シリーズ化記念 番外編
カダール王国シリーズとしてシリーズ化しようと第二弾(アンバート家長男エルフィング編)を執筆開始しました。明日、朝より一日一投目標で投稿予定です。宜しくお願いします。
此方は記念の番外編です。
結婚後、双子妊娠中な二人。
パラパラとページを捲る。
その度にワクワクしたり、悲しくなったり、笑ったり、沢山の感情が湧き上がる。
「あ~、続きが気になる!!」
「マリー、もう読んだのか?」
「うん!リラの漫画は相変わ出らず面白いな~」
「具合は悪く無いか?」
「うん、今日は全然大丈夫だよ~そろそろ安定期かな?」
「楽しみだな」
「そうだね、健康に生まれておいで~」
私はお腹を優しく撫でながら語り掛ける。
随分と周りの人達も環境が変わりだして、ここに来た事が昨日の様なのだが月日を感じてしまう。
リラは、最近カレンと結ばれて仕事もプライベートも絶好調の様だ。
漫画の知識を広める為の教室を開き、漫画家のたまごを育成中である。
その内沢山の漫画を読む事が出来そうで、とても嬉しい。
カレンは現在お仕事をしながらアンズ様との友情を築いている。
此方にも良く来てくれて、最近は彼処にも遊びに行く事が増えた。
エディはといえば、気侭に旅に出てしまった。
「ちょっと世界一周してくるわ!」と言い残し、偶によく分からない代物を贈ってくる。
そんな所も彼らしくて微笑ましい。
アレンは気を使ってか外出が増えたが、伝えてくれる様になったし最高位精霊として何だか色々忙しそうだ。
ゲイルは教師の仕事も安定してきて、相変わらず大人気の様だが愛妻家過ぎて温かく見守られているという。
うん、何も間違って無い。
しっかりと愛妻家だ。
今も後ろから抱き締められて座っていますよ。
もうね、好みの顔が常に傍にいる訳ですよ。
外面だけは平然を保てる様になりました。そんな私を褒めて。
余談ですが部屋は別のまま、寝室は一緒になりました。お陰様です、察して下さい。
私はというと、念願のお店を持つ事が出来た。
人も雇いだして、私も技術を後世に伝える為に奔走している。
侍女見習いの方の研修を受けたりして、沢山の人と関わる事はとてもやり甲斐が有って楽しい。
今は妊娠中なので、書類仕事だけを担当していて信頼出来る従業員やラン様にお願いしている。
「ねぇ、ゲイル」
「なんだ?」
「幸せ?」
「あぁ」
「私もとっても幸せ。私ね、思ったんだ」
「ん?」
「幸せを『幸せ』だって思える事が幸せなんだなって。
ん~、言ってる事分かる?」
「もう少しって所かな」
「人はね、それぞれ感じ方が違うじゃない?」
「うん」
「自分にとっては何でもない事でも、見方を変えればそれは『幸せ』な事だったりする。不思議だよね」
「あ~、成程」
「ゲイルは幸せになって欲しい人とか居る?」
「そうだな…………。兄上達かな」
「お兄様達?」
「あぁ、特にエルフィング兄上。
師匠は自分でどうにかするだろうし、カレンにはリラが居るからな。
兄上達は顔が良いし、出世頭だ。加えて独身だから女性陣達の圧が凄い。
エルフィング兄上は婚約者も居ないからそれはもう酷い、と前にボヤいてた」
「イケメン故の悩みだね」
「イケメン?」
「イケてるメンズ!容姿の良い男性の事!
そっか~。エルフィング様と結婚したら侯爵夫人だもんね~、みんな必死なんだろうね。見た事無いけど」
「俺は少しだけ見た事が有るのだが…、本当に怖かった」
「え、そんなに?」
「あぁ、マグオット兄上の方がそういう対処は上手というのもある。器用な方だ。
エルフィング兄上は侯爵だから狙ってくる層の本気度が違う、というのが大きい」
「あちゃ~……それは、是非、早急に幸せになって頂きたいね」
「だろう?」
「うんうん」
私は、皆の幸せを願いつつ…
そんなエルフィング様が幸せになれば良いな、とこっそり女神様にお願いした。