020.相談事
「まあ、入って、私の居ない時は、妹の咲がやっているの」
へぇ、妹、居たんだ。
「サキちゃーん、帰ったよ」
「お帰り、あ、その人誰? 彼氏・・にしては老けてるか」
「何言ってるの、同僚よ、まあ、上司・・かな?」
なぜ疑問形。 そこは言い切ってほしい。
「ねえちゃんの上司なら大変そうだね、いつも姉がお世話になっています」
「いえ、どういたしまして、お姉さんはしっかり仕事してますよ」
「えっ、そんなぁ〜、まだ仕事はじめたばかりだからたいした事してないわよ。
あ、この人ね、姉を見つけてくれた人なの」
照れなくてもいい。
「えっ、上姉を・・それは大変お世話になりました」
「いえ、心中ご察しします。私も役に立てて良かったです」
「ねえねえ、入って、もうお客さん追い出すから大丈夫」
「お客さん追い出しちゃっていいの」
「いいの、いいの、単なる私の追っかけだから」
それ、いいのか?
俺と入れ違いに追い出された人が悲しそうに・・恨めしそうに俺を睨みながら出ていく。
帰りに仲間を集めて待ち伏せしてたらどうしよう。
帰りは裏口から帰らせてもらおう。
「今日来てもらったのは例の件で相談してみようと思って」
「姉ちゃんあれ頼むの?」
「彼、幽霊を見られるから適任なの」
「えっ、そうなの、すごぉーい、姉ちゃん振って、私と付き合わない?」
「サキ、その冗談はダメ、私も一回やったから」
「あちゃー、二番煎じか、アホな姉妹と思われちゃったかぁ〜」
「いえ、とても嬉しいですよ、でも俺には分不相応です。 先程のような若い子を誘ってあげなさい」
「え、いゃだぁー、あんなの、キモいし口先だけだしぃ」
「そうなんですか、念の為帰りは裏口から・・」
「無いよ・・裏口、ってか正面から堂々と帰れば?」
「トラブルは嫌いなので」
「またまたぁー」
「ところで相談事って何ですか?」
「それがね、姉の金庫の開け方がわからなくてですね」
「彼女はもう成仏されたので、話は聞けませんが?」
「なかなか頑丈で壊せないんだよなぁ〜」
「鍵開け師に頼んだらどうでしょう?」
「それがね、何人か頼んだんだけどお手上げらしくて、 もーどうしようかと思ってたらあなたが居たの」
何処に?
「いや、俺、鍵開けなんか出来ないですし」
本当は出来るけどね。内部構造が認識できるから。
「私、感だけは鋭いの」
感だけって霊能力者としてはどうなの
「あなたなら出来るって思ったの。両親の霊とかお降ろせない?」
部下に信頼されてる? のかな? 俺、降霊術はしたこと無いし
「これなんですけどね、先祖代々受け継がれたもので、姉が相続してたんですよね」
連れてこられた先には結構でかい金庫があった、小部屋ぐらいある。
「でも姉は無くなってしまって・・もう開け方がわからないの、なんかドリルの歯も通らないんですって」
「なんであの時に姉から聞いておかないんだよ」
「動揺してて聞き忘れたんだよね、両親からは開けちゃいけないって聞いてたし、
でも、そうは言ってもこのままにはしておけないよね」
そうですか
『師匠、中、見えます? 俺なんかよく見えなくて』
『どれどれ、ふむふむ・・・何か封印されているようじゃのう
結界があるから儂もよく見えんのじゃ』
『封印か・・じゃ開けない方が良いよね』
『そうじゃの、封印する意味があっただろうからな』
封印を解いて大怪獣とか悪魔とか出てきたら大変だからね。
「とりあえず、わかった」
「そうなのーすごい班長ーー。で、開くの?」
「開けてはいけないって事がわかった。
なにか良くないものを封印してあるみたいだ。
無理に開けた場合の危機に対処できそうにない。
おそらく両親も姉も開け方を知らなかっただろう、
これは開けるんじゃなくて、守るために受け継いだ物だ」
「相続税、どうしよう〜」
心配はそっちか。




