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異世界魔法使いVS東京ゾンビ   作者: 竹食いパンダ
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移転したら、そこは現代シティ東京だった。

魔法、それは見えざる力の具現。

この世界ではその力を扱える魔法使いと呼ばれた人間たちがいた。



「おい、さっさと起きろやこのアホ兄!」


清々しいほど加減がない蹴りで俺は朝を迎えた。俺の名はルイ。18歳を迎えた成人魔法使いだ。そしてこちら可憐でバイオレンスなレディは我が妹のミサ。


いくら美人でも性格がきついとモテない って教えてくれる大切な存在。


「ああ、うん。もう蹴らないでちゃんと起きるから。」

そう言うとミサはプイと顔を背けて、部屋を後にした。にしてもあいつ加減しないな。めっちゃ痛いぞ。


体を伸ばしてカーテンを開けると、庭先がよく見える。うちは特別に大きな庭ではないけれど、それなりに綺麗にしているつもりだ。

庭の真ん中には魔法で浮かせた水のリングが常に回っていて、その回転で散らばった水で植物に水やりをしている。そして庭の端っこには百年に一度しか咲かないというヴィーナスの木があって...


あれ。




俺は思わず二度見をした。

金色の葉っぱが散らばった枝の先には血で染まったような赤い花が見事に咲いていた。



え!!


こんなレアな現象が自分の庭先で見れるのが信じられず、俺は興奮していた。

すぐに階段を駆け下り、家族にそのことを告げると、みんな思いの他テンションが低い。

というかしけたツラしてる。


「すげーことなのに、なんでそんなに顔するんだ?」

俺は素直な疑問をぶつけると、ミサが眉間にしわを寄せて呆れたような表情に変わった。


「アホ兄は寝すぎて記憶でも飛んだの?」

また始まったよ妹の知識自慢。俺と違ってあいつは勉強ができるから、よくこうやってバカにされるんだよな。


「ヴィーナスの木っていうのは青い花を咲くのよ。でも庭先のは赤でしょ?」


言われてみるとそうだった。確かジュニア魔法学校で習ったな。


「じゃこの赤い花はなんなんだよ?」


「エロスの木よ。」

そう言いながら母は朝食を運んできた。


ブハッ


俺は唐突のエロスワードに、飲んでいた水を吹き出した。


「アホ兄きたなーい!」

ミサはドン引きしたような顔でこっちをみて来た。


でもエロスの木って確か伝説上の植物だった気がするんだけどな。そんな曖昧な記憶な俺を見て、妹はまた呆れたかのように説明を続けた。


「エロスの木はヴィーナスの木と似て非なるもの。見た目は開花するまでは同じだけど、ヴィーナスは幸運を呼び寄せるのに対してエロスの木は不吉と称されるのよ。」


「昔の人たちはそんな不吉な木を嫌って伐採したせいで稀な存在になったけど、まさかうちのがそうだったとはね。」

母は大きなため息をつきながら食べ始めた。


俺は目を細めてその赤い花を眺めたけど、少しだけ嫌な予感がした。

そして次の瞬間、黒い影が通り、花が消えた。


一瞬の出来事だった。すぐに理解できなかった俺は少しボーとしたが、ハッと我に帰る。


「花が取られた!泥棒だ!」

俺がそう言うとミサも母も一瞬驚いたが、すぐに窓の外を確認し始めた。


「やつを捕まえて来る!」そう言って俺はすぐに玄関のホウキを手に取り家を飛び出した。

後ろからミサが何か叫んでたようだったけど、よく聞こえなかったし、無視して飛び続けた。



犯人が逃げたと思われる方向に飛び続けたが、森に差し掛かった。

だいぶ遠くまで来たんだけど、本当にこっちで合ってるのかいまさら不安になったぞ。


そう躊躇していると森の少し奥の上空にどす黒い雲が立ちこもった。明らかにただ事ではない雰囲気だ。

もはや花のことを一瞬で忘れ、俺はこの現象に思考を奪われた。そして気づいたら俺はその方向に向かって飛び出していた。


こう見えてもホウキの扱いには少し自信があるのでね。スピードと舵取りならその辺のやつらに負ける気がしねぇ。


すぐに俺は雲が渦巻く中心地点の上空に着いた。下を見下ろすと目を疑うような光景が広がっていた。


あれは、移転門?

いや違う。普通の移転門ではない。周囲の魔法陣がかなり複雑だ。


そして門に向かって何人かの黒衣のやつが入って行くではないか。誰があいつら?


最後の人間が入ろうとしたとき、顔を上げてこっちを見てきた。

俺は咄嗟のことに驚いて一気に血の気が引く感覚に陥ったが、やつは不敵にも笑ったように見えた。


気持ちがわりぃ。


そして手を掲げて何かを示すように見せびらかしてきた。よく見るとその手には赤い花が握られていた。


「この野郎!」

あいつが泥棒か!花を取って逃げるためにこの移転門を作ったんだな。

俺の中で瞬間的に辻褄があっていき、怒りで頭に血がまた登ってきた。そして考えるよりも早く、体はホウキを掴んで最大速度で移転門に突っ込んでいたのであった。



「この野郎待てー!」


次に瞬間、俺は呆気にとられていた。




立ち並ぶ建造物。道を走る鉄の塊そして騒音。奇異な服装の人々。


そして遠くから響くアナウンスの声


<<東京オリンピック2020、開幕です!>>



「え、これは、いや、ここは。




どこ?」


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