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こんな世界で頑張れるもんか  作者: 与謝野竜胆


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第二話

異世界転生した女性が、家族から放置された赤ちゃんに憑依した。魔法を駆使しながら成長します。見ておくがいい、逆襲してやるぅと思っていたのだが、きっとほのぼのと成長していくと思います。

R15は念のためです。

 誰にも会わない、あのメイド4人しか部屋に来ない。一歳になった私は、歩くことができる。お医者様が歩けるか試したから歩いてみせた。メイド達が驚いたから、お医者様が、またメイド達に説教をしてくれた。

 このメイド達は、ほっんとーに何も知らない。だから、私も好き勝手ができる。大体、いつまでベビーベッドに寝かしとくつもりなんかな?こちとら、成長してるんですが。


 私は魔法を使ってベビーベッドから降りる。筋力を鍛える、魔法の訓練をする。一歳になると昼間はお昼寝以外は起きている。やるべきことをやらないと、こんなところから出ていけないから。

 私が泣かない限り、この部屋には誰も来ない。試しに朝ごはんの時に泣いて、夕方まで泣かなかったが誰も来なかった。


 私は、外に出てみることにした。窓から見える風景は、庭と呼ぶには花が何もない草だけが生えている、ただの原っぱの先に森が見える。テレポートできないかな?思い浮かべたところには移動できるようなことが前世に読んだ本に書いてあった気がする。思い浮かべた、窓から見えるあの森を。目を開けると、アラ、できたじゃない。森まで移動していた。外の空気は違うわね。あの埃っぽい室内にいたら病気になりそう。よく耐えているな、私の身体よ。


 森の中を歩いてみる。綺麗な空気。お日様の光。森の匂い。森林浴やぁー マイナスイオンやぁー 私は森の中を歩く。1歳の足ではそんなに速くは進めない。森の気を感じながら気持ちよく歩く。

 足元にウミョウミョしたクラゲみたいなのが転がっていた。うわぁぁぁぁぁぁぁスライムじゃん。本物か?本物なのか!!これは雷の攻撃をしないといけないのか?テンションが上がる。確か敵に酸を吐くんだったかな。離れた場所から木の枝を投げてみた。スライムは、酸を吐き出した。うほぉぉぉゲームの世界じゃん。私はジワッとスライムに近づいて雷を一撃した。スライムは蒸発して石が残っていた。これが魔石と呼ばれるものなのか?黒くてツルツルとした石だった。それを持って部屋に帰ることにした。第一回目のお散歩はスライムを倒したので終了することにした。帰りは部屋を思い浮かべると部屋の中に移動できた。魔法って凄いな。


 部屋に帰ると外の空気を吸った身では耐えられないほどの埃っぽさで、そういえばメイドたちは掃除をしないな、大きな声の出るデイジーとおちょこちょいと言われているキャッシーが時々モップをかけているくらいだ。よくこんな環境に幼子を置いておくよなと思う。私は魔法が使えるからね、そういえば部屋を綺麗にする清浄魔法とかあったよね。自分に清浄魔法が使えるなら、部屋も綺麗にできるはずよね。

綺麗になぁれ!やっぱり私、やればできる子なんです!

 魔法って便利だわぁ。赤ちゃんの私が生きていけるのは魔法と前世を覚えていた私のおかげね。

 明日から毎日森を探索しよう。魔法を使うとお腹が空くから、今日は泣いてメイドを呼ぶ。メイドの誰か来てご飯を食べさせてくれる。

 お医者様のおかげで、ちゃんとしたご飯が出てくるようになった。

 ただ、私にスプーンもフォークも持たせてくれない。こぼしたら掃除をしないといけないから。

 あのさぁ、私を何もできない子にしたい訳?貴方達の都合で、私の成長が止まるところだったわ。

 私はできる子だから、自分で何とかするからいいけど、1歳児は何も教えなかったら、何もできないからね。

 未だにオムツなのは、貴方達のせいよ。私はきれいな方が好きだから自分で綺麗にしてるけどね。

 言っときます、こんな事は普通の1歳児にはできませんからね。

 それも分からないかぁーはぁー、まぁ、ご飯を持って来てくれるロボットだと思うことにしよう。怒りが収まらなくなるからね。



 私は毎日森に行く。スライムを倒して魔石を手に入れる。多分、お金になるはず。前世の記憶だと魔石は高値で取引されると書いてあったはず。

 森の中には、木の実や野苺なんかもある。辞典があれば食べれるか分かるけど、多分食べれそうだけど危ない橋を渡るわけにはいかない。

 森の中に入っていくと、ツノの生えたうさぎがいる。確かホーンラビットだったかしら。

 戦うを選択する。風の矢がよさそう。ウインドアローだったか?風を矢にするイメージでホーンラビット目掛けて投げつける。風の刀とか血が沢山出るのは嫌なんだよね。一撃がすきです!

 スライムみたいに蒸発してくれたらいいけど、そんなことはない。魔法で穴を掘って埋める。貴重かもしれない魔石はちゃっかり頂く。魔石の位置を魔法で探して取り出す。魔法サイコー!!


 3歳になりました。

相変わらずベビーベッドで生活させられているけどね。

でも、私は自由に外の世界を歩き回る。これでもかなりの腕前の冒険者になっていると思う。

この森は相当広いと思う。奥に奥に入るとブラッドベアー(魔獣熊)やゲートボア(魔獣猪)なんかもいる。

最近は雷撃が打てるから、かなり楽に倒せるようになった。最初に雷撃ができた時は魔力をかなり使ったようでフラフラしながら部屋に帰った。HP/MPが爆上がりしているんじゃないかと思う。(*´σー`)えへへ

魔石もかなりの数が集まっているんだよね。嬉しい。


 3歳になったある日、初めて見る人が部屋を訪ねてきた。身分が高い人らしく、配膳ロボット(メイド達のこと)が大慌てしていて面白かった。

白髪の老紳士が私の部屋に入ってきた。

「こんにちわ、私はジェームズ。君のお名前を教えてくれるかな?」

私は何も答えない、言わない、話さない。

老紳士のジェームズさんが配膳ロボットに尋ねる。「おい、君たち。この子は話ができないのか?名前はなんというんだ?」配膳ロボットたちは、狼狽するわ、支離滅裂だわで、誰も答えることができなかった。

 そう言えば、私に名前なんてあったのかしら?お医者様が診察してくれたのだから、名前くらいはあったのかもしれない。誰も名前を教えてくれなかったから分からないけどね。


 老紳士が配膳ロボット達を怒った。今更な感じなんですけど。

てか、あなたは何をしにここに来られたのでしょうか?

 私は、ちょっとおもしろいことを思いついたのでやっちゃいました。

何をかって?それは配膳ロボット達のマネです。声マネですよ。

老紳士が訪ねてきてからの配膳ロボット達の会話の声マネを披露しました。

一人一人の声をマネして、老紳士が屋敷を訪れてから部屋に入るまでの話の内容を一語一句間違えることなくマネしてやりました。拍手です。


 私が声マネすればするほど、老紳士の顔がどんどん険しくなります。なぜなら、配膳ロボット達は日頃お世話をしていないから私のことが分からない。誰が上手にこの子の説明するのかとか、掃除をしていないが大丈夫かとか、くだらない話をしていたからだ。

そして声マネをしている3歳の私はベビーベッドの中。普通の常識人なら尋常ではない事態と分かるはずです。

 私、喋れますし話せます。自分の名前は分かりませんがね。


 老紳士のジェームズさんが、私を抱き上げます。

あら、このお方、鍛えてらっしゃる。案外筋肉質です。好みです。なんちゃって。

抱き方も慣れていらっっしゃるようで安定感抜群です。

私は近くにある綺麗な顔を見つめて、ニッパーと笑いかけました。可愛いでしょう?

 ジェームズさんは私と似ています。私がジェームズさんに似ているんでしょうけど。

時々窓ガラスに映る私の顔と似ています。

同じ銀色の髪に澄んだ青色の瞳、ぱっちりとした大きな二重瞼に長い睫毛、鼻筋の通った高い鼻。少しぷっくりとして見える可愛い口元。似ています。

 

 ジェームズさんは私を抱いたまま外に出ました。

誰かと一緒に外に出るなんて、ましてや玄関からでるなんて初めてです。

なんと、馬車にも乗りました。ジェームズさんに抱っこしてもらって。私は窓から外が見たくて仕方がありません。初めてのお屋敷以外の外ですもの。

ジェームズさんに抱かれたまま、窓枠にしがみついて外の世界をながめます。

うほほほっ、中世の世界観です。テレビで見たことがある城壁や堀や教会の大聖堂、石畳に馬車、石や木組みの家々。感激です。


 どのくらいの時間馬車で走ったでしょうか?大きな門があるお城に到着しました。お城です。

尖塔、側塔、胸壁、要塞化された壁、いくつものはめ込み式の窓やバルコニーのある出窓。

 お城のドアが開くと中から、これまたイケメンの燕尾服を着た壮年の男性が出迎えてくれた。

「ジョセフ、アマルは私室にいるか?」とジェームズさんが尋ねると「はい、奥様は私室でお帰りをお待ちになっております。」と答えた。

 ジェームズさんが、私を抱えたままお城の中を歩く。なんていう安定感でしょう。心地よい抱かれ心地です。

 部屋のドアをノックすると「どうぞ」と綺麗な女性の声がした。

日差しが入る明るい部屋は、アイボリー系を中心に落ち着いた優しい雰囲気に統一されていた。

優しそうな笑顔の女性は、キラキラした金色の髪に青い瞳の綺麗なご婦人だ。

「あら、あなたにそっくりね。おほほ」と優雅に笑うのだった。「ジェームズにそっくりってことは、ジャックの子供ね。」そう言って私を抱っこした。

 甘い香りと優しい抱き方に、ニッパーとまた笑って愛想を振りまいた。


 ジェームズさんがアマルさんをソファーにエスコートした。うほほほっ、これぞザ・エスコートである。

ジェームズさんが「離れた屋敷にメイド達と一緒に住んでいた。誰もこの子のことを知らない様子だった。名前も言えないなんてことがあるか?」と険しい顔でアマルさんに話しかける。

 そーなんだよねぇ、信じられないことでしょう。でもさぁあなたの息子さんかしら?私が生まれた時にのっぺりとしたシワクチャの赤い子供と言ったんですよ。それからの放置なんですよ。と心の中で教えてあげた。

 「この子はこの家で育てよう。戸籍はどうなっているのか調べないといけないな。出生届はでているんだろうな?」といつの間にか来ていたジョセフさんに話しかけている。

 あら、いつの間に来ていたのかしら?これでも私、森では気配が分からなかったことなどありませんのよ、おほほと心の中で自分にツッコんだ。


 アマルさんが、「可愛いわね、この子お話ができないの?」というので、私はまた配膳ロボット達の声マネを披露してみた。

「すごいわ、あなた天才よ。」アマルさんは、そう言って私を抱きしめた。

ジョセフさんが、「これはこれは、早急に戸籍をお調べしてお手続きを行いましょう。」とニコニコしてジェームズさんと何やらゴニョゴニョと話していた。

外に出て興奮したからか眠気に襲われる。まだ3歳、思うように身体を維持できないのであった。








 


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