表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サウナ最高かよ  作者: saunaman37315


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/2

二十六日の聖域

月曜日の夜。本来なら、一週間の始まりを告げる静かな儀式になるはずだった。


月曜日のサウナ。略して「ゲチャウナ」——。そう自分に言い聞かせ、逃げるようにホームサウナの暖簾をくぐった私は、その光景に立ち尽くした。


今日は26日。「風呂の日」。


脱衣所から溢れ出す熱気と、どこか浮ついた喧騒。浴場に足を踏み入れると、そこはいつもの安らぎの場所ではなく、まるで金曜夜の居酒屋のような、無遠慮な活気に満ちていた。視界を占めるのは、無邪気に笑い合う若者たちの群れ。彼らの溢れんばかりの生命力が、タイルに反射して私の目に刺さる。


サウナ室の扉を開けても、救いはなかった。隙間なく並ぶ背中、背中、背中。 人の出入りの多さに、いつもは鋭く肌を焼く熱気も、どこか頼りなく抜けていく。温度計の針は、まるでこの場所の秩序が乱れていることを象徴するように、力なく低い数字を指していた。


私はただ、静寂を求めていた。 けれど、今日だけは違う。セルフロウリュの蒸気が立ち上り、ようやく慣れ親しんだ熱が肌を撫でたとき、私は不意に悟ったのだ。


露天風呂の冷たい外気に身を委ね、目を閉じる。 内側から聞こえてくる、若者たちの話し声、水しぶき、桶が床を叩く高い音。それらすべての「雑踏」が、不思議と私の孤独を優しく包み込んでいく。


かつて自分も、あの無邪気な側の一員だったのだろうか。それとも、最初からこうして、誰かの賑わいを遠くから眺める運命だったのか。


整い(トトノい)の境地。 それは、決して静寂の中にだけあるのではない。 誰かの幸福や、誰かの日常。私のホームサウナが、知らない誰かにとっての大切な憩いの場へと変質していく過程。その寂しさと、微かな満足感。


「ここも、みんなの場所になったのね……」


冷たい夜風の中で、私は独り、そう呟いた。 湯気に紛れて消えていくその言葉は、誰にも届かない。けれど、それが妙に心地よかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ