エピソード8:作者曰くこいつのコンセプトは「例えるなら『エルシャダイ』のアルマロスに近い、同情できるかどうかで意見が割れる微妙なラインのキャラ」だそうです。意味が分かりません。
場面は前回から引き続き繁華街の一角。
『『『バック除去だっ、この《仕込みマシンガン》があっ!』』』
怒り狂ったデュエルバーサーカーは踏み込みと羽搏きで一気に加速!
『『『疾風の如く素早いこの拳を喰らえーっっ!』』』
まさに低気圧が如き殴打!
だがユウトはそれを敢えて避けず、
適当な部分の装甲で
――あたかも、出遅れて避け損なったみてえに――受ける!
『ふぅん』
『『『なあっ!?』』』
デュエルバーサーカーの右拳は狙い通りユウトに直撃する……が!
ギルタブリルモードの頑丈な装甲にはキズ一つすらついちゃいねえ!
『な、なんだこれっ!?』
『んなバカなっ!』
『遠距離攻撃使いなんざ、
大体装甲は脆いモンじゃ――ぶごわああっ!?』』』
先入観に拠るまさかの展開に面食らうデュエルバーサーカーだったが、
直後前面の装甲から繰り出された機銃での一斉射撃をモロに喰らっちまう!
『『『ぐへええっ!?』』』
『《仕込みマシンガン》とは中々の比喩だったが……
この紫色はどっちかっつーと融合モンスターじゃねえか?』
知らん奴らの為に解説すると、
遊戯王OCGには"モンスター"や"魔法"、"罠"といったカードタイプがあり、
それぞれの種類が分かりやすいようカードの枠の色が違う。
"罠"カードは確かに紫色だがより厳密には赤紫色で、
対して"融合モンスター"の枠はより赤色を控えたオーソドックスな紫色なんだ。
『丁度サソリ型モンスターには《聖神獣セルケト》もいるんだしよ……。
ま、現代遊戯王を忌み嫌い古いカードに固執するお前からしたら
サソリ型モンスターなんざ《聖獣セルケト》ぐらいしか思い浮かばねぇのかもしれんが……』
『ぐう……ふざ、けんな……!』
『サソリ型のモンスターなら、他にも知ってんだよっ!』
『《八つ手サソリ》に、《ツンドラの大蠍》!』
『《デス・ストーカー》に《デビルスコーピオン》!
《ナイトメア・スコーピオン》や《ニードルバンカー》!』
『《捕食植物オフリス・スコーピオ》に
ターミナルのリシドがセルケト代わりに使った《ミレニアム・スコーピオン》!』
『あと《EMカレイドスコーピオン》やら
《デュアル・スコーピオン》もサソリだろうがっっ!
ナメんじゃ――ぐばあっ!?』』』
最早読者を置き去りにせんばかりの勢いで、
それも絶妙に古いカードの名を次々挙げるデュエルバーサーカー。
喚き散らすヤツの顔面三つに、ユウトの銃撃が炸裂する!
『《デュアル・スコーピオン》は戦士族、
サソリっぽい鎧を着こそすれガッツリ人間型だバカタレ』
『『『ぐう、があっ……!
だ、だとしても、くろッ――ぶべあらっ!?』』』
言い返そうとしたデュエルバーサーカー。
だがヤツの顔面に再び銃弾がブチ込まれる!
『……「黒蠍の名を挙げなかっただけ褒めろ」ってか?
甘えんじゃねェよ。今やってんのは遊戯王OCGクイズじゃねえぞ。
仮に遊戯王OCGクイズだとして不正解は不正解だろうが。
つーか微妙に古いカードの名前ばっか挙げやがって。
そんなに現代遊戯王が嫌いか?』
『何を、今更……!』
『当たり前だろうがっ……!』
『俺は、現代遊戯王を許さ――ぶべあらああっ!?』』』
またしても叩き込まれたのは弾丸だ。
しかも今度は擲弾だってんだからいよいよタチが悪い。
『……まあ、そりゃな。
アニメの主役やその切り札が好きだっつーのはよくあるこった。
現代遊戯王のインフレが不愉快だ許せねえだもよくわかる。
ただ"あの頃"みてぇに切り札並べて殴り合いてえだけなのに、
サーチやリクルートをしようもんならすぐに誘発で止められて、
相手にターンを渡せば延々ゴチャゴチャやってて理解が追い付かねえ。
強いデッキを作ろうにもパックからは必要なカードが出ず、
強いデッキの必須パーツはシングルもアホみてえに高騰しやがるし、
制限改定で一気に弱体化したら元も子もねえ。
何より年が経つごとに対戦相手とて減っていく。
そりゃあ、考えようによっちゃ地獄だろう。
俺も遊戯王OCGは中学から始めて色んなデッキを組んだ。
そういう事情は理解できるよ。
ま、今はマスターデュエル一本でOCGには殆ど手を出してないがね……』
『だ、だったらっ……!』
『俺の気持ちが分かるってんなら……!』
『何故俺を止める!? ヒーロー!』
『お前もまた決闘者なら!』
『今のこの遊戯王を取り巻く環境が!』
『不健全だとは思わねえのか!?』
『和希神の遺志を継がず、金の為に暴走を続けるコンマイに!』
『正義の鉄槌が下るべきだと、お前だって思ってるハズだろう!?』
『なのにそれでも俺を殺すのか!? ヴィランだからか!?
令和神殿騎士団の、ヴィランだから――カッバラアアアッ!?』』』
……如何にも"いい話"っぽい流れなのに叩き込まれる擲弾。
まあこいつは言葉を遮った所で止まるタイプじゃねえし、
このくらいが妥当な対応と言えばそうなんだが……
『寝言ぬかしやがるじゃねえか。
なんだ、《究極竜》じゃなくて《泥睡魔獣》だったのか?
《泥睡魔獣》なら《泥睡魔獣》よろしく、
大人しく自壊するか、
さもなきゃ禁止送りんでもなって
永遠の眠りに就いときゃいいものを……』
これまた訳わからねえだろうから解説すると、
遊戯王に《No.41 泥睡魔獣バグースカ》ってのが居てな。
概ねほっとくと時間経過で自分自身を破壊しちまうんだが、
その分ゲームバランス崩壊級の強力な妨害効果を持ち合わせてるんだ。
お陰で今や公式から直々にデッキへの投入を禁止されている。
そして遊戯王OCGでモンスターの禁止指定は
公式からして"投獄"ってニュアンスで描かれがち……
故に"獄中で死ね"となる。
『『『ぬ、ぬかせっ! 俺は――ばあっ!?』』』
『つかよぉ~、現代遊戯王が嫌いなら嫌いで、
それでも選択肢ぐらい幾らでもあったんじゃねえのか?
別の趣味見付けろとか酷なこたァ言わねェにしてもよ、
インフレの恩恵はアニメや漫画で主役張ったデッキも受けてんだ。
アニメ好きならそーゆーデッキ組みゃいいじゃねえか』
『『『なにを! そんなもん買ったら、それこそコンマイの――ぶげびっ!?』』』
『何ならライト層を取り込むってコンセプトで公式が展開してる
「ラッシュデュエル」とか「デュエルリンクス」もあるじゃねえか。
もしOCGがイイってんなら"ゲートボール"がある。
要するに特定年代のルールとカードプールで試合するって形式だが……
店舗大会でもマスターデュエルの部屋でも、
探せばその手のは幾らでもある』
『『『……だ、だとしてもっ――ぼぎょべっ!?』
『時間跳躍なんて手間のかかる真似しなくたってな、
疑似的に"あの頃"へ戻った気になる方法は幾らでもあるんだよ。
それをせず、現代遊戯王が許せねえからと、
コナミデジタルエンタテイメントの社屋にカチコミなんぞかけやがって……
そこまでンなっちまったらよ、
遊戯王どうこう抜きに救命・防衛・治安維持の観点からして、
"対処"すんのが道理ってモンだろうよ、なあ?』
[葬儀開催♥ 散骨-ローエンドプラン♥]
ユウトがドライバーを操作すりゃ、左腕の肘から先が機銃に姿を変える。
『ひっ! ひいいっ!』
『な、なんだ、そりゃあっ!』
『お、おい! 止せよ、そんなっ!』
この時代じゃそう珍しくもねえ形だってのに、
左腕の機銃を見たデュエルバーサーカーは何故か、
この上なく恐ろしいモンを見ちまったかのように怯えだす。
『わ、わかったっ! 俺が悪かった!』
『俺が悪かった! お前の言う通りだ!』
『もう降参だ降参っ! 俺が間違ってた!』
『だから頼む!』
『頼む、後生だぁ!』
『引っ込めてくれっ!』
『『『その鉄砲を~っ!』』』
何とも情けない命乞いとしか言いようがねえが……
まあ所詮、如何に怪人を名乗ろうと、
どれほど人間離れした身体になろうと、
心がただの民間人のままなんだから、
こうなるのがある種の必然ですらあった。
『反省すんのが遅ェんだよ。
そんな下手な命乞いで弾丸が止まるかボケぇ』
[フューネラル・ストライク♥]
容赦なく射出された弾丸は、
そのまま一目散にデュエルバーサーカーへ向かっていく。
心身ともに追い詰められた"一般人"に過ぎねえヤツに、
それを避けたり防御する余裕などあるワケもなく……
『『『い゛わ゛あ゛っ゛く゛!?』』』
弾丸はあっさり直撃……戦闘は呆気なく決着したんだ。




