旅立つまで
やろうと決めたらすぐやろうが座右の銘である私はさっそくゲームの作成にとりかかった
今回はあくまで私と彼との関係性がより進展することが目的であり(まあ理想はけ、けっこんだけど)
ゲームの作品としての評価など二の次なので敵キャラやゲームシステムなどは他の作品をパク、ゴホゴホ、参考にさせていただいた
100層とか馬鹿みたいにワールドがでかくても時間がかかりすぎるだけなので1ヶ月で終わるように8層にした
いちいちギアとか装置とか作るのもめんどくさかったので私達の住む街の高校生のみをゲームの世界に無理やり招待し、その他の住人には1ヶ月ほど眠っててもらって社会に混乱が生じないようにしよう
毎日のように台風来る来る詐欺をして学校を休みにして友達からの誘いも泣く泣く断って作業を進めた
さすがに台風を起こしすぎたので学校も再開せざるを得なかった後も授業中や放課後に作業し続け1ヶ月
ついに完成した
私はこのゲームをAKM2と名付けた
AKM2とはあいが圭太と結ばれるものがたりの略称であり、なんか2て付けとけばそれっぽく見えるかなーと思い付けてみた
ではさっそくゲームの参加者以外の意識をこの電脳世界から追い出してゲームに書き換えてみた
「あ、起きた?」
「あれここは......どこだ?おれ何してたんだっけ」
寝ぼけてる圭太も可愛いななんて思いこれから1ヶ月は見れるかもしれないと思うとやばい、なぜかよだれが
「ほら昨日ゲームに入って出られなくなっちゃったんだよ」
「あ、そうだったっけ?そうかそうか」
彼はなんとなく理解しているようだけどちゃんとゲームに入って出られなくなったという設定は参加者全員に植えつけてあるのでこの状況に疑問を感じることはない
「じゃあさっそく行こっか、私たちの手でこのゲームをクリアしよっ」
あの作品でも最初とか主人公と嫁の2人で冒険してたし私たちもそうしようと思ったんだけど
「いやー、他のみんなに任せようよ。おれより強い人いっぱいいるでしょ」
「え、、、いやいやいやお前がこの物語の主役なんだから冒険してくれなきゃ始まらないでしょ」
「ん?なんのこと?」
「いやなんでもないっ」
もう今日明日くらいには一層突破しちゃう予定だったんだけどまさかの出発すらできていないというね
ここまであいつが他人に依存するようなやつだったなんて
じゃあもっと私に依存しろっ
私たち2人が倒すことになるように敵のレベルはちょい高めにしておいたんだけど今日1日レベル上げ頑張れば倒せなくはない程度なので
はやくしないと倒されちゃうおそれが
「ほら圭太剣道やってるんだから強いはずだって」
もし弱くても私がクソ強い装備あげるし
「いや剣道とゲームは別物じゃん」
ああ、彼は主人公というのに向いてないのかな
意地でも戦いに行く気はないらしいのかあくびまでしてやがる
「お、やっぱり圭太もいたか」
私たちを見て声をかけてきたのはよく圭太とつるんでいる坂本君ではないか
彼は実はすでにこのお話に登場していて購買に行こうと圭太を誘ってくる鬱陶しい人だ
ちなみに彼も圭太と同じ剣道部だ
いつもヘラヘラしている彼が今は珍しく動揺しているのか緊張が伝わってくる
「どうした深刻そうな顔して」
「いやさっき3年生の人たちがボスに挑んだんだけど全滅しちまったんだよ、しかもそん中に部長もいたんだよ」
「マジか、でも別にゲームオーバーくらいどうってことないだろ」
「何言ってんだよ、こういうのはゲームオーバーしたら死ぬもんだろふつう」
「そんな...部長のくせに部で1番弱いけど、おれらのことをよく面倒見てくれて、ラーメンとか肉まんとかアイスとか奢ってくれて、人間としては1番すごかったあの部長が死ぬなんて...」
なんかあんまり部長を褒めているようには聞こえないけど
(むしろ軽くディスってる?)
彼がいかに部長のことが好きだったのか
彼の怒り具合から手に取るようにわかる
思わず嫉妬してしまいそうだ
「よしいくぞ、坂本、部長の敵討ちに』
「おれたちでやってやるか」
「あ、私も行くからね」
さっきまでの他力本願くそやろうとは思えない気迫あふれる姿に
私の心臓に相当する部分がなぜかざわめいている
そんな気がした




