降伏
今日は10時に集まる予定だけど
時間を確認するとまだ余裕があったので
おろそかにしていたゲームの開発者としての務めを果たすことにした
時代の最先端を行く超ハイスペックの私にかかればシステムを管理するプログラムやプログラムを書くプログラムを作ることなど容易いので、プログラムに仕事の全てを丸投げしていただけで完全に務めを放棄していたわけではないので、そこのところ誤解しないで欲しい
やたらとプレイヤーからの要望が届いていたので見てみると弓道部からの武器に弓矢の実装を求める声がたくさんあったので何とかしなくてはいけない
正直弓矢はこういったゲームにはあまり無いし、矢の軌道などたくさん調整する必要があるのでやりたくない
「ごめん、これはまた今度で」
1人も知らない弓道部の面々を勝手に想像して勝手に謝った
システムにも何か不具合がないか調べてみると
「あれ?」
データが書き換えられている痕跡があった
「何が書き換えられてる?」
早急に調べてみる
すると
2層のボスの強さが変えられていた
ボスはめちゃくちゃ弱くなっていた
ボスを強くするならわかるんだけど、弱くするなんて
そんなことをして得する人を私は1人しか知らない
「真衣先輩...」
1人でボスを倒せたのもボスを弱くしたからなら筋が通る
でも一体どうやってこのプログラムを書き換えたのか
普通の高校生ならプログラムをいじるようなことは出来ないはず
真衣先輩について調べてみることにした
ついつい作業に没頭してしまい集合時間ギリギリに部屋を飛び出した私は階段を駆け下りていた
シャトルランの校内最短記録を塗り替えるほどのスタミナの持ち主である私は
2階降りただけで息を切らし走るのを諦め潔く歩きはじめた
すると上からとてつもなく早い足音が聞こえてくるのでこれはもしかしたらと思い待っているとやはり足音の主は圭太だった
「お、あいじゃん。あいが遅刻なんて珍しいじゃん」
「私はちょっと色々やってたら思ってたより時間が経っちゃって。圭太こそいつも朝早いのに、もしかして寝坊?」
昨日会いはしたけどろくに話す機会がなかったからかすごい久しぶりな感じがして、会えたことの喜びが増した
「おれは修行をしてた」
「え、修行?」
ついに圭太がレベル上げをするようになるなんて
思わず感動の涙がこぼれそうになる
「ああちょっと素振りを1000本やってきた。そしたらいつの間にか時間がギリギリになっちまった」
「素振り??」
言われてみればレベルは昨日から変わってない
「ちょっと筋肉ついたからこれでより強くなったはず」
まあ力のパラメータは2ほど上がってはいるけどさあ
レベル1上げれば10は上がるんですよ圭太くん
「あはは、そうだね」
「よし、明日は倍の2000本やるぞ!」
圭太には申し訳ないけどこんなにキラキラ目を輝かせているのに素振りは効率悪いなんて言えないよ
まあ圭太にレベル上げされたらゲームバランスが崩壊するからまあこのままにしておこう
「圭太は昨日何してたの?」
海に圭太たちの姿がなかったからどこで遊んでいたのか気になっていたので聞いてみると
「おれは普通に馬場先輩と坂本と一緒にボスについて調べてたけど」
何言ってんだこいつみたいな目で私を見てきたので、まさか男子たちは会長のあの言葉を真に受けていたのかという驚きの目で見返した
「え、何、おまえら調べてないの?」
「・・・」
言えない
海で青春を謳歌してたなんて
バレたら私だけじゃなく生徒会の先輩方の名誉に傷をつけることになってしまう
「しゅ、守秘義務があるからっ」
そう言い放ちすぐさま走り出して圭太から逃走を図った
ただ私は忘れていた
圭太はシャトルラン最長記録保持者だということを
「ちょっと、離してよっ」
あっけやく捕まった私は無駄な抵抗を試みるもやっぱり無駄でしかなくて
「ほら、言えば楽になるぞ」
剣道バカの強靭な握力が私の肩のツボを刺激してくる
「痛い痛い痛い痛い、ちょっ、ストッ、プ」
「ほらほら、言いましょうねー」
「わかった、言うから、言うからー」
この痛みに耐えられる自信は皆無だから
圭太が変な性癖に目覚める前に降伏することにした
Twitter ID kochasuke1
よろしければフォローしてください




