003★送られた先は、奇妙な既視感を感じる場所でした
作者は豆腐メンタルなので、石は投げないでやってください。
設定はユルユルガバガハなので、突っ込みはしないで下さい。
感想は受け付けていません。(すぐにへこたれて書けなくなるのでゴメンナサイ)
主人公は、かなりマイペースです。
生活環境が最悪だったため、この世界の常識はほとんどありません。
本当に、言い訳も何もあったモノではなかった。
どこをどう見ても、ただただ一方的な婚約破棄の宣言。
その宣言と同時に、なんの法的な手続きもなく、身分の剥奪をされました。
挙句が、美少年のコリウスによる【深封転移】ですか。
【深封転移】とは【強制転移】で、罪人を地下迷宮送りする時に使う魔法ですね。
ルドルフ皇太子から断罪を言い渡され直後に、騎士団長の息子に思い切り突き飛ばされ、私は光る魔法陣に包まれた。
それが、未来の宮廷魔術師長と呼ばれる、美少年のコリウスが展開した、一方通行の【強制転移】の魔法陣だとすぐに認識しました。
が、残念なことに騎士団長の息子に激しく突き飛ばされた衝撃で、私は思うように動くことができなかったので、そのまま【強制転移】の状態へと突入していました。
言いたいことは、もの凄くいっぱいあったんですけどねぇ………。
だいたい、私はイジメなんてしておりませんもの………。
いや、それよりも、ルドルフ様は、この私が恋愛的な意味で、ご自分を慕っていると本気で思っていたんですね。
ないわぁ~……いや、本当にないわぁ………あそこまでお馬鹿だと………。
自尊心は限りなく高く、何時でも上から目線でやりたい放題。
王妃様に甘やかされているから、陛下の叱責ですら馬耳東風ですものね。
じゃなくて、私にそんなイジメなどする時間的な余裕などありませんでしたけどねぇ。
ルドルフ皇太子は何時でもああですから、皇太子としてのお勉強も捗らず………。
その分を埋め合わせるために、私は未来の皇太子妃としての教育時間でプライベートな時間など、ほぼ存在していませんでしたのに。
魔力なんてほんの微かにしかないのに、魔法の勉強なんてモノもありましたし。
本来なら、一緒に学ぶはずの政治経済から帝王学まで………。
本当に、あの見た目だけのお馬鹿皇太子の尻拭いをさせる前提の皇太子妃教育でしたわね。
だいたい、この婚約自体が、皇帝陛下と私の父が決めたことで、私達の意志には関係ないモノですし………。
大事なことなので、何度でも言いますが、私にルドルフ皇太子への恋情はありません。
皇家への建前もあるので、一応はルドルフ様を慕っている風には装っておりましたけどねぇ………はぁ~………。
今考えると、あの3点セットに込められた呪力?でも、ルドルフ様の駄目駄目ぶりにげんなりしていた私に、恋愛感情を錯覚させる効力は無かったようですわね。
こうして考えると、かなり強力な呪術が仕込まれていたようですけれど、嫌悪感の前にはそんな錯覚など無意味ということですわね。
意識が明確になったので、ルドルフ様には言いたいこといっぱいあったんですけどねぇ………。
本当に、はぁ~……とても残念ですわね………。
もちろん、あのマリエ嬢の取り巻きとかにだって………。
その他モロモロ、今まで鬱憤を晴らす機会を与えられることも無く、私はどこぞの地下迷宮へと送られる、転移の魔法が発動されていることを肌身で感じていた。
とは言え、本当に…一向に、その終着点へと到着しないんですけど………どうなっていますの?
いったい何処の地下迷宮へと送ったのでしょうか?
全身に纏わり付く魔法力と、くすんだ私の灰色の髪よりもなお澱んだような空間に、眩暈と吐き気を覚える。
本当に、いやに長いですわね。
幾ら地下迷宮への【深封転移】でも、この時間の間隔は長すぎではありませんか?
未来の宮廷魔術師長様は、私をいったい何処の地下迷宮へと送って下さったのかしらねぇ………。
なんとも予想が付きませんが、かなり遠い場所にある地下迷宮でしょうね。
でも、ある意味では、これで死ぬとしても、あの絶望的な脳内お花畑のルドルフ皇太子とのおぞましい婚姻なんてモノは消滅したのですから良しとしましょう。
あんなモノに抱かれて、後継者を生まなければならないなんておぞましい未来は消えたのですから………ある意味では救いですわね。
今までは、嫌悪感すらあるルドルフ皇太子と、カイドール辺境伯爵家の長女として誕生した運命と思い、それが義務であると諦められていたのが、嘘のようなこの明確な拒絶感。
ふふふふ………あの3点セットに込められた呪力が強力なモノだったと実感するわね。
外してくれてありがとうだわ、本当に………。
とはいえ………ぅん?
ああ、どうやらやっと到着したようですわね。
視界を埋め尽くしていた澱んだ灰色の空間が何時の間にか消えて、薄暗い場所へと出ていた。
突き飛ばされた状態だったので、床についていた両膝と両手にしっかりとした硬い感触を感じて、私はホッとしていた。
流石に、確たるモノの無い転移中の亜空間から開放されたコトで、冷たい床にぺったりと座り込んでいることに気付く。
はてさて、いったいどの地下迷宮に送られたのかしら?
あの言い方ですと、助け手となる冒険者が入り込むような、普通の地下迷宮ではなさそうですわね。
そうなると、地下迷宮という単語で思い浮かぶのは………。
我がカイドール辺境伯爵家が防衛する、北側の前人未踏の地下迷宮あたりでしょうかねぇ………。
そう言えば、あの未来の魔術師長と噂される美少年のコリウス君は、魔術師の塔に出入りしていたわね。
魔術師の塔には、この南部ランバンセイ大陸の中央を支配する、ハイオシス帝国の成り立ちから、皇家の始祖が地下迷宮に封印したという邪悪なモノや、特殊な魔術書などが大量に存在すると聞いたことがあったわ。
「うぅ~ん……もしかしなくても…かなぁ~り不味いわねぇ~………もし、本当に…その中のどれかの地下迷宮に送られたなら………本気で即死に一直線な場所ですもの………」
そう無意識に呟きながら、私はヨロヨロと立ち上がる。
私は自分がいる場所を確認する為に、ゆっくりと見回した。
何だろう? この空間に妙な既視感を感じるんですけど………。
あっ…また…変な感覚と言葉が浮かぶ………。
いや、今はそれどころじゃないわね。




