#09 愛11歳の聴取
自宅でラジオを聞くのが休みの日の楽しみである。
今日も深夜に私はラジオをつけた。
「こんばんわ。『ジョーの夜更かしジャパン』始まりました』
この番組を聞き始めて約1年経つが一回も聞き逃したことがない。
いつも布団に入りながら聞いている。
「僕はコンビニのおにぎりが好きでよく買って食べるんですよ。
他の商品は買わずにおにぎり2個だけ買うことがほとんどです。
いつも同じコンビニでおにぎりを買うので店員に顔を覚えられてしまいました。
最近はそのコンビニに入るとすぐに店員が小さい袋を広げて待っているようになったんです。
いつもおにぎり2個だけ買うとは限らないからね。
雑誌を買うかも知れないからね。
他の商品が買いづらいよバカヤロー!
はい、コーナー行きます」
フリートークも面白いがコーナーのジョーさんが面白い。
「最初のコーナーは『ジョー相談所』です。
このコーナーは悩みを聞くコーナーです」
私の好きなコーナーが始まった。
このコーナーでのジョーさんの毒舌がとても心地よい。
「ラジオネーム『心が愛を欲してる』さんからいただきました。
僕は小学5年生の男子です。
好きな女の子のことで相談があります
1年くらい前に僕は転校してきてその女の子と出会いました。
初めて会った時に可愛すぎてドキドキしました。
一目惚れというやつですね。
その女の子を狙うライバルは多かったですが思い切ってラブレターを書きました。
返事はありましたが結果はダメでした。
それから諦めきれず何回も告白しましたがうまくいきませんでした。
諦めた方がいいのでしょうか。
ジョーさんの意見を聞かせてください」
小学5年生で1年くらい前に転校してきた男子がひとり思い浮かんだ。
その男子は私に何回も告白してきたので当てはまっている。
心くんに間違いない。
ラジオネームの『心が愛を欲してる』には心くんが私、愛のことを欲してるという意味もあるのだろう。
それにしても心くんがこのラジオを聞いていることに驚いた。
私に相談を聞かれているなんて心くんは思っていないだろう。
そしてジョーさんが相談に答え始めた。
「まず君に言いたいことがある。
僕の番組を小学生が聞くな。
深夜に小学生は寝てろ。
体に悪いぞ。
そして恋愛はまだ早い。
それに顔だけで好きになると良くないぞ。
性格で選べ。
普通は何回も告白してくると付き合ってもいいかなと思ってしまいがちなのだが。
ダメだってことはあなたが嫌いってことだ。
でも彼氏や好きな人がいたから断ったのかもしれない。
いないのに断られたのだとしたら、それは相当嫌いということだぞ。
本当に好きなら嫌われようが告白し続けるんだぞ。
でもストーカーは絶対ダメだぞ」
私が人を好きになれないことを心くんはまだ知らない。