とんだ大騒ぎなんだが???
ギルドのテーブルでメルバ達を待つ。その間、ガイバー達は飲み物を奢ってくれた。申し訳ないなと言ったらこれから陛下の恩恵をいくらでも受ける事になるからと言っていた。そうなの?
「そうですよ。国王が即位したら国王発のクエストが来ますので。」
「国王発のクエストは人気爆発ですよ。」
「ふーん。そんなに報酬が良いんだ。」
「いえ、報酬は普通です。ですが昇級に良いクエストなんです。」
「運よく国王発のクエストを三つ受けられたらそれだけでランクが上がるしね。」
なるほど。報酬が良いんじゃなくて昇級しやすいクエストなのか。箔が付くというものか。
「ねぇ冒険者のランクってどんなのなの?」
「下からカッパー、ブロンズ、シルバー、ゴールド、オニキス、プラチナ、アダマン、ダイヤとあるんですよ。」
「高ランクになるほど受けられる依頼は難しいものになりますが報酬もいいですし、何より名誉が伴います。」
「名誉があるとどうなるの?」
「直接指名依頼が来やすくなるんです。」
「基本的にクエストは早いもの勝ちの取り合いです。それに魔界では冒険者じゃなくとも実力者がいて、魔獣退治くらいなら自分でやるという魔族も多い。」
「だからクエスト自体はそんな多くなくて・・・」
「そうなんだ。」
冒険者ギルドはよく成り立ってるな。というか冒険者ってそれで稼げてるんだろうか。
「まぁ人数が必要な商隊護衛とかそういうクエストは多いですね。」
「基本それで稼ぎます。」
「なるほど。」
「というかマックス戻って来ないなー。」
「どこまで行ったんだろ。」
「さっきギルドマスターも陛下見つけただろうしねー」
「報告しちゃうか。」
「だな。」
ガイバーがカウンターに行き、陛下見つけてましたと報告している。カウンターの受付魔族ははーいとこちらを見て奥に行った。
「これでよし。やったぜ金貨2枚。」
「運が良かったねー」
「今日の晩御飯豪華にしない?」
「いいねー」
ガイバー達がやいのやいのと話し込んでいるの聞きながら飲み物を飲む。この・・・カルピスみたいな・・・謎の飲料。なにこれ。いや美味しいけども。
「ただいまー」
「あ、おかえりマックス。」
「見つかった?」
「うん。連れてきたよ。」
帰ってきたマックスの後ろを見ると何故かボロボロの護衛の悪魔メイドの1人。
「へ、陛下・・・!よくご無事で・・・!!」
「ああ、うん。助けてもらったからね。」
「そうでしたか・・・!私、メルバ様に伝えて参りますので!」
「よろしく。」
「いってきまーす!」
悪魔メイドがぴゅーんと飛び出して行くとちょっとずつギルドに人が戻ってきた。どうやら俺が見つかったと回り始めたようだ。
「陛下、飲み物おかわり頼みます?」
「金貨2枚もらえるからおやつも頼みましょうよ。」
「じゃあそうしよう。」
キスマイがカウンターに行って注文。すぐにまたカルピスみたいな飲み物と、ハムと炒り卵が挟んであるパンが出てきた。
「食べよー」
「わーい。」
みんなで食べた。そしてこのカルピスみたいな飲み物の話を聞いた。
「これって何ていう飲み物なの?」
「ああこれですか。これは救済水です。」
「せいゔうぉーたー?」
「えーっと800年程前かな・・・ベヒモス川の上流にある鉱山で採掘し過ぎて・・・鉱毒が川に流れた事があったんですよ。」
「へー」
「致命的な毒では無いんですが飲み続けるとお腹を壊す。そういう鉱毒で、王都はベヒモス川の水を生活用水として使ってたから、魔法で浄化して使ったんです。掃除洗濯は良いんですけど飲み水にすると魔法で浄化した水はゲキマズ。なので魔法で浄化した水は即静乳蔓という植物の汁を入れて味を整えたんです。それが救済水。」
「ふーん・・・」
「救済水は沸騰させた水より安いからどんどん広まったんですよ。それが今でも残っているんです。」
「そうなんだ。」
「陛下!!」
「あ、メルバ。」
メルバ達が到着した。みんなちょっと慌て過ぎ。
「大変・・・!!大変申し訳ございません陛下・・・!!見失ってしまうなど・・・!!」
「まぁあの人混みじゃ仕方ないよ。メルバ達は怪我してない?」
「はい・・・私達は大丈夫です。」
「そう。良かった。」
「貴方達も。陛下を保護してくれてありがとう。」
「いやー私達は無視した方が怖いからやっただけだよ。」
「陛下とお話し出来て良かったです。」
「私も。」
「珍しい経験だった。儲けたし。」
「では陛下、ギルドの説明は・・・」
「大雑把には彼女達にしてもらったからいいかな。」
「そうですか。では陛下、城に戻りましょう。」
「わかった。」
またねとガイバー達に挨拶してギルドを後にする。今日は楽しかったな。街の様子も少しだけど知れたし。
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城に戻ってきた。今日はもう仕事は無いとの事なので本を読む事にした。なかなか読める様になってきたぞ。
「・・・。」
「陛下、お茶をお持ちしました。」
「ああ、ありがとうメルバ。」
そして本を読んでいて・・・少し気になった事がある。本の中にファミリーネームを持つ魔族がいたのだ。今の所ファミリーネームを持つ魔族は見たことない。名前は単一。家族や親族は家紋というか紋章を持ってアピールする。
「ねぇ。メルバ。」
「なんでしょう。」
「この本にさ。ファミリーネームを持つ魔族がいるんだけど・・・今はいないのかな?」
「ファミリーネームですか・・・」
うーんとメルバは唸る。いない・・・のかな?
「今現在、ファミリーネームを持つ魔族というのは・・・存在しないと思います。」
「そうなんだ。」
「そもそもファミリーネームというのはお腹を痛めて産んだ子と見分ける為の物なのです。基本的に私達は人間や他の生物を調達し、血の盟約で増えるので。」
「血の盟約?」
「はい。己の血を分け与え、魔族にする儀式です。」
「そんなのがあるんだ・・・」
「他の方法だと、魔界以外の場所で魔法を極めたり、強い魔力に晒される事によって魔族化した者を呼び寄せる等もあります。」
「へー。」
「それに魔界には雄はいませんなのでお腹を痛めて子を産むと言うこと自体無いんです。」
「でも、この物語にはファミリーネームがあるってことは・・・」
「ちょっと拝見します・・・この物語は創作ですので作者が珍しがってつけた可能性がありますね。」
「そっか・・・」
「ですが。今は違います。」
「へ?」
「今は陛下がいますので。」
「つまり?」
「ここ13代程は陛下は全て女王でした。ここにきて男の陛下・・・子を成す事が出来ます。」
「・・・ええ。」
「まぁ例え子を成したとしても国王は召喚で選ばれる為王位継承権は無いのですが・・・皇族になりますね。ファミリーネームが付きます。すると・・・私が生まれるよりずっと前、およそ7万年前から途絶えていたファミリーネームが復活しますね。」
「な、7万年!?」
「はいおおよそ魔族の寿命は8000年から1万年なので。」
「桁が違うや・・・」
「陛下は子を成したいですか・・・?」
「え?うーん・・・」
「・・・。」
「その時にならないとわからないかも。」
「そうですか。」
「でも、結婚して子供を作るってなったら・・・」
「そう・・・ですね・・・何分自分の子供の世話をした事がある魔族は存在しないと言っていいでしょう、何もかも手探りになるかと・・・」
「それはちょっと危ないかもね・・・」
「ですね。」
「まぁ子供はまぁ置いておこうか。」
「はい。」
「七万年前には魔族の男は存在していたの?」
「文献では男の魔族が少数いたという記述があります。」
「どんな生活してたか想像出来ないな・・・魔界の大半は女でしょ?追われてたり・・・」
「そうですね。主に種馬と呼べる扱いであることは想像に難くないです。」
「そうか・・・」
「魔族としての強さは血の盟約や魔力変化よりも圧倒的にお腹に宿した方が強いです。過去、産まれた子は当時の陛下により覇王を名乗る事を許されたという文献があります。」
「そうなんだ。」
「はい。私は血の盟約でしたが・・・」
「え?!じゃあメルバ・・・元人間なの!?」
「そうです。お話ししていませんでしたっけ?」
「聞いてなかった。」
「申し訳ありません・・・お聞かせするような内容では無いと思いまして・・・」
「ま、まぁ・・・いいよ。人間の頃はどうだった?」
「あまり覚えていませんが・・・槍を握って、少年兵でしたね。」
「少年兵か・・・」
「もう3000年以上前の事なので・・・全然覚えてませんね・・・」
「そっか。」
「でも、あの時血の盟約を受け入れなければ、こうして陛下とお会いする事もできませんでした。なので受け入れたことは良かったと思います。」
「それなら良かったよ。」
「ふふ、はい。」
魔族も長い時を生きるだけあっていろいろあるな・・・俺、寿命伸びるって言ってたけど魔族みたいに何千年も生きることになるのかな。謎は深まるばかりだ。




