りる事にしよう
(まずは、この魔法と向き合わないと)
前例の無い力
そういう意味では、サトルのそれと大差は無い
目を付けられてはいけない
お父さんとお母さんに知られてもいけない
もし、止められでもしたら、私はそれに逆らう術が無いから
この力は、サトルを守る為に得たのだと
今は、天啓の様に確信している
握り締めた拳の中で、闇が蠢いた
皆さんはこんな風に、男性の股間を弄くり回してはいけませんよ
とてもデリケートな代物ですからね
ちょっと指でクリッと弄ぶだけで、筆舌に尽くし難い感覚を覚えるんですからね
ホントにダメですよ
ポジションを整えている時に、ボクサーパンツに引っ掛かって悶絶する事もあるんですからね
股間が痒くて無遠慮に掻いてたら、ゴリっとやって悶絶するんですからね
大事に、大事に扱ってくれよな
アイギナの決意が玉弄りの印象に掻き消されてしまった感アリ
アイギナが守りたいと願う対象に、理が含まれることになりました
それは、後々に彼女の行動を後押ししてくれる一助となる、かもしれない
次回投稿は5月8日です
5と8……ゴハッ!(吐血)の日と覚えよう
ファイアーエムブレムの最新作の限定版を予約すべきか悩み中
尤も、投稿時にはとっくに予約締切になってるでしょうけど




