#10 愛10歳の恋文
ベッドから飛び起きて遅れないように急いで支度をした。
電池がなくなった時計のように時は止まってはくれない。
瞼に重りが付いているかのような開かない目で家を出た。
学校に遅れると思ってまるでチーターのように全力で走った。
学校に着いて下駄箱を見ると手紙のようなものが入っていた。
よく見てみるとそれはラブレターだった。
ドラマのような出来事に少し驚いた。
ラブレターには次のように書いてあった。
『愛ちゃんへ
同じクラスの心です。
僕は愛ちゃんのような女の子がタイプです。
愛ちゃんの好きなところはいっぱいありすぎます。
考えると湧き水のように溢れ出てきます。
まず、卵のような顔の形が好きです。
あと、ゆで卵のようなツルツルの肌が好きです。
あと、死んだ魚のような目が好きです。
あと、富士山のように高い鼻が好きです。
あと、アヒルのような口が好きです。
あと、ゴボウのように細い脚が好きです。
あと、ネギのように細い腕が好きです。
あと、キュウリのように細い胴体が好きです。
あと、大人のような雰囲気が好きです。
他にも好きなところは星のようにいっぱいありますがこれくらいにしておきます。
どれくらい愛ちゃんが好きかというと愛ちゃんの長い髪の毛を毛糸のように編んでセーターを作って着たいくらい好きです。
僕はガラスのようにもろいけどガラスのように透き通った心を持っていますよ。
もし付き合うことが出来たら僕はマゾなのでナイフのような言葉を言ってもらいたいです。
あと、もし付き合ったら紅茶とレモンのようなふたりになっていきたいです。
愛という漢字の中に心という字があるように僕がいないと愛ちゃんではないですからね。
エロいことは出来るだけ考えないようにします。
死んでも生き返るゾンビのように僕は振られても告白し続けますからね。
でも、付き合えますようにと神様にお願いしたのできっと大丈夫だと思います。
返事を待っています』
大人が書いたようなキレイな文字だった。
難しい漢字も使っているので、きっと親に代わりに書いてもらったように思えた。
でもこの気持ち悪いラブレターの内容を親に伝えたりする人がいるだろうか。
そんな人はたぶんいないような気がする。
でも相当バカだったらやりかねない。
あと小学生へのラブレターのようなものに難しい漢字を使うのはどうかと思う。
あとラブレターを自分で書かないのもどうかと思う。
このようなことをやるのはバカしかいないだろう。
私はゴリラのようにかっこよくても人を好きにならない。
そしてネコのように優しくても人を好きにならない。
そして石油王のようにお金持ちでも好きにならない。
私は何があっても人を好きになることはないだろう。
でも心くんのような人は嫌いなわけではない。
なので返事を書くことにした。
『心くんへ
てがみありがとう。
こたえは×だよ。
すきではない。
でもきらいでもない。
かのうせいはゼロにちかい。
あいより』




