景品
「皆さま、そろそろ舞踏会もお開きの時間となったので、お帰りくださいね」
指を鳴らすと続々と人が消えていく
「ああ、4層はもうクリアしたことにするので、5層を攻略してくださいね」
私もワープさせられると思い、自分の番はいつ来るかとうずうずしていたが、結局最後の2人になってもワープさせられなかった
「2人に残ってもらったのは景品を渡そうと思いましてね」
仮面の男は胸元からキラリと輝く何かを取り出し
「さあ、2人とも手を出して」
言われたとおり私と圭太は片手を差し出すと、指をつかまれ、その何かを指にはめ込まれた
「これは特殊な指輪で、2人のある想いが重なり合ったとき、2人を永遠に結びつけることができるんですよ」
なんとも胡散臭い指輪だが、見た目は可愛らしくさりげない輝きを放っていて正直好みだ
そんな効能はあてにせず、1つのアクセサリとして大事にしようかな
「では神野圭太様はこれでお引き取り願いますね。安達あいさんはまだ少し残ってくれますか?」
「いいですよ。私もあなたとは話がしたかったので」
「じゃあ、また明日な」
「うんっ。明日ね」
つい今日の夕方まで喧嘩していたことなど忘れるくらい、楽しい楽しい思い出が私たちを満たしていた
しかしそんな楽しい時間もここまで
圭太がいなくなった瞬間、私は武闘会中にこっそり仕込んだ仕掛けを作動させ、仮面の男の周囲をバリアで囲み閉じ込めた
「急になんですか?」
「もう許さないんだからね!人のゲームを勝手に支配して邪魔ばっかりして...」
まだお説教の途中なのに、突然現れた小さな影が仮面の男の周りのバリアを破壊してしまった
「もう、だから言ったでしょ?ちゃんと注意しなきゃお姉ちゃんにやられるよって」
「ああ、悪い悪い真衣。感動しちゃっててつい油断しちゃった」
「?????」
この私のことをお姉ちゃんとか言う小さな女の子は紛れもなく真衣先輩だ
「あいちゃんちょっとだけ苦しいかもだけど我慢してね」
「か、からだが、動かないっ」
金縛りにでもあったかのように身体がビクともせず、真衣先輩は抵抗できない私の顎を抑え、口をこじ開けなぞの錠剤を飲ませてきた
必死に吐き出そうとするものの、意思に反して私の身体は簡単に受け入れてしまった
完全に飲み込んだことを確認したら真衣先輩は私の体の拘束を解除した
「ぐふっ、く、苦しい」
身体中が異物に抗うように痙攣を起こし、私の感覚を麻痺させていく
「大丈夫、あとちょっとだからね」
薬を飲ませておいて私を不安げに見つめてくる真衣先輩
だんだんと視覚も狭まり、声も遠ざかり、とうとう意識も消えていった




