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神の駒になりました  作者: 朱華
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仕方ない、これも運命

なんか詰んでるし。


御茶菓子欲しいな。

暫く無言のままの時が過ぎていく。

もう何も思い浮かばないよぉ。


ひたすらのの字を書いていると、上から声が聞こえた。


「主神様。大神様から今回の報告を早くしろとの事よ」


その声の主は、私からは見えないが神様は見えるらしく顔色が悪くなっている。


「お、おおおお…」


ガタガタと震える神様。

壊れたレコードのように『お』ばかりを繰り返している。

いや、今の若い世代にレコードとか分からないかもだけど。


壊れた機械のように『お』を繰り返していた壊れた物体はギギギと首を左右に動かしボソリと呟いた。


「誰か代わりに…」


「むっりでーす。主神様もたまにはお仕事してください」


今度は別の声が聞こえた。

成る程ねぇ。やっぱり、神の仕事をサボってるんだ。


「組合から、下位の神様の星の調整依頼も来てます」


今度は渋い男性の声だ。


「組合から?それはお前達に任せるよ。誰か適当に選んで派遣してくれ」


暫く何やら無言の間がある。なんか空気がピリピリする。私には気配は感じられないけど、声の主たちと神様の間にバチバチとした火花が飛んでそうな感じ。


「主神様、今は我々も忙しく手が足りない状況です。組合へお断りをお願いします」

「グッ。忙しいのは分かってる」

「でしたら我々の苦労も理解してください。あっ、書類も溜まってますので確認宜しくお願いします」


ドンッ。

その声と同時に座卓の上に書類の山が出現した。


「地球神の部下の神様たち大変だなぁ。まさか地球がブラック企業だったとは」


書類から目を逸らす神様を見て、つい思った事が声が出てしまった。


「ブラックと違う。ちょっとグレーなだけだぁ」

「はいはい、んで?その大神様に報告と他の星に派遣って何?」

「あー。大神のは今回の結果の報告だな。派遣の方はまだまだ未熟な神へのサポートだ。世界の安定は難しくてな。初期の頃は色々あるからな」


あー。なんとなく分かった。あれだ。これは地球から魔素が消えたやらかしみたいなののお手伝いだ。


「どっかの神が魔素無くしたやらかしも手助け頼んだんですか?」


グサっ、グサグサ。

グハッ。

何処からか矢が飛んできて刺さり血反吐を吐くエフェクトを出現させる神様。


「あー、はいはい。今ので分かりました」


変な所に無駄に力を使う神様だよ地球神って。


「では、あの転生の条件が満たされるまでここで待たしてもらいますね。書類の山の片付けあるでしょうし、お茶菓子あると嬉しいな」




ずずずっとお茶を飲みほっこりする私を見て睨む神様。



いや、睨まれても書類整理とか分からないから手伝えないよ?

私はただの人間だもの。神様にお願いされてゲームに参加した、ただの人間。

まさか参加したら魔素に適合して器が地球に転生不可になるとか。

あれ?これって神様のお願い聞いたら転生不可になりましたとかってやつ?



「ぐぐぐ」



あっ、なんか神様が血涙流してる。

でもねぇ。私には関係無いし。



はぁ、お茶が美味しい。





ーーーーーーーーーーーーーーー



カリカリカリ。




現実逃避なのか、気を取り直したのか神様が書類仕事を始めた。



うんうん、ちゃんと仕事しようね。

トップがサボっちゃ駄目だよ。



ボケーっと神様を眺めていたら、不意に神様が書類を差し出した。



「なに?」

「手伝え」

「無理、私にはここに書かれてる文字が読めない」



そう、書類の文字は見た事がない文字。

ゲーム内で使われた文字なら、読めるんだけどね。



ちっ


なんか神様が舌打ちしてる。

駄目だよ。自分でやらなきゃ。


あっ、このお饅頭美味しい。

さっきお茶菓子欲しいと言ったら、お茶と一緒に出てきたお饅頭やらお煎餅が懐かしいったら無い!

はぁ、これよ!これ!餡子の甘さとお煎餅のしょっぱさ。お茶を挟んで交互に食べる至福の時間。

お饅頭、お茶、お煎餅、お茶、お饅頭、お茶と無限ループしちゃう、



「これの確認もお願いします」



ドサッ。

またまた書類の山が出現する。



「あー!チキショウ」



神様が大声を出すと書類をぶちまけた。



「主神様が働いてくださり、配下一同とても助かりますわ」



あっ、今度はちょっと艶のある女性の声だ。



地球にある神話の神様全員が配下で、追っかけやら例のゲームの間はその神様たちに丸投げしてたのなら決済仕事は山積みなんだろう。



神様は書類の一枚を見つめて「背に腹はかえられぬ。これくらいなら大丈夫か?」とか何やら考えている。


「なぁ、さっきのユニークなんちゃらなんだが、それがあるなら地球以外に行く気はあるんだよね?」

「その箱庭的な場所で日本と変わらない生活が出来るなら?安全な場所の確保は必要ですからね。精神的にも肉体的にも」

「よし、その願いを叶えてやるからお前は組合への特使になってくれ。組合からの星の安定とか星の依頼とかお前さんに任せる。ゲームの優勝特典は神の使徒とユニークスキル。これで決まりだな」


満足げに頷く神様。


「え?使徒とか特使とかいらないんですけど…」

「いや、神の特使だぞ?色々な異世界楽しみ放題だぞ」

「んー。日本が良い」


あっ、神様の肩が小刻みに揺れる。


「よし、特別にファストフードの通常メニュー以外に期間限定も付けよう」

「期間限定…」


期間限定とか、心揺さぶるワードだがしかし。


「いや、それは日本に転生したら普通に食べれるし」



バキッ。



神の手に握られたペンが握力で折れる音が響いた。

うわぁ。爪が皮膚に食い込んでる。


「大盤振る舞いだ!ファストフード以外のも期間限定を取り扱い出来る様にする。これでどうだ」


「だから、日本に転生したらそれも楽しめるよ?」



バンバンと神が天板を叩く。



「何故だ!好条件だろ」

「なんで?普通に日本に転生出来たら好きなもの食べとか当たり前じゃない」


「その転生が出来れば苦労しない。ゲーム参加の取り決めは絶対なんだ。大神に報告したらボクは大神の元で再教育が決定してしまう。娯楽も無い毎日毎日大神に監視されて勉強と仕事に追われるんだ」


いや、血涙のエフェクトはいいから。


でも、それってこの堕落した神様には必要な事じゃ無いのかな?

配下の神様も大変そうみたいだし。


何も返事をせずに眺めていたら、神様から血涙が消えた。


「くそっ、この作戦もダメか」


おい、真面目に働け。この駄目神。


しかし、ここでこのまま待ってても転生は難しそうだなぁ。


別れの挨拶も出来なかったら、母親の事を思い出す。

ゲーム内での私の正式な名前はルエナ・ミリアナ・ウィースティリア・ロクス。

種人特有の名前の付け方で、母親の通称名を間に挟むらしい。つまり、ミリアナ・ウィースティリアが母の通称名。種人は寿命が長いので父親の一族が絶えてる事があるらしい。父親と触れ合いが少ない場合もあるので少しでも父親の事を覚えるようにとの名前の付け方だと学んだ。ウィースティリア家が祖父、ロクス家が父親の家名。


そう私の父親の家名はロクス。村に帰る事になったあの出来事は、ロクス王国に隣国が攻め込んで来たからと後に知った。

私が村から出る事を許されなかったのは、ロクス王家の血を受け継いでいたから。ロクス王国はなんでも王の血筋は全員死亡し、隣国の手に落ちた。そんな中にロクス王国の血を引く私が村の外に出たら。


うん、争いの種だよね。やばいよね。私の髪や瞳の色ってロクス王家特有で誰が見ても、ロクス王家の者だと分かると聞いてびっくりした。


どこまでレアなパターンなんだよって思うよね。この種人の設定考えた神様は、どんな意図だったんだろう。

しかし、なんか出来レースって気もしないでは無い。上の方の神が策略したとか?

地球神はかなりやらかしてる神様っぽいし。


再教育とか研修とかあったら、真っ先に逃げ道探すタイプだよ。


つらつらと考えていると、不意に周囲から音が消えた。

あれ?私、動けない。なんで?





「久しいの地球神よ」


声を聞くだけで分かる。神聖な気配に畏れ多くてその方向を見るのを躊躇う。


そこからは、無音の世界。

目の前の神の口が動いてるから話しているのだろうとは思う。高位神の姿は私からは見えない。

ううん、見えないんじゃなくて魂と言うか次元と言うか違い過ぎて認識出来ない。





そして無音の世界がフッと消え。

目の前には顔色の悪いアレが居た。



「頼みがある」


そして凄く話し辛そうに話し出した。


「なに?」

「取引した転生は不可能なのは変えられない。地球の存在が危うくなるからだ。上からの確認も取れたのでさっきのユニークスキルを付与する代わりに、組合の任に就いてほしい」

「組合?つまり地球神の使徒って事?」

「いや、使徒では無い。分かりやすく言えば組合に就職だ」

「ええっ。神様組合に人間が就職なんて出来るの?」



冷や汗たらたらのエフェクトを使いその後にスーパー土下座をする地球神。


え?なにこれ。なんなの?


「頼む。地球存続の危機なんだ。ボクの今までの行いが遂にバレた。それで君が組合に行く事とボクの再教育で地球は存続出来ると通達が届いた」



成る程ね。なんとなくあのゲームの裏側が見えた気がする。

低確率の激レア種人なんて、そうそう当たるわけない。

景品に、推しグッズとか怪しかったし。


ゲーム参加が当たった事からして、上位の神様の仕込みって事かな。


「嫌だと言ったら?」


「地球は消されて終わり。ボクの再教育はどっちにしても変わらずある」

「マジで地球存続の危機なんだ」



母なる地球とかアニメで言われるけど、確かに地球人の故郷だもんね。どうせ私は一度死んでる。二度目の人生はまだ終わってない。この人生が神様の仕込みだとしたら、連合に就職するのもありっちゃありかな。



「連合で何が出来るか分からないけど、地球存続の危機だからね。やってみる」



「助かる。こんなボクだけど地球は大切なんだ。再教育は逃げたいけど、サボったり逃げると地球爆破するとか言われたからなぁ」


地球を人質ならぬ星質に取られた神様は、そのまま仰向けに寝っ転がる。


「あっ、サイトも常に更新してよね。ゲームとか本とか新作楽しみにしてる」

「はぁ?買い物だけじゃなく娯楽もかよ」

「何言ってるの。服とかもよ。今回も思ったけど布の手触りとかね。やっぱり地球のが良い」


私の言葉に神が笑う。


「尻拭いさせるんだからな。それも付ける。色々ありがとう」

「ううん、我が儘聞いてくれてこちらこそありがとう」



こうして私は神様組合の一員となった。これからは神の下、星の調査などの任に就く。


って、聞こえが良いように言えばそうなんだけど結局は神の駒って事だからぁー!


ガラポンで選ばれた時から仕組まれてたのか。

神様、侮り難し!


こうなったら、出向いた先で美味しいもの食べてストレス発散だー!

こうして私の人としての人生は終わり、神の駒としての生活が始まったのだった。


待ってろよ!読書やゲーム三昧にジャンクフード三昧、そして癒しの和食ちゃん!

おっと忘れちゃならないデザート祭り!


煩悩まみれの神の駒が役に立てるか分からないけど、新たな生活を頑張りますか!

読んでいただきありがとうございます。


まだ続きの構想はあるのですが、主人公を変えるかこのまま続けるかで悩んでます。

次の作品でこの世界の物語を続きを読んでいただけたらと思います。

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