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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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ぶえっくしょん!うわっ!!


何かが鼻のあたりを刺激して、おっさんのようなくしゃみが出た。

自分がしたくしゃみがあまりに大きくてビックリしてしまった。


何だか体が動かしづらいなと思ったら、どうやらシルバくんに紐で括られた状態で銀色の狼にまたがっていた。


ひっ!


狼はかなりスピードで走っていて、かなり怖くて息を飲んだ。


「ユウリ様、お気付きになられましたか。みんな、ユウリ様がお目覚めになられた!」


シルバくんがみんなにそう声をかけると、ちょっとしたスペースを見つけて一度止まり地面に降ろしてくれた。


地面、あいらぶゆー。


とりあえず、現状の把握するために休憩しながら話をきくことにする。


わたしが気を失ったあと、3人は相当慌てたようだがやらなければいけないことまで見失うことはなかった。


すぐに町に向かうために各々お馬様と狼にまたがり、盗賊を狼に括りつけた。


意識のないわたしの運搬方法は安定性を考慮した結果あのかたちになったそうだ。


お馬様に乗ったレオくんを先頭にシルバくんとわたし、盗賊、最後尾にフェルくんという隊列で移動。


ちなみに盗賊たちは二人一組で縛り上げられから狼に括られていて、今は地面に転がっている。


最後に見たときのような無駄な元気がない。

全然しゃべらないなと思って良く見たら皆さん気を失ってた。どおりで静かなわけですね。


で、ここはどこ?


「町まであと一時間ほどの場所になります。」


え、まだ結構明るいのにもうそんなところまで戻ってこれたのか。

スゴいなと思ったが、ハッと気づく。


短時間でこんなに進んでいて、狼に乗って現れた盗賊が気絶している、そして目が覚めたときのスピード感。


こいつら相当スピード出して移動しやがったな。


馬は水を飲んでいて分からないが、狼たちは盗賊と同じように地面に転がっているのが証拠のように見えた。


"なんじゃあやつら、狼使いが荒すぎやせんか。なぜわらわは…"


銀色の狼から乗せてやると言ったことを後悔するような言葉がうっすら聞こえる。


3人をジト目で見る。


ニッコリ。


いい笑顔が帰ってきた。

なにその笑顔、めっちゃ怖いんだけど。


もしかしたら、気を失って正解だったかもしれないと思っていたら、急に説教が始まった。


「ユウリ様、なぜ気を失ったのでしょうか?」


え、えっと、それは、魔法を使いすぎたからかなぁ。あはは。


「なぜそんな無茶をされたのですか。」

「心配した。」

「生きた心地がしませんでした。」


「だいたいユウリ様は…」


初めは本当に申し訳ないなと思って聞いていたが、だんだん今回の件だけじゃなくて普段の行動にまでお小言がおよび始めたので、町に向かわなくていいのかと無理矢理話題を変える。


「「「・・・」」」


まだ言いたいことがありそうだったが、なにか言われる前に率先して動くことでそれを阻止する。


「仕方ありませんね。」


3人もとりあえずお小言は中止して盗賊の方に向かう。

盗賊たちは目が覚めていたようで、近づいてきた3人と何か話している。


わたしはお馬様と狼たちの元に向かい気休めにしかならないかもしれないが、自分が気絶しない程度でこっそり『ヒール』をかけておく。


あとちょっとなんで頑張って。


"おお、そなたはよき人間じゃな!"


銀色の狼がものすごい感謝してきて、腹を見せてくるので、労りを込めてちょっと撫でてあげることにする。


ほわっ。なにこれ。ものすごいモフモフしてるやん。


ちょっとのつもりがあまりのモフモフに手が止まらなくなって、思いきって顔を埋めようとしたとその時だった。


「ユウリ様、いつでも出発できます。」


ドキッ!!!

さ、さよか。じゃ、出発しよか。


我にかえったわたしは、大人しくシルバくんに括りつけられ狼にまたがった。




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