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星の旅人  作者: ホトトトギス


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2/5

学校生活の始まり

天の日本にいた時の年齢を下げました。

よろしくお願いします。

 4月某日の朝8:30頃

日本みたいにこの時期に始まるのは助かる。

 天は入学式のため学校へと向かっていた。

 アパートは本日付で退去し私物は寮に送っている。

 退去のもろもろもは王城の使用人が引き受けてくれたため

 もう身一つで学校へ行くだけである。


 アパートから学校は少し遠いため

 11時からの入学式のため天は学校へ向かっていた。


 何てことない平穏な風景に心奪われながら

 余裕をもって学校に行けるだろう。

 そう思っていたのだが

 

 9時を過ぎたころ

 けたたましい鐘の音が街中に響いた。

「これは、、魔宮殿(パンデモニウム)のやつか、、、」


 魔宮殿(パンデモニウム)

 この世界には迷宮(ダンジョン)が点在しており、内容は様々なのだが

 純粋にモンスターが多くかつ強力であるだけであるが

 攻略記録が残されていない迷宮が魔宮殿


 魔宮殿の(パンデモニウム)ため息(サプライズ)

 魔宮殿に入ってすぐの階層に出現するモンスターが世界のどこかに出現する現象

 各地点の出現場所はおおよそ決まっているため

 各国はそこを避けて都市を築いている。


 もちろんその地点には防衛網を敷いている訳なのだが。

「、、、そいつも、、入ってすぐの階層にいるとは聞いていたけどさ、、」

 防衛網を突破したモンスターの群れ

 モンスターと言っても1種類しかいないのだが

「ワイバーンか、、、この前1匹だけ倒したけど。」

 学校に合格した後、国軍所属の者たちとゴブリン狩りに出かけた際

 出現したワイバーンを国軍が救助に向かえるように立ち回っている状況下ではあるが

 単独での討伐を成し遂げていた。


 街はすでに多くの人が行きかっており

 活気が出始めたこのタイミングでの出現

「これ、、街に入ってくるな。」

 上空を飛行するワイバーンの群れに対応するための魔法や設備は整えているのだが

 後になってわかることだが過去最大数が襲来したこのため息ではそれだけでは足りず

 200匹を超えるワイバーンのうち、街へ60匹ほど侵入させてしまった。


「真正面から戦う気はないし、隅っこの方のもらおうかな。あの時物足りなかったし、、、レベルも上がってるし、、」

 天のレベルは26になっていた。

 ワイバーンの適性レベルと言われているのは45ほどなのだが

 半分もないレベルで討伐できたのは

 天のスキルによるバフもあるが、それよりも 

 人族・来訪者の来訪者が関係していることに天含め誰も気づいていない。

 来訪者なんてものを知らないわけだから仕方がないわけだが。

 それはさておき 

 スキル:王を定めし12の騎士(エクスカリバー)に唯一あった刀、無銘(ななし)を顕現させ

 群れから離れ暴れているワイバーンに切りかかる。

 一太刀で首を切り落とす

あん時の奴より硬い、、魔宮殿産はレベルも違うわけか。


翼の翼膜が一番柔らかいけど、、、狙うのは比較的柔らかい首だな。

それ以上硬くても切れるけど、、そんな面倒なことする必要ないか。

 討伐し、感触を確かめ、心の中で狙う部位を見据える。

これなら問題ないな。

 2,3匹同時に相手できるだろうが調子に乗って死にたくはないため

 群れもちらつき始めていることもあり

 一匹でうろついているワイバーンを狩ることを選択する。

 

 討伐していく中で天は一つ疑問が生じた。

最初に戦ったやつと同等の硬さをしている奴が少ない。

 ゴブリン討伐の際に出くわしたワイバーンと同じくらいの硬さしかない奴が大多数を占めていた。

モンスターにレベルってあったっけ?

迷宮に発生するモンスターの個体差ってほぼないんじゃなかったっけか?

 といった具合に最近得た知識ではあるため

 経験が少ない自分では判断不能とし

 数を減らすことに注力することにした。

 

 そんな時 

 近場で大きな音を立てながら砂煙が上がる。

 そこには同じ制服を着た女性がいた。

 女性も天に気が付いたのか近づいてくる。

「ワイバーン、、討伐してたの、、きみ?」

 身長は150㎝、、、160はないだろうくらいの身長

 紙は短髪で白みがかった赤?色

 抑揚があまりない声で話しかけてくる。

「ええ、、、まぁ。お邪魔でしたか?」


「、、んー、、、ちょっと?私のサボりをごまかすためには。」


 なんとも自分勝手な話である。

「えっと、、、アルディア学校の、、、生徒のかた、、、で?」


「うん。今頃始業式やってる、、、、君もさぼり?」


「いやぁ、、、入学式に出ようと、、、」


「、、、あぁ。1年生か。すごいね。1年生でワイバーン討伐して、、、」


「ありがとう、ございます?、、それで、、そのぉ、、一つお聞きしたのですが、、、」


「ん?」


「僕も入学式サボりたいです。」

 天もそちら側の人間だった。

「きみも、、こっち側?」


「ええ、もちろん。」 

 日本にいたころから天は学校の○○式と名のつくものは嫌いだった。

 別に何かあったわけではない。 

 ただただ本能的に嫌っていた。


「いいよ。でもこのままだとワイバーン被害が広がって入学式別日にとかになるから、、、、片づけちゃおうか。、、、手伝って?」


「喜んで。」

 天は先輩に従いワイバーン狩りを本格化する。


====

 12時ごろアルディア学校では

 ワイバーン騒動がこのころには沈静化していたこと

 多くの生徒が寮や近場に住んでいたりしたこともあり

 入学式を執り行うことを決め、

 入学式が行われたが

 王子はどこにもいない天を探していた。


 入学式の最中

 天は学校内にはいた。いるのだが、、、、

 ともにワイバーンを討伐したカーナとともにお茶をしていた。

 気が付けば入学式も終わり

 所連絡、各自のホームルームを行う部屋の紹介などが執り行われているころ、

「やっぱりここにいたんだね。」

 

「げ、、パデック、、、、」

 カーナが面倒なやつに見つかったという顔をする。

 日本にいた時の天の身長よりも高いだろう背

 顔もイケメン、黒髪。

あれ?僕の完全上位互換説あるくね?

 パデックと呼ばれた男は笑いながら

 カーナの面倒なといった具合の顔をあしらうパデックを見て思う。

「僕、一応君の先輩なんだけど、、、まあいいや。それで?きみがソラ君であってるよね?」


「はい。天です。」


「僕はパデック。3年だよ。よろしくね。」


「よろしくお願いします。」

え?何しに来たん?わざわざあいさつに来たの?ありえんでしょ?

「パデックぅーーーーー帰れーーーーー」

 濁声というのだろうか

 すべての言葉に濁点のついた声を出すカーナ。

どんだけ帰ってほしいの?

 この瞬間天の頭に一つの可能性が急浮上する。

この二人元カレとか?

 そう思うと急に冷や汗が止まらなくなるわけだが、、

 どうやらそういう関係ではなかったようだ。

「パデックのせいで面倒なアルディア3徒になったのにこれ以上の面倒ごとをさせるのかーーーー。」

 これもまた濁点の張り付いた声を出す。


 アルディア3徒

 王立アルディア学校に所属する全生徒の中で

 戦闘能力が 


「いや、、まぁ、、君からしたらそうかも?」


「かーーーーえーーーーれーーーーーーーーー」


「そうは言われても、、とりあえず二人とも、ワイバーンと戦ったんでしょう?ステータス確認したら?」

 そういいながら紙を渡してくる。

 渡されながらカーナ、天ともに

ああ、そういえばそうだった。

 といった具合の顔をする。


高原 天 

人族・来訪者

レベル:38

 攻撃:260

 防御:151

 速度:260

 精神:203

 魔力:260

スキル:王を定めし12の騎士(エクスカリバー)

 アビ:隠密


 最後のステータスのレベルが26でそこからワイバーン通常種、変種を討伐したことで

 一気にレベルだけが上がりステータスが付いてきていない状況になっていた。

 アビの隠密はワイバーン戦後

 カーナが兵士に見つかれば学校まで送られてしまうことを警戒し

 天に気配の消し方もとい魔力操作方法を教えてくれたため身に着いたものである。


 その裏でカーナもレベルが1上がったようだった。

「多分だけど、レベルが先行してステータス上がっていないよね?だからどうかな?僕たち3人で組手しない?」

 それを聞いた瞬間カーナが何を企んでいるんだ?という顔を向ける。

 もちろん、パデックはそれを華麗に無視 

「カーナも頼むよ?」

 ものすごく嫌なのだろうというのが見て取れる顔をする。

「断ったら、、断ったで面倒だし、、、」

 経験があるのだろう。

 天もまた、カーナに言うことを聞いておいた方がいいと言われたので

 それに従うことにした。

 

 パドックに連れられて

 一行は大きな運動場のような場所に出る。

「さて、それじゃ、始めようか。」

 その言葉を聞いた瞬間

 カーナが腕を振り風の斬撃を放ち、その衝撃波で土煙が舞う

「ですよねぇ~」

 自分への攻撃を予想していたのか、パドックが嘆きながら回避

 それに乗じて天はパドックに接近し真横から右ストレート

「やるね」

 これも軽くかわす。

 軽く言うパドックだが心では

数値は彼が一番低い、それは間違いない。彼が特殊であることは校長から聞いている、、、

彼は確か受験時は20レベル。その後仮に10レベル上がっていたとしても30

先ほどレベルアップしたようだから、ステータスは高くても300ほどのハズ、、

どうなってるんだ?

 考えながら二人からの攻撃をかわす。

 その後打ち合いに発展していくが

 3名とも興が乗ってきたのだろう、戦闘の速度が上がる。


 そしてこの組手を見ている者たちがいた。

 3年生の卒業により空いたアルディア3徒の候補者たちである。

 候補者は新3年だけで、実力もレベル45オーバーも複数名いた。

「かれ、あの速度によくついていけてるわね。」

「あの速度ぐらいはついていけんだろ。とはいえまぁ、、現アルディア3徒の二人を相手によくやってるとは思うが。」

「スキルだのアビだのは使っていない、、、よね?純粋なステータスとちょっとした魔法だけですごいよね。最初は2対1の構図だったけど、1対1対1の構図にいつの間にかなっているし。」

「カーナまで乗ってるっぽいし、、、」

「話を聞いた感じ、、二人して始業式、入学式サボっていたみたいだよ?」

「さぼり同盟か?」

「たぶん?」

 関係ある話もない話も含めてギャースカ言っているようだが

 天たちには関係ない。

 

ーーーー

 どれくらい闘っていたのか

 天が地に突っ伏したところで組手は終了した。

 そんな天たちの元へ

「元気があって何より」

「校長いらしていたのですか。」

「無論だとも。私だけではないぞ?」

「私もいる。」

「ウォナ教諭もいたんですか。」

「私はソラの担任だからな。」

「初めまして、、、、すみません、、こんな格好で」

 天が突っ伏しながら挨拶をする。

「気にしなくていい。この二人を相手によくもここまで粘ったものだ。体力が多少回復してから、ホームルームに使う部屋に連れて行こう。」

「ありがとう、、ござ、、、います。」


 その後回復を待ち、部屋の紹介をされたり、明日の予定を教わったりして解散

 パドックが寮生であったことからパドックに連れられ

 入寮。

 パドックに気に入られたようで

 パドックに連れまわされながら食事、入浴やらなんやら連れまわされ

 ようやく解放されたのは夜9時頃だった。

「ここかぁ、、、二人部屋だって言うし、、もう寝てたら申し訳ないなぁ、、、」

 部屋の前には居るものの部屋の中の人のことを考えると足がすくむ。

 とはいえ

 このまま廊下のようなところで一晩明かす方がやばい奴なのは明白なわけで

 同じ1年生が同室の相手だというのは知っているため

 意を決して中へと入る(もちろんノックはする)。

 返答があったため、中へと入ったわけだが

「お?きみが僕のルームメイト?よろしく!」

 天の悩みが杞憂以外の何でもない程度には元気な男がいた。

 天とて人と話せないわけではないが

 さりとてこの手のタイプは多少の心つもりは必要だった。

「ごめんね?来るのがだいぶ遅くなって。高原天です。特例クラス?だかです。よろしく。」

「1クラスのエイル・ゴルバだ、よろしく。さっき、アルディア3徒のパドック先輩?と一緒にいなかった?」

「なんだかよくわからないけど、、気に入られたっぽい?さんざん連れまわされた。」

「初日からアルディア3徒と知り合えるなんて幸先いじゃん。」

「ね?それは僕も思うけど、、とんだ無茶ぶりされそうで怖い。純粋にあの人めちゃくちゃ強いし。」

「戦ってるところ見たの?」

「組手はした。」

「マジ?」

「まじ。」

「マジかよ。今度紹介してくれよ。俺冒険者登録してるんだけどさぁ、、冒険者の中でも有名だぜ?あの人。学生なのにレベルが高いって。あの人というかあの人とその周辺がって話だが。レベル45目前だとか、越えてるだとかいろいろ言われてる。」


なんというかこの世界の普通だから言っても仕方のないことなんだろうけど、、

学生が当たり前のように冒険者休みの人かにやってるの控えめに言ってやばいだろ。

話を聞いた感じ10歳ごろから田舎とかだとゴブリン狩りの戦力として戦うらしい。

「そりゃ強いわけだ。というかあの人と戦えていたカーナさんも化け物だな。」

「カーナ?アルディア3徒の?」

「そう。あの人と僕がなぜかパドック先輩に拉致られて、1対1対1の組手させられたの。」

「どうだった!!」

「強かったとしか、、、結局一発も入れられなかったし。結局僕が地べたに這いつくばって終わったし。レベルも高いし、ステータスもきちんと伸ばしてる。クッソ強い。」

 多少は仲良くなれたのだろうか。

 普通に会話できるようになっていた。


====

 話は少しさかのぼり

 天だけでなく、組手観戦者たちも帰った後

 教諭室では先ほどの戦いの後、とらせてもらったステータスを見ていた。


高原 天 

人族・来訪者

レベル:38

 攻撃:266

 防御:153

 速度:272

 精神:208

 魔力:269

スキル:王を定めし12の騎士(エクスカリバー)

 アビ:隠密

「レベル26のタイミングであれだけの量のワイバーンとその変種数匹の討伐。よく成し遂げられましたよね。」

「そこから38まで上がるとは、、、さらにそこからスキルも使わずによくあの二人とあれだけの時間戦えていましたね。ウォナ教諭はどう思いますか?」

「、、、異常ではある。あるのだが、、そもそも彼の出自が異常、、と考えれば、ある程度納得はできる範囲かと。あとは、、この来訪者、、これが作用しているのか。」

「パドックとカーナのステータスは?」

「あの二人ですが、カーナはワイバーン戦で1レベル上がったようです。」

「カーナも生徒の中ではパドックについて2番目にレベル高いとはいえ、、ワイバーンの変種複数体の討伐、もともとレベルアップ間近とも言われていましたし、妥当ではあるかと。」

「というか、、だれも突っこんでないですけど、、隠密のアビ獲得してますけど、、」

「、、、、、」

 教師人の誰もが突っ込むのをやめた。


こんなもん、明らかカーナの仕業に決まってんだろ。

 という元凶に対するツッコミと

それはそれとしてなんでしっかり獲得してるんだよ。

 という別の問題へのツッコミを

 わざわざしたくなかったからである。

 その後も会議は続いたようだ。


====


 翌日早朝

 天は寮の設備であるグラウンドに来ていた。

 朝食まで時間もあるため、日課のランニングを行う。

 その後ちらほらと似たような寮生がランニングを始めたが

 各々が好き勝手なペースでもあるため、

 グラウンドからは土を踏みしめる音だけが聞こえていた。

 その後

 朝食を取りさっさと登校しようとしたが

 案の定、パドックにつかまり、

 なぜか同級生よりも3年生の方が知り合いが多い状態になっていた。

 

 どうにかこうにか解放され

 自身の特例クラスにたどり着いたわけだが、

 いたのは一人だった。

あれは、、獣人族の女子か。

 向こうも天が来たことに気が付いたようだが

 どう声を掛けたら良いものか。

「席順とかって、、、あります?」

 振り絞ったのがこれなのが何とも言ったところではあるが 

 今の天にはこれしかいうことがなかった。

高校の最初のころ、、僕どうやって知り合いつくっていたんだっけ?

 過去の自分がよくわからなくなる。

「いえ、、ない、、と思います。」


「ありがとうございます。じゃぁ、隅っこの方に座ろうか。ねぇ?王子?」

 この獣人族の女子が特例クラスにいるのは、

 白狼と言われる希少種の獣人なのだが

 そんなこと全く知らない天は

 獣人の女子に話しかけたタイミングで入ってきた王子に気が付いていた天は

 話を振る。

「なんで気が付くかなぁ、、ワイバーン狩りに夢中になって入学式の存在には気が付かなかったくせに。」

「いや?覚えてはいたよ?ただ面倒だったしちょうどいい理由がそこにあったもんで。というか知ってたんだ。僕がワイバーンと戦ってたこと。」

「そりゃぁ、、知っているに決まっているだろ、、、王子だぞ。」

「ふーーーーーん。」

 自分から聞いたくせに大した反応もせずに

 席につき、それに対して王子も文句を垂れながら席につき

 話したりなんだりしているうちに

 ホームルームの時間になり、そのまま自己紹介のようなものが始まったわけだが

 天は結局2人くらいしか名前を憶えていないのだが

 それはまぁ、、いいだろう。

 

 本日は日本で言うところの水曜日

 この世界も5日間の学校と2日間の休日を交互に行う。

 もちろん祝日やら夏季休暇やらもあるが。

 金曜日は3学年そろって、各自のレベルやステータスを参照したうえで

 体力の向上のため持久走のようなものが毎週開催される。

 よってあと2日で授業内容から部活的なものまで、詰め込んで教えることになる。


 金曜日に実施される持久走については 

 この世界で生き延びるための術のようなもので

 モンスターから生徒が少しでも多くの人々が逃げ延びれるように

 逃げ切れないとしても時間を稼いで救援と合流できるように

 そういう願いから始まったものである。

 だいたい午前中で終わるため、大変ではあるが、

 将来の貯金にもなるため、

 日本人が持久走と聞いてするあの顔をする者はマレであったりする。

 これのおかげで、逃走や速度系のバフのアビを持つ者が多い。

 最低でも卒業までにアビは一つは手に入ると言われている。


 とはいえ、この2日間は話を聞くだけなので

 とくに何かあるわけでもなく終了した。

 強いて言うならば

 日本の大学の様に必修と選択があるといった具合ではあるものの

 選択と言っても、この時間はこの中から選んでね。

 みたいなものでそこまで自由があるわけではない。


 部活に関してはカーナがさぼり仲間のよしみで部活を紹介してくれたため

 ちゃっかりすでに入部していたりする。

 兼部的なものもできるため、一旦はここでいいだろうと言った具合。


 そんな感じであっという間に2日過ぎて、、、

 金曜日が来てしまった。

 通常、1年生は最初の1,2カ月ほどは全員が10キロなのだが、、、

「パドック先輩?僕は、、、10キロ走ればいいんですよ?」

「何を言っているんだい?きみは僕たちと一緒に60キロだよ?」

「先輩に対してあまりこういうこと言いたくはないのですが、、、馬鹿言わないでください。」

「それは残念。現実なんだかこれが。」


 途中から抵抗するだけ無駄だと察し、

 おとなしく文句を言い続けるに留まっているのだが

 パドックが天を自分たちのところに連れて行くのには理由があった。

 本日は持久走の前に校長から二つの発表がある。

 一つは、アルディア3徒の任命

 そしてもう一つ、先日のワイバーン討伐に関すること。


 アルディア3徒はパドック、カーナがそのまま

 そして最後の一人が

 ライオン?の獣人族である、ツォルガが任命された。

「続いて、カーナ・ロズエリア、タカハラソラ、前へ。」

 パドックが他の人にはバレないように天をサポートしてくれたおかげで

 恥をかかずに前へ出ることができた。

「先日発生したワイバーン事件において、ワイバーン被害の早急な沈静化に多大な貢献をしたことを認め、冒険者組合よりカーナを第2級冒険者として、タカハラソラが冒険者登録を行う際、第3級冒険者から活動することをここに認める通達があった。」

 国軍からも待遇について学校側に出されているが

 これは機密事項に当たるためこの場での発表はなかった。


 それなりのざわつきはあるものの 

 それを無視するかのように、持久走スタートの合図が鳴った。

 持久走の距離が10キロでも60キロでもスタートは等しく学校であり

 ゴールも等しく学校である。

 そして一番最初にスタートするのは天を含む60キロ組である。

 60キロ組は天以外は全員が40レベルオーバー。

 それに加え天のステータスは30レベルのステータスに追いついていない。

 そんな状況下でありながら、普通に話しかけられるため

 ゴールするころには天は死にそうな顔をしていた。

 そんな具合にひどい目にあったわけだが

 他のメンバーとて鬼なわけではない。

 ただの純粋な興味関心である。

 そうであるが故の厄介さの否定のし難さもあるのだが。

 カーナを除いたメンバーは全員が今年から3年生であり

 その全員がアルディア3徒候補であるため

 普段から良く競ったり、一緒に依頼を受けに行ったりするなど

 性別やら人族やら獣人族やらエルフ族やら関係なく仲が良い。

 その後は60キロのメンバーで昼食を食べたりなんだり

 天としてもそこそこ楽しい時間を過ごせたようだった。


 それから休日に入ったわけだが、

 パッドク達に連れら、休日のうちに冒険者登録と

 ちょっとした依頼を受けたりして、充実した休日というモノを過ごした。


 月曜日

 学校のプログラムの中に護身術に関するものが含まれている。

 その時間

 天はウォナに連れられ戦闘訓練場に来ていた。

「この時間はソラ、きみのスキルの訓練を行う。」


 ウォナ・ブレアレス

 元冒険者でレベル80越えのスキル持ち

 ジュダイナの迷宮攻略者

 第一線から退いてはいるものの有事の際は招集がかかる。

 今は生態についての講義を受け持っている。

「きみがこちら側に来た時私も招集されていてね。きみのことについては他の人よりもわかっているつもりだ。ただ、一つ確認しなければならないことがある。なぜきみは、、これまでの人生んいついて語らないんだ?名前は教えてくれる。きみのいた日本という国のことも教えてくれる。だというのに、きみの身の上話は一度も聞いたことがないと聞いている。」

「覚えていないんです。名前は覚えています。日本の知識もあります。でも、、、自分がどこでどうやって生きていたのかは覚えていないんです。」

「、、、、」


そうか。

 ウォナが心の中でつぶやく。

 この可能性ももちろん気が付いていた。

 だが、ウォナはこの可能性はないモノとして扱っていた。

 それはおそらく、冒険者としての経験から来るものだろう。

 戻れるともわからないこの世界に来てなお

 自分がこれまで生きてきたその軌跡を失う。

 それは元の世界に戻るという意思さえ忘れさせることのできるモノである。

 ウォナはそう考えていた。

 考えていたがゆえに思い出す。

 冒険者時代に

 モンスターに襲われた街のたった一人の生き残り

 おそらくショックで記憶を失っていたのだろう。

 それでも記憶が戻るあの時までは明るく振舞っていた者のことを。

「そうか、、、すまない、、記憶を少しでも思い出したら教えてくれ。力になる。教師としても、元冒険者としても。」

「ありがとうございます。」

「さて、それでは始めよう。これもいつかきみを助けることになるだろう。」

「よろしくお願いします。」

「まずは、、きみのスキルから、、か。ソラ、きみはスキルの声を聞くことはできているか?」

「スキルの、、声?」

「声と言っても、そのスキルがどういったものなのかスキルがしゃべって解説するわけでも文字が出てくるわけでもなく、自分の中に刻まれる感覚という表現の方が正しいだろう。」

 そういいながらウォナは一冊の本を出現させた。

「私もスキルを持っているわけだが、、知っているか?」

「確か、、、グリモワール、、、でしょうか。」

「私のスキルはだいぶ有名だから知っているか。」

 

 記憶の具現書(グリモワール)

 ウォナ自身が見た魔法、スキル、アビを疑似的に再現して扱えるようになるスキル。

 魔法を再現しても魔力を使用せずに使える

 が

 見たモノをウォナ自身で技として理解しなければならない。

 スキルそのものやアビそのものを模倣できるわけではなく、 

 あくまで見たモノだけである。

 本はスキルによって使えるすべてが書かれている。


 例えば触れたものを灰に変える炎を出せるスキルがあったとして

 それを使った火球でモンスターを灰にしたとしても

 モンスターを灰にできるほどの超高温の火球として

 記憶の具現書(グリモワール)に記録される。

 仮にスキルの炎に温度がなかったとしても。

「私がこのスキルの能力を知ったのは知り合いの魔法使いの魔法を見た時だったが、、さて、きみのスキルだが、きみも一度王城内で確認したのを覚えているな?」

「覚えています。あの時の武器をスキル内に収めることができませんでした。」

「私もそう聞いている。ただ、あの時よりも自分のステータスと向き合っている。そもそもあの実験をしたのはこの世界に来てすぐのころだと聞いている。何かしら変化があるかもしれない。それの確認を行うため、あの時使った武器よりも質の高い武器を11本準備した。最悪あの時の様に何もできなくてもいい。だが、今回の講義中にスキルの声は聞かせるつもりだ。そのつもりで取り組んでくれ。」

「わかりました。」

「ではまずはスキルに州のできるかどうかから始めよう。」

 ウォナに促され武器を手に取り

 無銘(ななし)を戻すときの要領で収納しようとしたとき


バチン!

 スキルが拒否しているかのように弾かれる。

 その衝撃で武器は手から離れ、握っていた手のひらはケガを負っていた。

 すかさずウォナが手のひらを回復する。

「すまない。まさか弾くとは、、、」

 回復しながらウォナが謝罪する。

「でも、弾かれたってことは入れることもできるってことですよね?」

「おそらくな。スキルから取り出した武器をしまうだけなのかもしれないが、、それにしては反応が露骨だったともいえる。スキルの声の方はどうだった?」

「弾かれたとき、、何か、、もう一度やってみるしか、、」

「またケガをするかもしれないぞ?無論、私が治すが、、、大丈夫なのか?」

「正直かなり痛いですけど、、、これが一番現状確実な手段なので、、」


 そういうと持ち手が長い槍を持ち再び

「始めます。」

 その言葉にウォナも回復の準備を整える。

 

バチチ

 別の武器にしたため入る可能性もあったが

 やはり弾かれる。

 が

 今度は一度経験しているため、力を込めてそれに抗う。

 しばしの拮抗

 天の手からは血滲み、ぽとぽとと音を立てながらこぼれる。

 それに耐え続ける。


 いつしか天の意識は

どこだ?ここ。

 天を中心に席が11席、無銘(ななし)が1本、円を作り上げていた。

そうか、、、わかったよ。


 そして意識は肉体へと戻る。

 それまで耐え続けたこともあり、反発は大きく吹き飛ぶ。

 瞬時にウォナが回復をかけながら話しかける。

「大丈夫か!」

「はい、、大丈夫、、です。それに、、わかりました。スキルの声。」

「本当か!どうだった!」

「武器は無銘(ななし)を除いて、自分自身で武器を調達するみたいなのですが、、その武器はスキルが認めたものに限るみたいです。そして12本そろった時、、なんかあるっぽいです。」

「12本そろったらわかるだろうからそこはいいとして、、スキルに認められる、、か。そもそも無銘(ななし)には何の能力もないようだが、、質は最高と言っていい。秘宝武器レベルに。」


 秘宝武器

 特殊な能力を持つ、未知の物質によってつくられた武器のこと。

無銘(ななし)についても少しだけわかりました。」

「、、、私がいくら教師とはいえ、、もう少しスキルのことを話すときは注意を払ったほうがいい。私の場合は、、有名になってしまってはいるが、何が使えるかに関しては能力の関係で対策が難しいわけだが。まぁ、、仕方がない、今回はまだ1つ目だから聞くとしよう。今後は気を付けるように。」

「そう、ですね。気を付けます。、、それで、、その、、、そこに在る、在り続ける。、、とのことです。」

「あり続ける、、、か。その意味は私が予想しても仕方がないが、、、やってみなければ、きみとしても考察も何もないか、、、私とも組手をしようか。きみはその刀を使え。仮にケガをしても私なら治せる。」

「いいんですか?」

「ああ。始めようか。」


 天は無銘(ななし)をウォナは本を構える。

「行くぞ。」

 最初にウォナが火球を数発飛ばす。

 天は走って躱す。

 ウォナはそれを見ながら面倒な地点に適宜火球を放つ。

 全てをかわし続けるのも難しいと判断した天は

 基本はかわしつつ、たまに刀で火球を切り伏せる。


 刀だけでなく武器によって魔法を処理することはなんら不思議なことではない。

 ただ

なんだ?切り伏せるのは分かる。だがなんだ?この違和感は?

 ウォナも冒険者時代に戦争は経験していないが、対人戦は経験し

 その中で武器で魔法を処理する者たちと何度も戦ってきた。

 純粋な手合わせで自分より強い剣士に魔法を軽く処理されたことだってあった。

 だというのに

処理されたというより、、刀が魔法に触れた瞬間、、消された?

あの刀は、、あり続ける、、だったか。あり続ける、、

在り続ける、、か。同じ地点に魔法と刀が存在する場合、刀が優先されたのか?

「ソラ!魔法の火力をあげる。速度は落とす。今と同様切ってくれ。」

 そう指示する。

 それを受けて天も立ち止まり構える。

 結果

 魔法は切り伏せられた。

なるほど、、

「ソラ、きみはその刀があり続ける武器だと言ったが、その意味は分かったか?」

「まだ、、、です!」

 火力が上がり速度ももとに戻った火球をを切りながら

 天が答える。

「刀の声を思い出せ。その武器はそこに在るんだ。」

 そういいながら火球の数を増やす。

 かわし続けるのが困難だと察したのか

 かわす数を減らし刀で切る方向へシフトする。

 その中で天もおかしな点に気が付き始めた。

 天も火球という魔法は扱える。

 だからこそいくら天よりレベルが高いとはいえ

 手加減している状態の火球なら

 魔法の中心を切ることができていた。

 だが今の速度も火力も天からしてみれば対応できるギリギリもいいところである。

 だからこそ

 切っている地点がおろそかになり

 明らかに中心をとらえていない、なんなら魔法のキワを切ったのに魔法が消えた。

 それを見ながら

「違和感を感じられたようだな。どうだ?そろそろわかり始めたんじゃないか?」

 ウォナが天に問う。

「この違和感、、そしてそこに在る、、、在り続ける、、そうか、在り続けるのか!」

「つかんだようだな。速度はこのまま火力をあげても?」

「問題、、ないはずです!」

 その言葉に自信と同じ結論に至ったことを悟り

 60レベル程度の火力の火球を放つ。

 それに対して刀による突きで火球を消し去った。

 その瞬間

「「良し!」」

 二人の声が重なった。

「やはり、在り続けるというのはその形が変わることがない。空間がゆがもうと、その刀はその形を保ち続けるため、ゆがみを実質無効化できるのだろう。」

「たぶん、、刀が折れるどころか欠けることすらない、、ですよね?」

「そうだろうな。それがスキルに選ばれることによって付加される能力なのかはまだわからないがね。」

「たしかに、、その可能性もありますね。」

「武器が増えたらもう一度確認するとしよう。」

「はい。」

「どれ。講義が終わるまでもう少し時間があるな。もう少々組手をするとしよう。まだステータスがレベルに追いついていないだろう?」

「よろしくお願いします。」

 組手は講義時間を超えて行われたわけだが、、

 それはご愛嬌というやつだろう。

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