スキャンダル
「かいちょーごめんなさーい」
「謝るなら俺たちにだろーが」
簡単に捕らえられてしまった私は昨日の出来事を吐かされ会長の罪が白日の下に晒されてしまった
「俺だって砂浜にお城作りたかったんだぞ?だけど我慢して攻略のために頑張ったっていうのにお前らときたら」
「確かに全て私たちが悪いです、ごめんなさい。でもそっちだって」
「ああ?」
「何でもないです。全て私たちの責任です申し訳ありませんでした」
あんなにわかりやすい会長の粋な計らいに気づかない男子たちも悪いと思うけれども今言うとやられそうな気がするから黙っておくことにした
「ほんとーにごめんなさいっ」
ロビーに着くと人気のない通路で会長が男子と2人っきりだった
勢いよく頭を下げていたのでこれは告白というやつでは?と思い自然と顔がふにゃふにゃしてしまうが、よくよく見たら告白の主は馬場先輩だった
「お、会長と馬場先輩じゃん」
「ちょっと圭太大人しくしなさい」
あの穏やかでない空間に何のためらいもなく突っ込もうとする圭太を留め2人の様子を物陰から伺う
「どうせあれだろ?お前がみんなに明日やればいいでしょー的なこと言ったんだろ?ほら、もう一回」
「これは全て私が、私1人が悪かったです...」
私の知っている告白とは程遠い光景が広がる
「もしかして昨日遊んでたのバレたんじゃない?」
「ああ、それかも」
確かにそう言われれば納得だ
みんなの憧れの的である会長があんなにもヘコヘコ頭を下げている姿は私にとって心苦しいがなんかこう謝るのが板についている気がしてならない
「2人とも、こっちこっち」
「きゃっ」
後ろから急に引っ張られて驚いてしまったが、この声の主には心当たりがある
「ま、真衣先輩?」
がんばって振り返って顔を伺おうとする私を躊躇なく引っ張り続ける
「あの2人の茶番なんか見てないでダンジョン探しに行くよ」
「えー、もうちょっと見たいんですけどー」
結局そのまま集合場所に連れて来られた
すでに坂本君と奈々さんもいてちょっと待ちくたびれた様子だ
「はあはあ、あの2人はどんな関係なんですか?」
「さすがのあいちゃんも分かっちゃうよね。言っていいかな?」
「この2人にならいいんじゃない?もう坂本君にも知られちゃったし」
「よし、じゃあ言うよ。あの2人はね、」
奈々さんの承諾がないと言えないような関係だなんて
まさか恋人同士だったり義理の兄妹だったりしちゃうのかな
「幼稚園からの幼馴染みなのよ」
「・・・はあ」
私の掻き立てまくった妄想とは全然しょぼくて驚きよりもガッカリ感がすごい
「え、そんな反応薄いの?あの2人が幼馴染みだよ?」
なぜかわからないけど幼馴染みという関係性をそこまで深刻なものと考えられない
「あの学園の憧れの的である会長と、リア充集団のサッカー部のキャプテンで去年のバレンタインに1番チョコをもらった馬場先輩が幼馴染みなんだよ?こんなことみんなが知ったら暴動が起こりかねないからね」
そう言われればたしかにこのことは学園一のビックスキャンダルになりうるだろう
「やばい、私には抱えきれないです...」
こんなこと知ってしまったら誰かに言いたくなるに決まってるじゃん
「誰かに言ったらわかってるわよね?」
奈々さんの鋭い視線が私に身の危険を感じさせる
このゲームにはPVPがないから攻撃を受けることはないんだけど、それでもあの人を怒らせたらやられると思ってしまう
「言いません、言いませんからね!」
奈々さんの殺気を鎮めようとしているとあの話題の2人が戻ってきた
「ごめんねー待たせちゃって。ちょっと馬場君と作戦会議をしててね」
みんな説教されていたことを知らないふりをしていつも通り対応する
「今日は男子チームは海を、そして女子チームはジャングルの方を探索します。文句ないよね?」
うんうん、昨日働かなかったから私たちがジャングルを押し付けられたんですね
会長の面目を保つために私たちはだれも文句を言わなかった
「よし、じゃあ早速行こっか、ジャングルに」
昨日の海と比較したらやっぱりジャングルなんて行きたくないのだが、会長のためだ
少々無理をして楽しそうな感じでジャングルへ向かった




