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彼の姉妹事情

 それから入学式の間までの期間は、あっと言う間だった。メイドの基礎は執事をやっていたこともありすぐだったが、女の子の真似をするのが大変だった。だがそれも家のメイドさん達に、ニヤニヤしながらも教えてもらい、入学式前日には。


「これなら、お風呂で会ってもばれないね!」


とまで太鼓判をもらうことができた。いやお風呂で会うってどんな状況ですか。後お風呂で会ったら作法も何もなくバレると思うのですが。


「だね。秋人君はかわいいからね。タオルでも巻いてウィッグだけ被れば絶対ばれないよ」


「いや、それほんと今日までの特訓関係ないですよね」


それに対してメイドさん達はふふふと笑いながら肩をたたいてきた。


「まあそれくらいバレる心配は少ないと思うよって事だよ。お嬢様のことよろしくね。あと秋人君も学園生活楽しんでくるんだよ」


 春菜様のことはご当主様にも頼まれたことだし、まあ僕もなんだかんだで長い付き合いだ。3年間支え続けることに嫌はない。だが学園生活を楽しめるかどうかには、ハイと返事をすることはできなかった。学園生活を楽しむということは、女性として楽しむということだ。僕は男なんだ。それができるとは思えない。まあでも、春菜様と一緒に学校へ通うというのは初めてのことだ。


 確かにチョットひどいところはあるが、それでも良いところだっていっぱいある。それに、僕が生きてきて一緒に過ごしてきた時間は多分両親以上だ。そんな彼女に愛着がわかない訳はない。きっと妹みたいな気持ちなんだろう。僕は1人っ子だったから、妹というものを知らないが、友人の話を聞く限り、あんな感じみたいだし。そう思うと少し微笑ましくなった。


「いやーでも2人で学校通えるからって学校でエッチなことはしちゃダメだよ」


妹みたいだと思った瞬間にそれはないよ……


「ん? どうしたのそんな変な顔をして可愛いけど。もしかしてエッチなことする気満々だったの」


ちょっと盛り上がりワクワクしながら聞いてくるメイドさん達には悪いけど僕にその気は全く無い。


「違いますよ。今丁度春菜様は妹みたいだなと思ったところだったので残念な気分になってしまっただけです。それに妹ではありませんけど僕は彼女の執事ですから……まあこれから3年間はメイド兼業ですけど。それは向こうもわかってますし、そんなエッチなんてそれこそ恋愛だってありえませんよ」


 メイドさん達は僕の言葉を聞くにつれてテンションを落として行った。最後には少し哀れんだ目で僕を見てきた。なぜだ


「まあ向こうも自分を兄のようにおもってくれてたら嬉しいなとは思いますが(まあ無いだろうけど)。あと学園生活は女性として生活しなければいけないと考えると多分あまり楽しむことはできないと思います。」


「まあ、うん。お嬢様には頑張っていただくとして、きっと学園生活は楽しい物になるはずだと思うよ。男性だとか女性だとかそんなものは関係ないの。学生っていうのは性別を超越した楽しさがあるものだと私は思ってる。だから今から無理だーって諦めるんじゃなくて、3年後卒業するときにあー楽しかった! って言って卒業できるよう目指してほしいな」


 メイドさんは僕のことを息子を見るような目で諭してくれた。確かにそうだ今から無理だ楽しくないって思いながら学園に通うのと、楽しそうだ楽しもうと思い学園に通うのでは見えている世界は全く違うだろう。春菜様はこの3年間輝いた素敵な学園生活をおくるだろう。それなら僕も一緒に輝いた生活を遅れるように努力をしてみようと思った。


「確かにそうですね! 今から後ろ向きになる必要はありませんでした。僕も楽しかったと言って卒業できるように頑張ります!」


それに満足したのかメイドさん達は満足気な笑みを浮かべた。


「いやーそれにしても、お嬢様が妹かー。確かに生まれた時から一緒だし、いつも秋人くんと一緒にいるし、そう見ると仲の良い姉妹のように見えるね。お姉さまお姉さまッて感じ」


 兄です兄妹です。まあそれに仲がいいのは表面上でどちらかと言うと実際は兄にプリンをたかるような兄妹なのだが。まあ言わないでおこう。


「そうですね。生まれた時から一緒ですからね、自分で言っておいてなんですが本当に兄妹みたいなもので「あら、面白い会話をしているのですね。私と秋人くんが兄妹ですか。それも良いかもしれませんね。それでは秋人お兄さま少しお話があるのでお部屋に来ていただけますか?」


 いつから聞いていたのだろうか全然気づかなかった。そして良いかもしれませんねなどとは言っているが、その目は雄弁に語っていた。


「あなたと兄妹などありえません」


そしてわが妹様が少し怒っているのを察したのか、メイドさんたちも。


「私これから仕事あるからじゃあね。ではお嬢様失礼します」


と散りぢりに逃げていってしまった。


「では、秋人お兄さまいえ秋人お姉さま行きましょうか妹の部屋まで」


「はい……」


 その後私は貴方の妹ではないとめちゃくちゃ怒られた。そこまで言わなくてもいいのに……

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