変革…
もう朝だ。今日はいよいよ両親に実力を見せる日がやってきた。これに合格しないと冒険者登録はできないのかな?そんなことはないか。でもなんか緊張してきたな。
いつもより少し早く目が覚めてしまいどうしたものかと悩んだ末中庭に行こうと部屋を出た途端に声をかけられた。
「ルークおはよう。今日は早い目覚めだね?もしかして緊張してるのかな?」
「少し緊張しているのかもしれないね。」
「今日は実力を見せてくれる日だもんね。なんだかいつものルークじゃないみたいだけど無理はしなくてもいいんだよ?」
「大丈夫だよ。いつも通りの俺だよ」
「それなら良かった。今日は楽しみにしてるよ。僕もルークの実力を見れると思ってすごく楽しみにしてたんだ。」
「期待に応えられるように頑張るよ。」
「そんなに大げさにしなくても大丈夫だよ。今になってやっぱり冒険者は認めないなんていうつもりはないからね。」
「まあ、今日は僕も楽しみにしてたよ。」
「お互い頑張ろうね。」
「うん」
「シルヴァももう食堂に来ていたから少し早いけど朝食にしようか。」
「そうだね。お腹すいたし早く向かおう。」
こうして2人で食堂に向かった。食堂へ向かうと宣言通り中には母さんが紅茶を飲んでいた。
「あら、ルークおはよう。早かったのね。」
「おはよう母さん。楽しみで少し早く目が覚めちゃった。」
「あら?いつもは母様と呼んでいたのにどうしたの?心なしか雰囲気も違うような…」
「これから自立しないとって思ってね。子どものままの呼び方じゃだめだと思って。」
「そうなのね。大人になったことを喜ぶべきなのか…」
「そんなことよりお腹すいちゃったから朝食にしようよ。」
「そうしようか。僕も早く実力をみたくてウズウズしてたんだ。」
父さんの戦闘狂という意外な一面をみた気がしたがあまりそこには触れず家族最後の朝食を囲んだ。いつも通りの食卓だった。少しして皆が朝食を食べたあとどちらからともなく中庭に足を運んだ。
中庭に着いた2人は対面した。
「ルーク。遠慮は要らないよ。全力で向かっておいで。ケガはシルヴァが全て治してくれるからね。」
「じゃあけがさせても大丈夫だね。」
「いうようになったね。だけど僕もルークに負けじと修練は積んできたよ。そう簡単には負けないよ。」
「二人とも準備もいいかしら?」
「僕は大丈夫だよ」
「俺もいつでもいいよ」
「それじゃあ始めるわよ」
こうして2人の真剣勝負が始まった。
「ルークまずはこれだよ。火球」
大きな火の球が俺に向かって飛んできた。
「(心霊特異)ラ・イスラ・デ・ラ・ムネカス」
「なんだこの背筋が凍るような魔力は…」
大量の人形が現れた。もちろん俺が出した人形だ。この人形は自由に動かせる。
「父さんの実力はこんなものなの?」
俺は人形を3体犠牲にして火球を防いだ。
「ルーク君は一体…なんなんだ…」
「次はこっちから行くよ。(心霊特異)牛首トンネル」
どこからともなく耳障りの悪い音が流れてきたもちろん父さんと母さんも聞いていた。
「なんだこの音は…?」
「これは僕の住んでいた世界では牛の首って言う物語があるんだ。その物語を聞いたものは漏れなく死んでいく一種の呪いだね。それをうまく魔法に組み込めないかなと研究してみた結果だよ。まあ、僕には効果がなかったから魔獣で試したりしたんだ。聴覚があるものはみんな呪いで倒れていったよ。でもこの世界の魔力は不思議なものだよね。魔力総量が多ければ多いほど猶予が増えるんだ。まだ名前をつけてはいないけどいい魔法だよね。さすが父さんだねまだ意識を保ってる。母さんなんてすぐ倒れたのに。」
「シルヴァ!僕の住んでいた世界?意味が分からないが今すぐ止めろ!」
「もう止まらないよ」
「ルーク!いや、違うお前はルークなのか?…」
「もう立ってるだけでもやっとでしょ。もう無理はしなくていいんだよ。そして俺はルークだよ。正真正銘君たちの息子だよ。」
「ルーク!君だけは僕の手で!」
父さんに魔力がたまりだした。どうやら殺す気らしい。実の息子なのに悲しいな。そんな父に俺は対抗することにした。
「(憑依)」