019.メンツ
「班長、昨日はどうもご苦労さまでした」
「なんでもないです、あの手の仕事だったらお任せください」
師匠のおやつが、動物愛護団体や猟師を気にしないでも堂々と入手できる。
動物(師匠)が狩っているのだから自然の事なので問題は無いが、師匠の存在は隠しておきたい。
「あのボロ雑巾・・、洗ってみたら、やはり我々が探そうとしていいた犯人だとわかったの」
「それは良かった」
「良いわけ無いでしょ」
「なぜでしょうか? みんなハッピーですよね?」
「捜査班のメンツまるつぶれです・・お陰で、私、すっごく責められました。ぐすん」
「それは申し訳なかった、でも俺は襲われたので仕方なかったんですよ。
それに、この班としてのミッションはちゃんとクリア出来たんだしし。問題ないんじゃないんですか?」
「その、“雑務のついでにやっちゃいました” って、のが気に入らなかったみたいです」
「メンツなんてどうでも良いじゃないですか、俺達にはそんなの関係ありませんし。
そもそも、犯人を山に逃してしまっていた捜査班が悪いんでしょ。
室長がそこまでフォローしてあげなくて良くないですか?」
「そうね、でも、上の人達はそう思わないのよ」
「気にしても仕方ないですよ、
どうせ室長はこのチームを任されている時点で、今よりも評価が下がる事は無いですから」
「慰めてくれようとしているのは嬉しいけど、全然慰めにもなってないから」
「「班長、言い過ぎです」「班長、面白い」「上司だぞ、敬えよ」」
メンバーはいつもの調子だ。 問題ない。
「どうせ、皆のやりたがらない様な雑務を任されているんだから、これ以上悪くなりませんよ」
「それが、あるのよ」
「何でしょうか? ひょっとしてもう解散?」
「一ヶ月の謹慎 ・・・なんで謹慎なのよぉ!」
「「やったぁ〜」「ゲームしよ」「自分の仕事が出来る」」
メンバーの反応に問題は無い。 俺もエリア・ゼロ計画を進められるから嬉しい。
「室長、良かったじゃないですか、皆がやりたがらない仕事を一ヶ月も休めるんだから」
「私は、始末書を書いたり、いろいろ・・
私、何を反省したら良いのかわからない。何で部下が犯人捕えたのに怒られなきゃいけないの?
褒められたって良いじゃない。 捕まえるなって事? それで被害が拡大したら誰の責任なの?」
「俺達の面倒見るより楽な仕事でしょ、良かったじゃないですか。
ま、色々思うところはあると思いますが、気にしたら負けですよ。
どうせ犯人なんてどうでもよくてメンツが大切なんでしょ、
じゃ、みんな、解散ーー」
「「「「おぅ!」」」」
「あ、班長、このあとちょっと私の店に来てもらえません?
ちょっと相談があって」
「いいよ、でも占いは苦手だなぁ」
「班長にそんな期待はしていません、室長とのやり取り聞いていればわかります。接客能力ゼロです」
なにそれ、失礼だな
ユウキの店、『占いの館ユウキ』は割と近くにある。
話しながらてくてくと歩いて向かう。
『占いの館ユウキ ばしっと解決!霊能力者“ユウキ”のお悩み相談室』 ・・・ねえ
この看板の顔とスタイルと衣装に騙されて入っちゃうんだろうな・・・そこからは言葉巧みに・・
何で占いの館が相談室なんだろ?
「室長、なんか失礼なこと考えてません?」
「いや、顔とスタイルと衣装、いいですね」
「あら、ほんと、まあ、でも、ありがとう」
本当は “顔とスタイルと衣装は” だけどね。同僚に失礼な言葉を掛けてはいけないからね。




